プロテイン食のアールエックスバー、朝食市場に参入:発売までの全過程で消費者のフィードバックを反映

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プロテインバーのメーカーであるアールエックスバー(RXBar)の最新の商品展開は、これまでの軽食という枠を超え、特定の食事、すなわち朝食を対象にしている。

2013年に創設された同社は、2017年に6億ドル(約834億円)でケロッグ(Kellogg)に買収された。同ブランドは、複合企業であるケロッグが最近発表したスピンオフのスナック部門の一部で、チーズイット(Cheez-It)やポップターツ(Pop-Tarts)などのブランドも含まれている。買収以後にアールエックスバーの年間収益は2億ドル(約278億円)を超え、ケロッグカンパニーのシリアルの売上減少を相殺するため役立ったとされている。

ここ数年、アールエックスバーは主力商品であるスナックバー以外の新商品をテストし、特に朝食をターゲットとしていた。同社は2019年に、そのまま加熱できるオートミールのカップを皮切りとして、朝食専用の商品を発売することで、朝食市場への参入を試みた。2021年には、初めて朝食用シリアルの商品ラインを発売した。

朝食市場に再参入

これらの新商品が売り出されても、同ブランドでもっとも多く売れた商品は依然としてバーだった。同社は現在、朝食領域への再参入をめざしているが、今回は同社のもっとも知られている商品で参入する。同社は7月、新しい朝食用バーを、アールエックスバー・エーエム(A.M.)という名前で販売開始する。この商品ラインにはハニーシナモン・ピーナッツバター、チョコレート、ブルーベリーの3つのフレーバーがあり、今後ターゲット(Target)やホールフーズ(Whole Foods)で販売される。同ブランドによれば、これらのSKUは今夏の終わりまでに、地元や全国展開の小売業者でも販売されるようになる。

アールエックスバーのクラシックレシピと同様、これらのバーにはプロテインのベースとして卵白が含まれている。しかし、同社はこの商品ラインの口当たりを柔らかくするため、ソフトロールドオーツ麦、ナッツバター、クリスピーな玄米も含めて開発した。さらに、新しい商品ラインでは、同社で広く使われてきたマジョールデーツがベースではなく、ハチミツとココナッツ糖で甘みを出している。

ケロッグの筆頭食品デザイナーでエーエム商品ラインの開発にも携わったトム・リング氏は、新しいバーが消費者からの需要に基づいて開発されたと、米モダンリテールに語った。

「朝食用バーの市場は最近急激に拡大している」と、同氏は述べる。フォーチュンビジネスインサイツ(Fortune Business Insights)によると、この市場は2022年の46億8000万ドル(約6500億円)から、2029年には70億7000万ドル(約9800億円)に成長すると期待されている。「この事実と、当社の顧客からのフィードバックから、この商品ラインを開発するためには、またとない機会だと判断した」。

「当社は、顧客が求めている商品を提供したいと考えた」と、同氏は述べている。「人々は、ナツメヤシの実をベースとして独特な噛み応えを実現した、当社のコアバーを好んでいる」。同社は新しい商品ラインで、人々が期待するフレーバーと栄養価を維持しながら、新しい食感を持つバーを提供しようとした。マーケティングチームは、同ブランドのD2C顧客ベースからこのフィードバックを受け取り、商品デザインチームに意見を転送した。これらの研究の多くは調査とサンプルによって行われ、開発中のレシピに調整が加えられた。

「当社は、これによって商品を口にする機会が次第に増えると考えている」と、リング氏は語る。「このバーを口にする人の50%は、サプリメント、または朝食の代わりとして、朝にこのバーを食べると判明している」。エーエム・バーはパッケージにも日の出をイメージしたグラフィックを使用していると、リング氏は言及している。

消費者からのフィードバックをもとに開発

アールエックスバー・エーエムの発売には、コンセプトから出荷開始まで約1年を要した。そのプロセスには、レシピの試験的な実行や、顧客のフレーバーの好みを組み入れる作業も含まれていた。

リング氏は次のように述べている。「朝食用のバーについては、当社ブランドのガードレール内の原料を探そうと試みた。特に、Googleで検索する必要がないような原料に集中した。ナツメヤシの実を使うのを止め、代わりにオーツ麦、ハチミツ、ココナッツ糖を結合剤や甘味料として追加した。

同氏によれば、このプロセスでは顧客への調査を行うとともに、全体的な状況を把握する必要があったという。「競合他社が何を行っているか、必ず注目している」と同氏は述べる。

また研究開発チームは、開発の過程でマーケティングや販売チームとも協力し、「すべての決定が消費者からのフィードバックにより正当化されることを確認した」と、同氏は述べている。

「当社の研究開発チームの作業は、新しい商品を開発するために最も適した原材料は何かを見極め、それを使って新しいSKUを作り上げることだった」と、同氏は述べている。たとえば、チームは、顧客が砂糖の添加を好まないことは理解していた。「しかし、フィードバックを通じて、ハチミツやココナッツ糖のような天然甘味料は顧客から避けられていないことがわかった」と、同氏は付け加えている。

処方箋ではなく提案

人々の食習慣の変化に合わせて商品を開発するため、継続的なフィードバックは不可欠だと、リング氏は語る。「人々が朝チョコレートを食べることは、私にとって驚きだった。これはわかりやすいことではないだろう」。

消費者の食習慣の変化に対応するために、1日の中で新たに発見されたギャップを埋めるために、新商品を開発するブランドも出てきている。CPGコンサルタントのケンダル・ディッキーソン氏は、人々が自社商品を口にする時間や曜日に合わせようとするブランドが増えてきていると語る。「アールエックスバーのチームが、忙しい日の健康的な朝食として、新しいフレーバーの組み合わせに傾倒するのは理にかなっている」と、同氏は述べる。同氏はこのサブカテゴリーが、オーバーイージー(Over Easy)、マッシュ(Mush)、オーツオーバーナイト(Oats Overnight)などの新興企業の参入により、急速に成長しつつあると言及している。

しかし同氏は、食事の時間や季節に特化した商品は、顧客の混乱も招く可能性があると説明している。そこで役に立つのが具体的なマーケティングキャンペーンであり、使用事例を説明するための困難な作業を担ってくれる。

このような前提から、ケロッグのリング氏は、人々が商品をいつ、どのような形で口にするのかを柔軟に選択できるようにすることが、ブランドにとって重要だと語る。「エーエムというブランドは処方箋というより、むしろ提案だ」と同氏は述べている。

「当社は、この新しい商品ラインが業界や顧客で受け入れられ、さらにラインを拡大していけることに期待している」。

[原文:How RXBar used customer feedback to launch its latest breakfast line]

Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Kellog Co.

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