マリ・クレール のECサイト、英国から米国へと拡大:コマース売上だけでなく広告収益も

DIGIDAY

英メディア企業フューチャーplc(Future plc)傘下の米マリ・クレール(Marie Claire U.S.)は、過去6カ月間に小売業者向けのeコマース売上で1000万ドル(約12億円)以上を売り上げた。その実績を背景に現在、デジタルショッピングサイトを立ち上げている。同ブランドは、英国に同様のショッピングハブを持っているという。

米国版のショッピングサイトは、マリ・クレール・エディット(Marie Claire Edit)と呼ばれ、3月15日にローンチされた。最初の2カ月間は、ノードストローム(Nordstrom)との独占契約となり、同百貨店の女性セクションのみが販売される。加えて、マリ・クレールのエディターによる選りすぐりのセクションもある。

ノードストロームとの契約が切れたあとは、米国のその他のファッション小売業者にも、マリ・クレール・エディットは開放される。同ブランドは55の小売業者と提携したいと考えており、英国版が提携しているのと同数となる。マリ・クレール社のeコマース部門責任者、エミリー・ファーガソン氏によると、同社はこれらの小売業者と幅広い内容の売上分配契約を結んでいるという。同氏は条件や金銭的な詳細については明らかにしていない。

英国版はECと広告の収益が同じ割合

ファーガソン氏によると、2018年に設立された英国のマリ・クレール・エディットは、2021年の収益額が前年比で倍増したという。同社の収益は、eコマース売上高と広告収益が同じ割合になっていると同氏は述べたが、具体的な収益額の数字は明かさなかった。昨年は売り上げ自体も倍増したという。ファーガソン氏はまた、過去6カ月間に販売されたプロダクトの数についても明らかにしていない。

マリ・クレール・エディットの平均注文額は397ポンド(約6万3000円)だという。フューチャーplcは、2020年4月にTIメディア(TI Media)を買収した後、2021年5月にマリ・クレールを買収。TIメディアはマリ・クレールの英国版ブランドを所有していた(フューチャーのコマース売上は2020会計年度から2021会計年度にかけて36%増加し、2億8560万ドル[約352億円]で総売上の35%を占めた)。

ファーガソン氏によると、マリ・クレールはこのショッピングハブを利用して、ブランドとの1年間の契約や、サイトでの四半期ごとのアクティベーションなど、マリ・クレール・エディットに関する広告を宣伝しているという。広告の内容は、サイトへのスポンサーシップから、ライセンス提携、チャンネルのテイクオーバー契約まで多岐にわたる。ブランデッドカスタムページもハブ上に構築できる。たとえば、英国版のサイトではネッタポルテ(Net-a-Porter)が、「サイトのビューティセクション全体を占有する」ことに料金を支払っている。これはつまり、ビューティ製品はすべてネッタポルテから供給されていることを意味する、とファーガソン氏は言う。サイトのビューティ部門は2020年にローンチしており、この契約にどれだけの金額がついているかは不明だ。

ファーガソン氏によると、マリ・クレール・エディットの広告はすべて直販となっていて、在庫はプログラマティックでは販売されていないという。マリ・クレールのチームは、ノードストロームとの独占契約後に開始するブランドとの契約をまだ詰めている段階であり、ファーガソン氏はこれらのブランド名を明らかにしなかった。

広告主向けのアプローチ

デジタル広告代理店ティヌイティ(Tinuiti)で戦略的マーケットプレイスサービス担当シニアディレクターを務めるエリザベス・マーステン氏によると、マリ・クレール・エディットが提供する広告に興味を持つブランドは、「(マリ・クレールの製品紹介に)取り上げられることに慣れているブランドか、有料オプションの予算を確保しているブランド」だろうという。パブリッシャーたちは一般的に、紙面版の広告主にデジタルショッピングハブでの広告スペースを提供するなどの「パッケージ」を提供することで契約をより魅力的にすることができる。

ファーガソン氏によると、このショッピングサイトのマーケティングは、サイトが公開された時に、ピンタレスト(Pinterest)上のボードや、買い物のポイントを掲載した専用のニュースレター、マリ・クレールのサイト上の記事、ソーシャルプロモーションなどで始まるという。

しかし、課題は「ユーザーの注目をどうやって集めるか」だとマーステン氏は言う。Amazonやウォルマート(Walmart)といったオンラインショッピング大手と競争するのは難しいかもしれない。「ユーザーが閲覧したプロダクトのFacebook広告を購入する以外に、コンテンツとショッピングサイトへのエンゲージメントを促進するためにパブリッシャーは何ができるだろうか。重要なのは、これをスケールアップできるかどうかだ。そうでなくて、月にハンドバッグを5つしか売れないようなら、広告や予算、統合などに取り組んでやる価値はない」とマーステン氏は付け加えた。

英国版のサイトでは、ネッタポルテ、マッチスファッション(MATCHESFASHION)、ファーフェッチ(Farfetch)など、55以上のショップから150万以上の商品が揃っている。このサイトでは、「フェンディ(Fendi)の指輪」や「グッチ(Gucci)のスニーカー」など、2万4000以上のショッピングおよびブランド用語の検索ランキングが表示される。ファーガソン氏によると、英国のマリ・クレール・エディットへのトラフィックの約50%はオーガニックで、そのほとんどがGoogle検索からのもので、その他はソーシャルとダイレクトのトラフィックが混在しているという。

「検索はファネルの底にもっとも近い」とマーステン氏は言った。商品を検索するということは、消費者がすでにその商品に興味を持っていることを意味するからだ。

「英国での成功を米国でも再現」

広告代理店ウェイブメーカーU.S.(Wavemaker U.S.)のイノベーション・コンシューマーテクノロジー担当マネージングパートナーであるホイットニー・フィッシュマン氏は、「消費者に関心を持ってもらうことと実際に顧客として獲得することのギャップを埋めることは、どのプラットフォームでもユーザーを維持するために非常に重要だ」と述べ、「カート(に商品を入れても)を取り消すか、購入まで進むかの違いは、たった数クリックの違いだったりする」と続けた。

米国でマリ・クレール・エディットのローンチを監督しているファーガソン氏によると、「マリ・クレールのオーディエンスに、コンテンツの一部を購入することから、サイト上で購入することへと移行させ」、そして「エディトリアル用語ではなく、Googleを通してショッピング用語でインデックスを作らせ、ランク付けさせる」ことが目標だという。

「我々は英国での成功を再現し、米国の視聴者のために没入感のあるものを作りたいと思っている」と彼女は言った。

[原文:Marie Claire expands shopping hub from the U.K. to the U.S.

Sara Guaglione(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)
Illustration by IVY LIU

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