辛味ソースのトラフ、初のオフライン販促はOOH広告:地域全体を巻き込んだ「フードファイト」キャンペーン

DIGIDAY

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クリエイティブな方法で屋外広告(OOH)を行うブランドが増えてきている。

ホットソースメーカーのトラフ(Truff)もそうしたブランドのひとつで、過去数カ月にわたって都市全体を巻き込む広告キャンペーンを行ってきた。このキャンペーンは、広告看板やインフルエンサーによるプロモーションなど、複数の都市全体を対象としたアクティベーションで構成され、現地の人々が自分たちの好きな地元のレストランについて意見を述べ合うことを促している。

たとえばシカゴでは、「シカゴで最高のピザを作るのは誰か」をトラフのフォロワーに問いかけ、同社のウェブサイト上で、キャンペーンに参加しているレストランのなかから、自分の好きなレストランに投票するよう呼びかけた。1カ月に及ぶコンテストのあとで、同社は自社のソーシャルメディアのフィード投稿と現地のニュース番組のコーナーの両方で、優勝者を発表した。

オフラインでの初の取り組み

2017年にD2Cブランドとして設立され、現在1万5000店舗以上の小売店で販売しているトラフは今回、オフライン・マーケティングに初めて取り組んだ。同社は、このようなローカライズされた「フードファイト」を利用して地域の話題を集め、自社のウェブサイトやソーシャルメディアフィードへのトラフィックを間接的に誘導しているという。この「#TruffBest」キャンペーンは昨年秋にフィラデルフィアで始まり、6月にシカゴに進出した。今年後半にはほかの都市でも開始される計画がある。これまでのところ同社は、これらのキャンペーンを実行した都市で売上増加を達成してきた。この1カ月間で、イリノイ州は同社のD2C売上高において6位から1位に上昇した。

初回のコンテストは、フィラデルフィア式チーズステーキを対象としたものだった。トラフのキャンペーンで優勝したレストランは、ジョンズローストポーク(John’s Roast Pork)だった。コンテストの一環として、現地の人々は好みのチーズステーキの店に投票し、優勝者には同社から1万ドル(約135万円)の現金が贈られた。

トラフの共同創設者であるニック・ギリエン氏は、過去5年間において同社のマーケティングのほとんどはデジタル特化だったと、米モダンリテールに語った。同氏は次のように述べている。「当社は、最初のソースを発売する前に、インスタグラムのアカウントを開設するところからスタートした。当社はオンラインでは好調だが、今は自社商品をオフラインで宣伝しはじめたところだ」。

強力な屋外広告キャンペーンは次のステップとして自然なものだったと同氏は語る。「しかし、我々はこのキャンペーンを、対話やちょっとした議論さえも生み出すような方法で行いたいと考えた」。

「当社は広告看板企業と協力して適切なオーディエンスに対象を設定し、エンゲージメント率が高いだろうと当社が予測した特定の地域を含めるようにした」と、同氏は述べている。広告スポットにはフィラデルフィアのファッション地区の一角など目を引く場所も含まれている。「また、レストランの参加を促すことにも力を入れた。現地の人々が熱意を持って参加するためにはそれが重要だった」。

地域を巻き込んだキャンペーン

コンテストを盛り上げるための現地コラボレーションのひとつとして、フィラデルフィアのストリートウェア専門店ピーズ・アンド・キューズ(P’s & Q’s)と共同で、チーズステーキツアーを開催した。NFLチームのフィラデルフィア・イーグルス(Eagles)でワイドレシーバーを務めるジェレイン・リーガー選手が出演したこのイベントは、全米最大のナチュラル系プロダクツの展示会「ナチュラル・プロダクツ・エキスポ・イースト(Natural Products Expo East)」の期間中に行われたため、「街じゅうの食品関係者の大きなネットワークを使うことができた」と、ギリエン氏は説明している。

同ブランドは5月初め、シカゴで最高のピザをテーマにしたイベントのシリーズの最新作を発表した。これは実質的にシカゴでの屋外広告キャンペーンを締めくくるもので、コンテストでは「シカゴで最高のピザを作るのは誰か?」が問われた。このシカゴでの屋外広告看板をサポートするため、このコンテストと並行して、2つのコンテンツシリーズをリリースした。そのひとつは有名なディープディッシュなど、異なるスタイルのピザを特集したナンバーシックスウィズチーズ(Number Six With Cheese)によるYouTubeピザツアーだった。

