夏といえばスイカだ。甲子園とか、花火とか、ほかにもいろいろあるけど、私にとってはまず真っ先にスイカなのである。
からだが水分を欲しているような気がするときに無性に食べたくなる。いや、無性に食べたいから、理由をつけて食べているだけかもしれない。
そんな愛すべきスイカに、愛すべきお酢を注いでみたところ、愛すべきおいしさだったのである。
レモン汁がおいしいならお酢はどうだ
たしか去年の今頃である。スイカにレモン汁をかけるとおいしいと聞いたのだ。話の出どころを辿ってみたろころ、2015年にロケットニュースが記事にしていた。イタリア風の食べ方らしい。
イタリア人もスイカを食べるってこと……?!
そう思うと、飛行機で片道10時間以上はかかる国イタリアのことが妙に近く感じられる。私たちスイカでわかりあうことができるのか。
だけどひとつ残念なお知らせである。わたしの自宅にはレモンがなかった。ポッカのレモン汁とかもなかったのだ。
それでふと思った。お酢をかけちゃダメだろうか、と。
レモン汁とお酢。
彼らは「はげしい酸味」という共通項で結ばれている。
お酢好きとは、なんでもお酢に置きかえたくなりがちなのである。すきあらば、あらゆるものにお酢を注ぎたくなるのだ。
間違えたっていい。もし万が一違うと思ったとしても、自分の胃袋のなかに放り込んでしまえば、明日にはきっともう消化されている。最高の組み合わせに出会うためにはまず、わきめもふらずに注いでみることが大切なのだ。
一口大にカットされたみずみずしいスイカたちにお酢をじゃばじゃばと注いだら、スイカたちがお酢で半身浴をはじめた。
うん!
スイカ単独で食べるときよりも、甘みがバーンと前面に押し出されている感じがする。
酸っぱさのあとに甘さがくる。スイカに塩をかけたときにも、甘さが増したように感じるけど、それとはまた別ベクトルから甘さがあぶりだされているような感じだ。
飛行機で博多に向かっても、新幹線で博多に向かったとしても、どっちを選んでも博多には到着するけど、空路と陸路では通る道がぜんぜん違うし感じ方も違う。途中に見える景色も違う。
きっとそれに近い。お酢をまとったスイカはさわやかに甘い。
ちなみにおすすめはりんご酢とバルサミコ酢なんだけど、穀物酢でもいける。
なお、お酢をかけなくてもスイカは十分おいしいので、すっぱいのが苦手な人には、何もかけずにそのまま食べるのがいいだろう。
お酢が大丈夫っていう人はぜひ試してみてほしい。夏が終わる前に。