YouTubeショート で新規リスナー獲得に取り組むパブリッシャー:「YouTubeショートはポッドキャスト番組の宣伝ツールにできる」

DIGIDAY

クリエイターにとって、YouTubeショートはしばらく前から、YouTubeで長尺動画の視聴者を獲得するためのファネルとして機能してきた。

だが、ポッドキャストのパブリッシャーも、YouTubeショートの60秒以下の動画が、YouTubeチャンネルに投稿した動画ベースのポッドキャスト本編のエピソードに新しい視聴者をもたらすマーケティング手段になりつつあると考えている。

今回のポイント

  • ポッドキャストパブリッシャーが、YouTubeショートを動画ポッドキャストのマーケティング手段として使用している。
  • ベッチェス・メディア(Betches Media)がYouTubeで公開しているポッドキャスト「U Up?(起きてる?)」では、ショート動画の公開によって本編のエピソードの再生数が40%以上増加した。
  • ショート動画によって新しいオーディエンスを生み出せる可能性が見られ始めたことから、一部のパブリッシャー は、本編のエピソードをすべて動画に移行する前に、プロモーション用のショート動画を制作することを検討している。

ポッドキャストの「発見」ツールに

ベッチェス・メディアのポッドキャスト「U Up?」の場合、ショート動画のおかげでYouTubeチャンネルの再生数がすでに40%ほど増加した。ただし、このチャンネルの登録者は6800人ほどに過ぎない。これに対し、AppleのポッドキャストやSpotify(スポティファイ)など、他のあらゆるポッドキャストプラットフォームでは、月間ダウンロード数が平均で100万件を超えているという。また、YouTubeチャンネルのデータによれば、YouTube動画の再生数は平均で1件あたり数千回であり、ショート動画からの総再生数は、1エピソードあたり数百~1000回程度しかないのが現実だ。

それでも、ショート動画を見た人の90%が「U Up?」チャンネルに新しくやって来た視聴者(過去90日以内にこのチャンネルを訪れなかった人)だと、ベッチェス・メディアで最高売上責任者を務めるデーヴィッド・スピーゲル氏は話す。

「(YouTubeショートは)まだ実験段階だが、このような露出の仕方にはそれなりの価値があると考えざるを得ない」と、スピーゲル氏はいう。また、そのような考えの下で、同氏のチームは、「ポッドキャストのプロモーション戦略の多くを短尺の縦長動画にシフトさせた」と、スピーゲル氏は付け加えた。これには、YouTubeショートだけでなく、TikTokやインスタグラムといった他のソーシャルプラットフォームも含まれる。

視聴者獲得のためのマーケティング手段

ベッチェス・メディアはいまのところ、この新しい視聴者が最終的に他のオーディオプラットフォームでポッドキャストの購読者になったのかを確認できるデータを持ち合わせていない。だが、この全般的なブランド認知の機会が同社の今年のマーケティング戦略の焦点になっていると、スピーゲル氏はいう。

「純粋に新しい視聴者だけに目を向けるのであれば、必要な(マーケティング)手段だと思う。私たちは(ポートフォリオの他のポッドキャストの)YouTubeチャンネルを立ち上げる前に、より多くの番組で短尺形式の動画のリリースを増やしているところだ」と、スピーゲル氏は語った。関心を持った視聴者は自分でポッドキャストアプリから番組を探すようになるはずだと、同氏は楽観的な見方を示している。

ある業界関係者が匿名を条件に語ったところによれば、この人物はDIGIDAYの取材を受ける直前に、ポッドキャストを配信している2社のクライアントに電話し、YouTubeショートを番組の宣伝ツールとしてまだ使っていないのなら始めるべきだと、アドバイスしたという。

「私たちはクライアントが自社のポッドキャストのチャンネルでオーディエンス数を増やすことに成功した事例を多く目にしているが、その理由のひとつは(彼らが)YouTubeショートを利用していることにあると私は考えている」と、この人物は語った。ただし、同氏が担当しているクライアントにおいて、実際にオーディエンスがどれほど増えたのかは明かしていない。

YouTubeチャンネル登録者の93%がショート経由

ブリーチャー・リポート(Bleacher Report)の姉妹ブランド「ハウス・オブ・ハイライツ(House of Highlights)」では、1年ほど前からYouTubeショートをソーシャルメディアコンテンツ戦略の中核に据えていると、ハウス・オブ・ハイライツおよびブリーチャー・リポートのライフスタイルポートフォリオのゼネラルマネージャーを務めるドリュー・ミュラー氏はいう。ハウス・オブ・ハイライツのメインチャンネルの戦略はオリジナルのショート動画を作成することで、必ずしも長尺コンテンツを視聴者に紹介しているわけではない。だが、初めて来たリスナーにハウス・オブ・ハイライツのポッドキャストの動画バージョン「スルー・ザ・ワイアー(Through The Wire)」を紹介する手段としてショート動画を利用していると、同氏は説明した。

「YouTubeショートは(スルー・ザ・ワイアーの)成長戦略の大きな部分を占めており、オーディエンスを長尺のエピソードに誘導することで、この半年間にオーディエンスが倍増した」と、ミュラー氏は述べている。

広報担当者によれば、ハウス・オブ・ハイライツは2022年にYouTubeチャンネルの登録者を370万人増やしたが、その93%がYouTubeショートからの流入だったという。

ポッドキャスト配信プラットフォームとなるか

アイハートメディア(iHeartMedia)は、動画ポッドキャストへの投資を続けているが、その狙いはオーディエンスが好むどのプラットフォームにも番組を配信することだと、同社でプレジデントを務めるウィル・ピアソン氏はいう。ただし、「近いうちに、当社のありとあらゆるポッドキャストが次々と動画化されることはないと思う」と付け加えた。

「現状では、当社がテストしているいずれかの形式の動画を通じてポッドキャストを発見した人々が、普段からポッドキャストを聴いている場所でより熱心なリスナーになる例が増えている」と、ピアソン氏は話す。その上で、チームがこの状況を追跡できているのは、リスナー調査でポッドキャストをどこでどのように見つけたのか尋ねているだけでなく、いくつかのソーシャルメディアプラットフォームからアトリビューションデータを得ているおかげだと語った。もっとも、このようなデータがすべて同じように分析されるわけではないという。ただし同氏は、YouTubeプラットフォームの分析機能に関して、詳しい説明は拒否した。

YouTubeは、ポッドキャスト配信プラットフォームとしての役割をより真剣に果たそうとしているようだ。8月にはポッドキャスト探索ページを立ち上げ、ユーザーが新しい番組を見つけやすいようにしている。

[原文:Media Briefing: Podcast publishers are using YouTube Shorts as a way to attract new audiences

Kayleigh Barber(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:分島翔平)

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