「 EC が将来的に、実店舗を大幅に上回ると確信している」: フレッド・シーガル の J・ロットマンCEO

DIGIDAY

パンデミックが始まる前、フレッド・シーガル(Fred Segal)のオーナー兼CEOのジェフ・ロットマン氏は、ロサンゼルスに根を張る、このシックな美意識と自由奔放な感性を誇るファッション・家庭用品・アクセサリーのブランドを全世界に広げたいと思っていた。

フレッド・シーガルは1961年に服飾とアクセサリーのブティックとして設立され、短期間のうちにセレブと旅行客の両方にとって、ロサンゼルスを象徴するファッション専門店となった。2018年には、ロットマン氏のライセンス企業であるグローバル・アイコン(Global Icons)社に買収され、現在のフレッド・シーガルは、ロサンゼルス、マリブ、ラスベガス、ソウルに5つの店舗を構えている。グローバル・アイコン社がこの小売業者を最初に買収したとき、社長のジョン・フライアソン氏は20を超える店舗への拡大を約束し、全米だけでなくアジアや欧州にも新しい店舗の開設を計画していた。

しかし、オンライン取引を中心とする方向に舵を切らざるをえなくなり、eコマースサイトの再構築と、ライブでのオンラインショッピングイベントへの投資を行うことになった。今日のフレッド・シーガルは、eコマースへの出資、店舗拡大への復帰、新しい顧客の獲得に向けたキャンプビバリーヒルズ(Camp Beverly Hills)などのトレンディなレトロブランドの再開を並行して進めている。

ロットマン氏は、米モダンリテール(ModernRetail)のインタビューに応じ、以前の流行を復活させ、ロサンゼルスのシックなセンスを全世界に広める計画について語った。なお、本インタビューは読みやすさを考慮し、一部編集を加えてある。

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――あなたは7月、80年代のブランドであるキャンプビバリーヒルズを自社の店舗で再発売した。ブランドの復活までの経緯について聞かせてほしい。

わが社は、おもにカウンターカルチャーや、60年代、70年代、80年代を強く意識しているため、私たちのプラットフォームはレトロブランドの再立ち上げには最適だ。私はキャンプビバリーヒルズを7年間にわたり追いかけてきた。このブランドは、80年代後半から90年代前半にかけて一世を風靡したが、その後、ほかのブランドと同様に衰退して消え去った。以前にもこのブランドの復活を試みた者はいたが、みな新たにブランドを作り直そうとした。これほど偉大なブランドに対して、それは愚かな行為だった。人々が求めているのは本物のブランドなのだ。だから、私たちの構想は極めて明確だ。1982年に購入したシャツをそのまま押し入れから取り出してきたのと同じものを再現することだ。私たちは現在、キャンプビバリーヒルズの実売の70%を担っている。これは極めて大きな割合だ。

レトロやビンテージの服には特定の人々の精神に訴えかけるものがあるため、それを求める層は常に存在する。そのため私は、この分野でそれなりに認知されているブランドを見出し、販売を続けていくことができると確信している。私たちはこの分野において継続的に実績を積み重ねていく。だいたいの目標として、年2回までを上限として、そのようなブランドを盛り立てて、よみがえらせることになるだろう。

――パンデミックにより店舗の営業開始予定は遅延したか? 今でもアジアや欧州への展開を計画中か?

私たちは、日本におけるすばらしい商談をまとめることができた。文字どおり自宅でワインを飲みながら、その商談の成立を祝っていた。それが昨年2月第1週のことだ。しかし2月第2週には、すべての当てが外れ、それからは何もかも悪化していった。

しかし今になって突然、事態が再び熱気を帯びてきた。現在はUAEのパートナー何社かとの話が進んでおり、同国で成果が得られるものと確信している。また、中国のパートナー候補数社とも商談を行っている。私たちは、中国が大きな成長の機会になると考えている。ロサンゼルスには、世界中が憧れをいだく場所というイメージがあるからだ。ロサンゼルスはセレブの土地であり、ホットでクールなものが集まる場だ。私は米国にフレッド・シーガルの店舗を4つか5つ、ことによっては6つ開設するつもりだ。欧州にもいくつか、アジアにはさらに開設することになるかもしれない。

――フレッド・シーガルは、「LAクールの総本山」とも呼ばれている。全世界の各店舗で、その「クールさ」をどのように表現しているか?

私たちはロサンゼルス流のスタイルを常に押し出しているが、それと同時に、ほかの国・都市・州では現地の才能ある作家たちをも引き立てようとしている。だから、各種のコミュニティ、各種の店舗の間で有能な人材の交換を始めようと考えている。そのために、韓国のデザイナーの何人かを参加させることを検討中だ。わが社の韓国店舗は大きな成功を収めている。東海岸に店舗を開設したときには、そこでも同じことを行うだろう。

――ブランドの在庫期間はどれくらい? その期間はプライベートレーベルと異なるのか?

特定のブランドについては入荷してから短期間で店舗展開するか、何らかの戦略を打ち出し始める。それは1カ月の場合もあるし、場合によってはわずか2週間という場合もある。しかし、そのブランドに本当に集客力があるとしたら、その在庫が切れないように注意し、店舗に長い期間置き続けたいと思う。その点で、これらのブランドの人気はさらに1~2年続く可能性がある。しかし、顧客を集め、ブランドへの認知を広めるチャンスを増やさなければならない以上、ブランドの入れ替えをそれほど目まぐるしく行いたいとは必ずしも考えていない。

――パンデミックの渦中におけるeコマースへの投資について伺いたい。フレッドシーガルは「発見」に焦点を置き、それは伝統的に店舗との結びつきが強かったと思うが、オンラインでの戦略はどのようなものになったのか?

現在のところ、私たちは革新よりも調整や修正をおもに行っている。だから、わが社のサイトには、まだ適切でない部分が多々ある。サイズや並べ替えなどの細かい部分だ。eコマースのプラットフォームとして成立するには、ここなら安心して買い物できると思わせるものを確実に提供すべきだと思う。

私がeコマースの将来に期待している理由は、サンセット大通りとマリブの店舗が、ごく少数の顧客から多くの収益を得ているためだ。この事実から、「これだけ小さな規模の顧客から多くの収益を得られるなら、さらに広い層に拡大して大幅な収益増が可能だ」と推測できる。

私は、eコマースが将来的に実店舗を大幅に上回るものになると確信している。現在のところ実店舗のほうがeコマースよりも明らかに多くの売上を得ているが、今後2年間で事態は変化するだろう。

[原文:Fred Segal’s Jeff Lotman on the fashion retailer’s return to global expansion]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:戸田美子)

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