『ロボット』という単語はチェコで生まれたことをご存知だろうか? チェコの作家カレル・チャペックが1920年に発表した戯曲『Rossumovi univerzální roboti』作中において、「ロボット」という言葉を自作したのが始まりだそうな。勉強になるねぇ。
そんなロボット発祥の地たるチェコの首都・プラハに1週間滞在してみたが、特にロボットで町おこしをしている気配は感じられない。が……ついに私は見つけた。プラハのランドマーク『カレル橋』からほど近くに、『ROBOTIC BAR』なる店が絶賛営業中なのである。ネタの匂いがプンプンするぜぇ……!
・冷やかしOKなんだぜ
「FREE ENTRY」と書かれたロボットバー、要するに「入店して写真だけ撮ってもOK!」というルールらしい。確かにちょっと勇気がいる佇まいなので、そう言われればこちらとしても安心だ。
サイバーシティを思わせる通路を進み……
2度と戻れなさそうな階段を登る。
BGMと近未来的ピコピコ音がデカすぎて人の声が全く聞こえない。
階段を登り切った先に……
おおぉ……なんとも大胆な作りのバーだ。着席できるのはわずか12人。おそらく混雑した場合、そのへんで適当に立ち飲みしちゃってね、というスタンスなのだろう。
平日昼間だったためか、私は難なく着席。タッチパネルで酒を選び、カードで決済するシステムのようだ。
私はモヒート(140CZK / 約799円)を注文。チャージ料金やチップは一切不要。プラハの一等地であることを考えれば良心的と言えるのではないか。
タッチパネルでメールアドレスを入力すれば、即座にテキストで領収書が届く。ここまで店員の影は一切見えない。これはひょっとすると、完全にロボットだけで運営しているバー? ってことはロボットがお酒を運んでくれるの?? 否が応にも期待が高まる……!
・高まりを極める期待
客たちの見つめる先は、天井から酒ビンを吊るした超未来的空間。
中には2本のロボットアームが配置されていて、どうやらこのメカがカクテルを作ってくれるらしいのである。マジか、超テンション上がるな。
オーダーが入ると、すぐさま正確にリキュールを選択する左側のアーム。
奥の蛇口はおそらくソーダ水だろう。
なめらかな手つきで酒をシャッフルするメカ。ひょっとして近い将来、バーテンという職業は不要になってしまうのかもしれない……? “ロボットに支配される人間” の構図を想像し、私は小刻みに震えた。
そして完成したモヒートを、右側のアームが持つカップへ移す。あとはライムを添えて客席へ運ぶだけだ…………ロボたちは一体、どのようにしてカクテルを運ぶというのか!?
次の瞬間…………
ア、ア、アーーーーーーーーーーッ!?!?!?!?
・詰めが甘いけど楽しいのです
なんということでしょう……見計らったように背後から人間のスタッフが登場。
そしてライムとアイスを添え、スタスタと客席へ運んでくれたのでありました…………いや、ここまで頑張ったなら客席まで運ぶシステム作れるだろ!? スシローでもやってんねんから!!!!
……とはいえ、生まれて初めて飲む「ロボットが作ったモヒート」は大層美味。怪しいネオンの光る店内はムーディーでアドレナリン出まくり。客は全員ニコニコ。誰もが「普通にまた来たい」と感じたことだろう。
なぜか最後の詰めが甘いプラハのロボットバー。冷やかしでもいいので1度は訪れてみることをオススメしたい。ちなみにロボットバーの隣はキンキンに冷え切った『アイスパブ』だぞ! これまたネタの匂いがプンプンするので興味のある方はぜひ!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.