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これらのマーケティング要素すべてによって、各都市におけるフードシーンをトラフが「独占」できたと、ギリエン氏は語る。一方で、参加したレストランは賞金を勝ち取り、それを話題にする権利を求めて、自然にトラフによるコンテストを宣伝するようになった。「あるレストランでは、顧客に投票してもらうために、無料でピザを配ることまでした」と同氏は述べている。

ソーシャルメディアの声を活かす

同社には社内コンテンツ開発チームがあり、同社の遊び心のあるソーシャルメディアの声を、物理的なマーケティングに持ち込もうと試みている。

同社のマーケティング担当ディレクターを務めるミッシェル・ゲイブ氏は、「この目標に向けて多くの調査が行われており、その多くを占めるのはオンラインでのエンゲージメントについての調査だ」と述べている。マーケティングチームはYouTubeのコメントや、掲示板型ニュースサイトのレディット(Reddit)のスレッドを調査して、オンラインとローカライズされたキャンペーンの両方について、バイラル化の可能性を的確に評価していると同氏は語る。

同社は地元のフード系インフルエンサーに呼びかけ、食料品店でのショッピングの様子を紹介するなかで、トラフの商品をほかの好みのブランドとともに購入するよう依頼した。一部のクリエイターは、キャンペーンのプロモーションの一環として、ピザのレビューまで行った。

ゲイブ氏は次のように述べている。「我々は、レストランがポストカードをダウンロードし、デリバリー・オーダーなどに添えられるように、カスタムページを用意するなど、印刷用の宣伝資料も多く作成した。これらは、キャンペーン情報を広めるために非常に効率的なツールであると感じた」。キャンペーン終了の時点で、シカゴでのコンテストへの投票数は1万2000票を超えた。

オンラインとオフラインの融合

屋外広告キャンペーンのためにトラフと共同で作業を行ったクァン・メディア・グループ(Quan Media Group)でCEOを務めるブライアン・ラッパポート氏は、屋外マーケティングの競争が激しくなっていく状況で、各ブランドはクリエイティブなキャンペーンによって他社から抜きん出ようとしていると語る。同氏は次のように述べている。「屋外広告をはじめてテストするブランドが増え続けている。当社は今年75件の屋外広告キャンペーンを行い、その4分の1ははじめてのブランドだった」。

デジタルプレイス・ベースト・アドバタイジング・アソシエーション(Digital Place-based Advertising Association、DPAA)のプレジデント兼CEOを務めるバリー・フレイ氏は、小売業者やブランドは、消費者のエンゲージメントを促し、自社ブランドのマーケティングを行うために、スクリーンやローカルアクティベーションを活用することによって、これまでにも増して「自分たちの分野でイノベーティブかつクリエイティブになりつつある」と語っている。「これは、オムニチャネル環境におけるデジタル屋外広告の最先端だ」と、同氏は述べている。

「トラフのようなブランドは屋外広告を賢い方法で使用していると思う。最大限のお金をかけるのではなく、ハイパーローカルで効果的なことが重要だということだ」と、ラッパポート氏は述べている。

トラフにとって、屋外広告チャネルのテストの一部は、自社のデジタルマーケティングと、屋外広告がもたらすオフラインでの認知を融合させることだ。これは、同ブランドの対面およびオンラインキャンペーンによって簡単にクロスプロモーションが可能な、コラボレーションやユーザー生成コンテンツを作り上げることを意味する。現在進行中の都市に特化したフードファイトはその例だと、ギリエン氏は語っている。同時に、トラフは各チャネルのオーディエンスに合わせてメッセージを調整することを試みている。同氏は次のように述べている。「あらゆるチャネルに適用可能な戦略は存在しない。たとえば、TikTokにネタ動画を載せるのが、当社にとって最高のエンゲージメント率をもたらすことがわかった」。

同ブランドは、今後数カ月に同様のブランドコラボレーションとキャンペーンを開始すると、同氏は語っている。「当社が活用可能な、優れたフードシーンは数多く存在する」と同氏は語る。また、同ブランドは自社商品との相性のいい料理を見つける必要もある。「しかし、重要なのは適切な組み合わせを見つけることだ。これは現地の人口統計と、当社の小売への展開に依存している」。

[原文:Hot sauce maker Truff is building out-of-home campaigns around local ‘food fights’]

Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Truff

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