繊維廃棄物 から染料を作る新技術を採用したパンガイアの新コレクション:循環型ソリューション新事例

DIGIDAY

8月4日、パンガイアは、繊維廃棄物の端材から作られた染料を使用したコレクション、リ・カラーカプセルラインを発表した。パンガイアはこのコレクションのために、イタリアの染色会社のオフィチーナ+39と提携し、同社のリサイクロム技術を採用した。この染料開発は業界が向き合う2つの課題に取り組んでいる。

8月4日、パンガイア(Pangaia)は、繊維廃棄物の端材から作られた染料を使用したコレクション、リ・カラー(Re-color)カプセルラインを発表した。パンガイアはこのコレクションのために、イタリアの染色会社のオフィチーナ+39(Officina+39)と提携し、同社のリサイクロム(Recycrom)技術を採用した。衣服の染色は、ファッションにおいてもっとも有害で炭素集約度の高いプロセスのひとつであるため、繊維廃棄物を製品に利用することで、さらに新たな化学染料を水路に流すことを遅らせることができる。

衣料廃棄物を活用し染料を作り出す新技術

2019年以降パンガイアでは、ファッションにおけるサステナブルな生産の問題に対するソリューションに取り組んできた。2021年9月には、スケール拡大に備えた技術のイノベーションプラットフォーム、パンガイアラボ(Pangaia Lab)をローンチしている。このラボでは、ファッション生産における問題への取り組みに注力しており、仲間のブランドや消費者に対して、さまざまな方法でファッションの生産が可能であることを証明するカプセルコレクションをローンチしている。リ・カラーカプセルのローンチでは、パンガイアの研究に基づいて、水への負荷が少なく、有害な化学物質を必要としない染料を開発している。これは、繊維廃棄物の処理についてどうするか、カーボンニュートラルあるいはカーボンポジティブで水に安全な染料をどのように作るかという、業界が取り組んでいるふたつの課題に対処したものだ。世界では、毎年1億200万トンの繊維廃棄物が発生していると推定されている。コンサルティング会社のマッキンゼー(McKinsey)によると、業界の水質汚染の25%は繊維の染色と処理に起因している。

リ・カラーカプセルは、パンガイアの余剰素材で作られた染料で染めた4種類のクラシックなスタイルが特徴となっている。各製品は5色の展開で、pangaia.comにて独占販売される。同ブランドは染料技術のリサイクロムを活用し、あまった素材を新たな色へと変化させた。「これがユニークなのは、ブランドは実際に自分たちの廃棄物を活用できるため、回収されたアイテムから調達されたランダムな色ではないという点だ。私たちは、循環型のソリューションを作り出している」と、パンガイアのチーフイノベーションオフィサーのアマンダ・パークス博士は述べている。

すでに企業はリサイクルのために使用可能な製品を回収しているが、このリ・カラーカプセルコレクションは、新たなコレクションのために、染料を作る目的で衣料廃棄物を回収することも可能だという点を示している。オフィチーナ+39の広報担当者は「現在の課題は、従来の染料と比較して、この染料の違いや利点、限界をブランド側に理解してもらうとともに、この技術について知ってもらい、これを獲得してもらうこと」と話す。

生地の染色と仕上げに関する炭素排出量削減を目指す

パンガイアが7月末に発表した2021年のインパクトレポートによると、同ブランドにとって、大きなカーボンフットプリントとなっているのは生地の染色と仕上げである。そのレポートでは、同ブランドの染色と最終的な仕上げの段階は、2番目に影響が大きいカテゴリーである糸の生産よりも64%も炭素集約度が高いことが強調されている。同ブランドの目標は、2022年に染色と仕上げに関わる排出量を10%削減することだ。パンガイアは2025年には75%、2040年には100%の削減を達成したいと考えている。

「繊維(切れ端の廃棄物)は実際に微粒子に粉砕されるが、これは有害ではなく、液体から簡単に分離することができる。汚染物質の寿命を延ばすこともない」とパークス博士は説明した。「典型的な染料は水と分離できないので、水路に到達する前に抽出することが難しい」。

パンガイアのB2B部門と話をしている多くのブランドにとって、カプセルコレクションに新技術を導入するスピードは驚くべきものだ。技術の複雑さにもよるが、パンガイアのイノベーションは、コンセプトからローンチまでが数カ月から1年というのが一般的な時間枠となっている。「実際にすべてのものを私たちがリリースしたのかとまず疑念を抱かれるのはいつものことだ。いま、多くの質問が来ている。進歩はしているが、まだ遅い」とパークス博士は言う。「特に大きなブランドは、変化と適応に長い時間がかかるだろう。だが私たちは、こうしたことを成し遂げることが可能であることを証明するモデルになろうとしているのだ」。

[原文:‘A circular solution’: Pangaia’s new collection was dyed using textile waste]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)


Source

タイトルとURLをコピーしました