韓国発ベーカリーのパリバゲット、米国の事業規模を2倍に:新店舗設計で攻勢を強める

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ベーカリーチェーンのパリバゲット(Paris Baguette)が、パンデミック前の水準へと回復しつつある。

韓国を拠点とする同チェーンは、コロナ禍以前は拡大路線にあった。2005年に韓国から初めて全米に上陸し、ニューヨークとカリフォルニアを中心に展開していた。しかし、2015年にパリバゲットがフランチャイズを開始して以来、そのベーカリー数はテキサス、ミシガン、マサチューセッツなど複数の州にまたがる99店舗に達した。その大半はフランチャイズオーナーによって運営されている。

成長計画を数年間中断していたパリバゲットは、米国での足場を再び拡大する準備が整った。現在、店舗の売上は2019年の水準を上回っており、前年比40%の成長を遂げているという。拡大戦略の一環として、焼き菓子に重点を置いた新しい店舗設計を実施。同社は、2030年までに全米1000店舗突破を目指しており、今年は56店舗の新規出店を計画している。パリバゲットは今後、数十件のフランチャイズ契約とリースを締結し、米国での店舗数をほぼ倍増させる予定だ。その多くが、小都市や大学の学生にオープンする予定だ。

滞在時間増を狙った新店舗設計

パリバゲットの最高開発責任者マーク・メレ氏は、北米で新しい店舗をオープンするために72のフランチャイズ契約を結んだと米モダンリテールに語った。「我々は今、ポスト・パンデミックの状況下で事業を展開していると考えている」という。

ほかの企業と同様、パリバゲットもパンデミック初期にはオンライン注文とその受け取りに依存していた。しかし、メレ氏によると、顧客はコーヒーと菓子を求めて来店するため、迅速に商品を受け取るよりも、店内で過ごす時間が長くなることがわかったという。そこで同社の本社では、この来客パターンを反映させるため、店舗の見直しを始めた。

パリバゲットでは、この1年間にいくつかのカフェを改装し、ヨーロッパ風のベーカリースタイルにこだわったデザインを新店舗に適用する予定だ。木製パネルや、白黒のサブウェイタイル、パンやケーキが目立つように配置された店舗中央のアイランド陳列など、より魅力的なデザインとレイアウトになっているとメレ氏は説明した。このように、ケーキを中心としたディスプレイ戦略は、パリバゲットのビジネスの40%がケーキであることを反映している。

デザートを並べるこのアイランド型ディスプレイは、スターバックスやパネラブレッドなどのチェーン店に見られる、米国での一般的な店舗デザインとは一線を画している。以前は、焼き菓子はカウンターの後ろに隠れていたが、現在は店内の真ん中に目立つようにレイアウトされている。

「新しいデザインは、昔のカフェを彷彿とさせ、お客様は、昔懐かしいデザートを実際に匂いや味で感じていただくことができる」とメレ氏は話した。「我々は、純粋なベーカリーチェーンであり続けたいので、レストランのようなフルメニューに迷い込むようなことはなかった」という。米国では、サンドイッチやサラダなど、ベーカリー以外のメニューも試したことがあるが、メレ氏によると、今後は当日に焼いたパンやペストリーを中心にメニューを整理していくとのことだ。

都心部以外への進出

この新しい店舗設計によって、都心部以外の不動産にも新たな機会が生まれたと、メレ氏は説明する。「郊外のマーケットやライフスタイルセンターなどを候補地として考えている」と同氏は言う。パリバゲットは今年、ミネソタや、メリーランド、フロリダなど新たな市場に進出し、現在は、ハワイ、フロリダ、テネシーで契約を結んでおり、今月末にはオープンする予定だ。

また、同社は今年、新たに5つの法人店舗をオープンし、より多くの旗艦店をオープンする計画だ。それは、「通常、より大きなフランチャイズ売上と、全体的な関心の高まりにつながる」とメレ氏は述べた。

パリバゲットの新規出店戦略の大部分は、小規模都市や郊外の町など、よりニッチな交通のハブとなっている場所だ。

パリバゲットの新しいフランチャイズ加盟者のひとりであるジュン・ジョン氏は9月、ニューヨーク州イサカ(Ithaca)の大学街での開店を控えている。

ジョン氏の新店舗は、地元のレストランや企業が集まる人気の歩行者専用ストリート、イサカコモンズ(Ithaca Commons)の中心に位置している。秋学期に合わせてグランドオープンする計画で、現在は、街中でプロモーションを行っている。カフェでのアルバイトを希望する学生もいるといい、開店時には地元住民を対象にした割引も実施する予定だ。

韓国出身のジョン氏は、これまでニューヨークやロサンゼルスなど、競争の激しい大都市圏でパリバゲットが成功するのを見てきたという。しかし、イサカは、「ここ数年、留学生や家族連れの増加で、より多様化している」と言い、この大学街がパリ・バゲットの出店に最適な場所になると確信している。

カフェやベーカリーの誘致が増えている

不動産投資会社JBGスミスでリテールリース担当シニアバイスプレジデントを務めるエイミー・ライス氏は、ダウンタウンの大通りやモールにあるレストランやカフェのリース契約が本格化しているという。

外食が盛んになった今、カフェやバー、ベーカリーなどのホスピタリティ・スポットは、複合施設で特に需要が高まっている。ライス氏によると、これらのビジネスは、顧客がより多くの時間を、つまりお金をゆったりと使うことを促すため、家主から好まれているそうだ。「何度も来店してもらうためのフックになることが多い」とライス氏は述べた。

著者:GABRIELA BARKHO(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Paris Baguette

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