「我々の消費者の多くは女性だ」:チャンプススポーツのジェネラルマネージャーが語る、女性アスリートたちへの投資とサポート

DIGIDAY

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フットロッカー(Foot Locker)のブランドであるチャンプススポーツ(Champs Sports)は、買い物客の注目を勝ち取るため女性アスリート重視の戦略を打ち出している。

同社は7月20日、今年の「ウィメンウィン(Women Win)」キャンペーンを発表した。これはスポーツにおけるジェンダー平等の推進を目的として同社が約6年にわたり進めてきた取り組みだ。ウィメンウィンでは、さまざまなスポーツから選ばれた数人の女性アスリート、たとえばマイアミ大学のバスケットボール選手のハンナ・カビンダー氏やヘイリー・カビンダー氏、コーネル大学のバレーボール選手であるシドニー・ムーア氏などを取り上げている。キャンペーンのパートナーである女性アスリート支援プラットフォームであるボイスインスポーツ(Voiceinsport)とともに、チャンプススポーツは、「モアビス(moreVIS)」と呼ばれる商品カプセルのコレクションを発売する。

スポーツに参加する女性は年々着実に増加しており、ブランドが公式にサポートを表明することが、価値を持つようになってきている。市場調査企業のアライドマーケットリサーチ(Allied Market Research)によると、女性向けアクティブウェアの全世界の市場規模は2025年に2170億ドル(約29兆3000億円)に達すると見られている。チャンプススポーツは、この長期にわたるキャンペーンが、ブランドとその価値の両方に対する注目を集める試みだと語っている。

1984年に創設されたチャンプススポーツは、フットロッカーの子会社として運営されており、約525店舗を保有している。同社はシューズ、ウェア、エクササイズ用品など、多くのアスレチックグッズを販売している。2022年の第1四半期において同社の売上高は前年比で2ケタ前半ほどの減少だった。フットロッカーの最近の決算報告では、女性向けのフットウェアとアパレルのカテゴリーが男性向けよりも良い業績を示した。

「男性向けの商品より業績が伸びたことと、女性の参加が増加した理由の一部は、当社が品揃えを拡大したことだ」と、フットロッカーのCEOを務めるリチャード・ジョンソン氏は、投資家やアナリストへの報告で語った。

チャンプススポーツとイーストベイ(Eastbay)のシニアバイスプレジデントとジェネラルマネージャーを務めるガイ・ハークレス氏は、キャンペーンが同社の総合的な戦略でどのような位置を占めるかについて、米モダンリテールに語った。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。

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ーー御社はどのような理由でこのキャンペーンの開始を決定し、6年間にわたって続けてきたのか?

我々は、誰とつながり、どのようにビジネスを進めていくかということが、チャンプスの全体的なゲームプランの重要な部分だと、何年も前に感じていた。女性アスリートはアスレチックの世界のなかで大きな部分を占めており、当社は重要な場面において、スポーツを行っている女性の注目を集めたいと考えていた。

当社は大きな成功を収めた。当社には、すべてのサービスを提供するという使命がある。また、その優位点を活かし、当社の消費者全体への普及を促進することに重点を置いて活動を行ってきた。

当社は、チャンプスに来て買い物をする消費者の多くが女性であることを理解している。スポーツ界で活躍する女性たちが、大きな変化の火付け役になっていることも知っている。このため当社は、チャンプスブランドとして、そして、フットロッカー社(Footlocker Inc.)のエコシステムの一部として全体的な取り組みを進めていくなか、女性の平等と、全般的な平等に関して、組織として大きな関心を抱いている。

ーーこのキャンペーンを6年間にわたって行ってきたことで、ブランドが学んだ最大の教訓は何か?

当社のブランドは、我々がこれまで行ってきたことに、顧客が関心を抱いていると認識していた。我々は、このようなレベルで関与し、女性のための固有の空間を確立し、注意を喚起した最初の小売業者のひとつだと、私は考えている。

その重要な教訓として、我々は、消費者とその反応から状況を吟味し、主要なベンダーパートナーとの直接的なパートナーシップによってブランドへの認知を促進し続けることができた。

当社が活動してきた何年かのあいだに、ソーシャルメディアも進化し、それらに関連するあらゆるものが発達した今、当社は物理的な環境において消費者とつながれるだけでなく、デジタル環境においても独自の方法で消費者とつながることができる。

ーー提携するアスリートを探すとき、チャンプススポーツが求める資質は何か?

どのアスリートも、スポーツ界をリードする存在であるという点で際立っており、真に主導的な女性アスリートと結びつくことを重視した。

これらのアスリートはすべて、自分が選んだスポーツにおいて非常に強いだけでなく、女性の平等に関する事柄に率直な意見を述べたり、自分たちのライフスタイル全般においてオープンに話するなど、個人としても強いのだ。

ーー多くのブランドは、NIL市場について、現状でその環境の予測が困難なことから「未開の西部(The Wild West)」と呼んでいる。チャンプススポーツはなぜ、大学アスリートの世界に踏み込み、アスリートたちに接触しようと決めたのか?

NIL:学生が自身のNIL(Name:知名度、Image:イメージ、Likeness:好感度)を活かしてマネタイズすること

我々の消費者の多くはNILアスリートたちと同じ年齢層であるため、提携する機会を得たNILグループと仕事を続けていく上で、同世代間のネットワークは非常に重要だ。これらのアスリートたちは非常にアクティブでもあり、自分のインスタグラムのハンドルを使ってプロモーションをしたり、消費者とのコネクションを確立したりしている。

当社は、消費者の多くが日常的に体験していることにつながるような、素晴らしい活動を行っている非常に堅実なパートナーを数多く見つけることができた。そしてそれは、我々と消費者がさらに深い結び付きを作り上げることができる。

我々が関わるアスリートはそれぞれ、我々の消費者でもある。このため、それらのアスリートたちから多くのことを学び、マーケティングの観点から、我々の総合的な方向性の一部として彼らを活用したいと考えている。

[原文:‘A large amount of our consumers are women’: Champs Sports’ general manager on investing in female athletes]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Champs Sports

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