オールバーズとワービーパーカーの損失が拡大中: D2C モデルが持つ脆弱性と立て直しプラン

DIGIDAY

D2C企業は、中間業者がいないことを顧客への訴求材料とすることが多く、またそれをアピールしてきた。ワービーパーカー(Warby Parker)やオールバーズ(Allbirds)のようなブランドは、利益率が薄く利幅がない点を指摘することによって、その魅力的な価格帯を長いあいだ宣伝してきた。

しかしインフレが進み、物価が上昇するなかで、その薄利が不利益となりつつある。ワービーパーカーとオールバーズはともに8月第2週に行われた決算説明会で、レイオフ、収益の減少、コストの上昇を明らかにしており、このような時代にD2Cモデルが持つ脆弱性を示している。とはいえ同時に、両ブランドはこの嵐を乗り切るための計画も発表した。

オールバーズの損失拡大はコスト増が原因

オールバーズの場合、第2四半期の純損失は287%増で、上半期の損失総額は2021年通年の損失額を上回った。全体の売上高は15%増であり、つまり損失拡大はすべてコスト増が原因ということだ。

それを相殺するために、同社は大きな改革を進めている。昨年8月にローンチしたアクティブウェアのカテゴリーを清算し、決算報告が出る直前にスタッフの8%をレイオフしたのだ。オールバーズのCEOジョーイ・ツウィリンガー氏は、他のコスト削減策も控えていると述べた。

8月8日の決算説明会において、ツウィリンガー氏は「当社は、商品コストとカーボンフットプリントの両方を削減するために、サプライチェーンのさまざまな要素に投資している」と話した。「これには、製造拠点における新たな関係の構築、より自動化された配送センターへのアップグレード、米国における返品処理専門のプロバイダーへの移行が含まれる」。

実店舗での販売で業績回復を目指すワービーパーカー

ワービーパーカーもまた、昨年第2四半期の59%から今期は57%と利益率が低迷しており、昨年第2四半期の59%から今期は57%となり、これは3200万ドル(約43.1億円)の損失となったことに相当する。

ワービーパーカーの業績回復計画の一部は、意外にも実店舗での販売に依存している。同社は今年40店舗をオープンする計画で、2021年から2022年にかけての新規出店数は合計75店舗となる。同社の共同CEOのデイヴ・ギルボア氏自身の見積もりでも、小売店は消費の減少傾向に影響を受けると思われるため、この戦略は驚くべきものだ。

ギルボア氏によると、小売業の生産性は5月から低下し始め、月平均売上高の80%程度になり、これは年末までにさらに低下して75%になる可能性があるという。

「小売業の生産性の低下は、耐久消費財に対する消費者支出の後退、そして二次的に収益性を重視したマーケティング支出の後退など、さまざまな要因と重なり、それが主な原因となっていると考えている」と、ギルボア氏は8月11日の決算発表で述べた。「小売生産性の比率の低下にもかかわらず、当社の店舗のユニットエコノミクスは堅調を維持している」。

減少しているのはeコマースでの購買

小売生産性の低下を補うため、ギルボア氏いわく、ワービーパーカーはマーケティング費用を縮小し、予算を上半期と同じ売上高の17%から12%に引き下げる計画だ。

ワービーパーカーの最大のコストはマーケティングと従業員の給与のふたつであるため、マーケティングの削減と63名のレイオフは、コストを大幅に削減する方法である。ギルボア氏は、新しい店舗が受動的なマーケティングそのものとして機能し、従来のマーケティングにかける費用の減少を相殺することを期待していると語った。

従業員管理プラットフォームのスパークプラグ(SparkPlug)のCEOアンドリュー・ダッフィ氏によれば、ワービーパーカーの小売戦略は賢いものだという。

「賢明なD2Cプレイヤーは、ショッピングが減少しているのではなく、eコマースでの購買が減少していることを認識している」とダッフィ氏は指摘した。2022年5月の時点で、eコマースの売上は前年比2%減となっている。「実店舗の小売支出は好調を維持しており、引き続きパンデミックからの大きな回復がみられる。今後10年間に成功したいと願うD2Cブランドは、自分たちが持っているもっとも費用対効果の高い顧客獲得チャネルをうまく活用する方法を考え出す必要がある。すなわちそれは、昔ながらの実店舗、ということだ」。

[原文:Allbirds and Warby Parker’s losses are widening— here’s how they plan to recover]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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