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ピンタレスト(Pinterest)は第2四半期(4〜6月)決算発表で、収益増加が大幅に減速した。これは、ほかの大手テック企業が最近になってデジタル広告の減少を報告したのに続くものだ。
サンフランシスコを拠点とする同社は、収益の9%増加を報告し、収益は6億6600万ドル(約886億円)近くに達した。しかし、画像共有のソーシャルメディアプラットフォームである同社は2021年の第2四半期の決算発表で収益が2倍以上に増加しており、この昨年の急成長と比較して、今年の同時期には成長が劇的に鈍化している。さらに、同社は6月30日までの3カ月について、4300万ドル(約57億2000万円)の損失に転じたが、1年前の同時期には6940万ドル(約92億3000万円)の利益を上げていた。「従業員数が増え、インフラの経費が増加したことから、合計コストと経費が前年比で29%増加した」と、同社は語っている。
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新CEOは決算結果に肯定的な意見
テック企業である同社は6月、Googleのシニアエグゼクティブだったビル・レディ氏をCEOとして任命し、ピンタレストでより多くのショッピングを促進することで、ソーシャルメディア・プラットフォームの成長の新しいフェーズを主導することを期待している。レディ氏はこれまでGoogleで決済およびコマース担当プレジデントを務めており、マーケットプレイスの開発や、Googleの一連のプラットフォームでショッピングに貢献する動画や広告ユニットのテストを担当してきた。このため同氏は、ピンタレストでのショッピングを促進するために同社が行っているすべての投資を高く評価し、決算結果に肯定的な意見を加えている。
レディ氏は声明で次のように述べている。「当社はこの四半期にショッピングやeコマースへの投資を加速しており、私は、インターネット上でポジティブな場所を作り上げ続けている当社のリーダーや従業員の献身に大きな期待を寄せている。ピンタレストは業界における未解決の問題に取り組み、デジタルコマースの長期的な動向を収益化し、人々がインスピレーションから実現に至るまでを支援するユニークな立場にある」。
同氏は株主への手紙で、ピンタレストが「パーソナライズされた、好みに合わせたショッピングのホーム」であり続けると述べている。
「2019年以来、当社は小売パートナーを追加することで10億以上のカタログ品目を集め、小売業者が商品を簡単にアップロードできるようにして、ビジネスの流通取引総額(GMV)を伸ばしてきた」と、レディ氏は語る。大手テック企業である同社は、出品者が商品フィードのアップロードや管理を簡単に行え、小売業者の価格や在庫状況などのメタデータをリアルタイムで更新できるようにするため投資してきた。「当社はユアショップ(Your Shop)のベータテストも進行中だ。これはピナー(Pinner)たち固有の好みやスタイルの情報をもとに、それらに対応した当社のアルゴリズムによって駆動される、カスタマイズされたショッピングページだ」と同氏は付け加えている。
3月までの四半期と比べるとユーザーの伸びは低く、全世界での月ごとのアクティブユーザー数は4億3300万人だが、1年前と比べると5%減少している。同社が第3四半期に向けて提示している業績予想は弱気なもので、収益の増加は1ケタ中盤になるだろうと予測している。
Meta、スナップ、Twitterのすべてで広告が減少
この四半期に弱気な財務決算を報告したテック大手企業はピンタレストだけではない。Facebookの親会社であるMetaは、最新の決算発表で第2四半期の総収益が0.6%減少して288億ドル(約3兆8300億円)に、また広告収益は1%減少して281億ドル(約3兆7400億円)になったことを発表した。メタの収益増加は昨年第2四半期の56%から、6月30日までの四半期には0.6%に減速した。一方で、スナップ(Snap)の収益増加は昨年6月の113%から、最新の第2四半期の決算発表では13%に減少した。
「Meta、スナップ、Twitterのすべてで広告が減少していることを考えれば、ピンタレストの報告は恐れていたよりは良い結果だったといえる」と、ウェドブッシュセキュリティーズ(Wedbush Securities)のトレーディング責任者でマネージングディレクターを務めるサハク・マヌエリアン氏は述べている。
単なるソーシャルプラットフォームからの脱却
ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)は7月、アクティビスト投資会社のエリオット・マネジメント(Elliott Management)がピンタレストの9%を超える権利を獲得したことを報じた。
「さらに重要な点として、エリオット・マネジメントは現在、同社の最大の株主で、この新しいCEOを強固に後援しており、これは同社にとっていい兆候だ」と、マヌエリアン氏は付け加えている。
ピンタレストはこの四半期に、ショッピングプラットフォームの買収も完了した。ザ・イエス(The Yes)の創設者であるジュリー・ボーンスタイン氏は現在、ピンタレストの最高ショッピング責任者を務めているが、同氏は女性向けファッションを中心としてeコマースエクスペリエンスの改修を行うと、米モダンリテールに語った。
「これらの企業が成長の次の段階に移行するには、単なるソーシャルメディアプラットフォームを超えるものとなり、eコマースを自社のためにうまく運用する必要があるだろう」と、マヌエリアン氏は述べている。
[原文:Pinterest revenue growth slows amid rise in shopping investments]
Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:黒田千聖)
Image via Pinterest