中国の 顧客獲得 のために、ジョンスメドレーはローカライズされたコンテンツをどう活用しているのか?

DIGIDAY

238年の歴史を誇る世界最古のメーカーとして、ジョンスメドレー(John Smedley)は多くのラグジュアリー消費者の心を掴んできた。同社が生み出したメンズウェアやレディースウェアは、ジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリー氏、ビートルズ、オードリー・ヘプバーン氏など、さまざまな人に着用されてきた。また、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)やサカイ(Sacai)といったファッションブランドとのコラボレーションも行っている。英国と日本で成功を収めたジョンスメドレーは、現在は中国に照準を合わせており、7月上旬に、もっとも人気のある製品を扱うデジタルミニeショップをWeChatを通じて立ち上げた。

2000年にウェブサイトでの海外販売を開始して以来(ファッション業界がeコマースを広く採用するようになるよりもはるかに早い)、同社の伝統あるニットウェアにはヨーロッパ、北米、日本から多くの関心が寄せられており、特に日本は同ブランドにとって最大の輸出市場となっている。日本での成功により、同社は2019年以降、東京や京都などの都市に10店舗をオープン、eコマースもローカライズしている。いまジョンスメドレーのリーダーたちは、日本の若い買い物客がそうだったように、中国のミレニアル世代やZ世代の顧客が、高品質で製品寿命が長くサステナブルなファッションを探す際、同ブランドに目を向けてくれるよう願っている。同社の顧客層はヨーロッパとアジアの市場によって異なるが、平均25歳の女性の買い物客が中心となっている。

市場によって明確な違いがあるため、ジョンスメドレーのマーケティング戦略全体も異なるアプローチになっている。以下、デピュティマネージングディレクターのジェス・マクガイア・ダドリー氏が、さまざまな地域でどのように事業を行っているかについて語ってくれた。

ーーヘリテージブランドであるジョンスメドレーは、さまざまなマーケットにどのようにアプローチしているか?

「ジョンスメドレーというブランドのグローバルなイメージを引き続き構築していく上で、そうした地域ごとのバリエーションについて考えるのは非常に興味深いことだ。我々のブランドは、日本とアメリカではかなり違うものにみえるし、同じように中国でもまったく違うように思えるはずだ。こうしたローカライズされたさまざまな活動をブランド全体として包括し、ブランドとしてのパワーや強さを見失わないようにすることが課題だ。

以前はややリスクを避けており、すべてを一元管理しようと試みたが、実際に活動拠点をオープンにしてローカライズされたコンテンツを持つことで、自社のデータベースが成長し、顧客にとってさらに魅力的な存在になった。中国でのローンチでは、WeChat、微博(Weibo)、小紅書(Little Red Book)とともに新たなチャネルを立ち上げることにしたのもそうした決定の一部だ。我々のブランドと007の映画との関係性も中国では非常に人気があるので、それについて語っているコンテンツページはすべて翻訳して更新し、その市場にふさわしいものにしなくてはならない」。

ーー日本での経験は、中国でのマーケティング戦略にどのように活かされているか?

「日本の顧客は非常にヨーロッパ的なルック&フィールを好んでいるが、グローバルブランドを代表する立場として、我々はデモグラフィックや民族的な点でより多様性を求めている。そこで、メインのブランドコンテンツにいくつかのローカライズされたコンテンツを融合させるために、ソーシャルメディア用にローカルマーケットが独自に撮影を行うことを許可するようになった」。

ーー中国でより若い買い物客にフォーカスすることにしたのはなぜか?

「日本市場では、何年も前からコンテンツや商品のローカライズに関してはかなり前向きな考えでいた。ほかの大きな市場には実際には同じような方法では拡大していなかった。ドイツやイタリアなど、ほかの大きな市場では、新規顧客にリーチするために活用できる新たなチャネルがないのだ。だが中国では、微博や小紅書、WeChatなどを経由して、まったく異なる方法で顧客とコミュニケーションすることができる」。

ーーローンチ後の中国での評判は?

「この1カ月間の最初の反応は良好だ。ローカライズされたコンテンツ、翻訳、新しいマーケティングチャネルをすべて組み合わせて、新たな市場に参入したのは今回が初めてだ。フォーカスグループを実施した際、どこからウールを調達しているのか、他のコットンとくらべてシーアイランドコットン(海島綿)の本当の利点は何か、といったことに人々が非常に興味を持っていることがわかった。より若い世代では、品質への関心が重要な推進要因となっていた」。

[原文:How UK brand John Smedley is using localized content to capture Chinese customers]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

Source