DV案件をためらう弁護士の実態 – 猪野 亨

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 この弁護士自治を考える会のブログを読み、多々考えるとこがありました。

柴山昌彦議員tweet「子ども連れ去りは未成年者略取誘拐罪にあたる」現場を知らない発言「実子誘拐罪制定を」」

 この「子の連れ去り」に関しては、これまでも見解を述べてきたところです。
 今回は、このテーマではなく、弁護士の姿勢についてです。

弁護士は商売です。金にならんことは致しません。
子どもに対する悲惨なDV事件が報道されています、報道記事を見ると父親が仕事もせず、いらだちで子どもに暴力や虐待をおこなう、このような悲惨な事件が後を絶ちません。こういう事件で離婚弁護士は事件を受けますか?
弁護士は商売です。子ども連れ去り示唆するのも報酬が目的、財産分与が一番おいしいのです。夫に収入がある方なら妻に収入が無くても事件を受任してくれます。金のない依頼者、仕事もせず金の無い夫からは何も取れません、収入の無い依頼者、財産の無い相手方。離婚弁護士が受けると思いますか!

 弁護士の姿勢について、このように指摘されています。
 昨今、法テラスを利用した事件は受任しないという弁護士が増加しているようです。
法テラス利用が事務所経営にとってやればやるほど赤字? だから法テラス事件を拒否するなら生活保護受給者は依頼できなくなる

 とある全国展開の法律事務所では、以前、妻側の相談料は無料なるものを打ち出していました。通常は、夫側から妻側に某かのものが支払われるということを見込んでのものです。
 もっとも、現在では、多くの事務所が法律相談料を無料化していますので、それだけでは集客力はなくなりました。

 確かに財産分与、慰謝料の請求が可能な事件であれば報酬が見込めますので、そういった事件が弁護士にとって魅力的なものであることは否定しようがありません。
 親権問題になるような事件ですが、実際に別居前の子の主たる監護者が別居後も子を継続して監護しているのであれば、事件処理の困難性は減少します。
 もっとも、その場合そのまま弁護士の報酬に結びつくかは別問題でしょう。

 上記ブログで指摘されているとおり、事件処理が困難なものも存在します。
 主たる監護者であるのに、別居時に子を連れ去られてしまった場合
 粘着質のDV事件

 非常に手間はかかります。しかし、弁護士としては結果を出したいという意味ではやりがいはあります。
 本来であれば、こうした事件ほど相応の着手金は頂きたいところですが、ほぼ例外なく法テラス案件です。相手にも収入がない場合も少なくありません。収入があっても法テラスの報酬は離婚報酬と財産的利益を受けた場合の1割(+税)ですから法テラス利用しない場合に比べれば報酬総額は低くなります。
 法テラス受任が敬遠されるということになると、確かにこうした事件はどの弁護士が引き受けるのかということになってしまいます。
 恐らく札幌では引き受け手に困る場合は少ないと思われます。
私も費用が法テラスだから、あるいは相手方に財産がないからという理由で依頼を断ることはありません。


2018年5月27日撮影

 恐らく躊躇する案件としては代理人弁護士の命が狙われるようなDV案件でしょう。命を落とした弁護士も複数、事務職員が殺されたという案件もあります。そうしたことから依頼を受けるのに二の足を踏むことはありうるでしょう。
 そうした傾向のある相手方の事件の依頼を受けることができるのか。
 ただ実際にはそうした案件は数としては多くはないということと、妻側の相談を聞いただけで相手の夫の人格を適確に判断することは困難です。
 そうするとDV案件は受けないか受けるかの二者択一になるのかもしれません。
 私も夫側の親族から「ぶっ殺すぞ」という電話をもらったことはあります。この場合、実際にやってくることはないだろうなとは思っていたので別に怯えることもありませんでしたが、ただ何がきっかけで凶暴化するかはわかりませんから警戒は必要です(とはいえ限界はあるのですが)。

 弁護士は金になる事件しか受けない!

 という批判は外れてはいないと思います。
 私は自分がそうは言われないようにしたいと思っています。

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