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2021年第4四半期においても、消費者のアパレルへの関心は引き続き高いものの、経営陣たちは決算発表で、インフレの圧力と在庫の遅延によって成長が鈍化していると語った。
第4四半期業績では、多くの小売業者やブランドのアパレル収益が増加した。メイシーズ(Macy’s)やタペストリー(Tapestry)、ノードストローム(Nordstrom)、ファーフェッチ(Farfetch)の売上高は前年同期比で4〜28%増加した。しかし、2年間の成長率は中途半端なもので、メイシーズなどの企業では1ケタの成長に留まった一方、コールズ(Kohl’s)やノードストロームではマイナス成長を示した。多くの業者はインフレと在庫の遅延が原因で売上が停滞している。
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チコズFAS(Chico’s FAS)の最高財務責任者を務めるP.J.グイード氏は、3月1日の第4四半期決算発表で次のように述べている。「情勢には変動要素が多い。原材料のコスト高から、商品のコストが増大している。送出と受取の両方の輸送料金は、インフレとサプライチェーンのボトルネックによって上昇している」。
それでも多くの小売業者がこれらの問題点を克服し、アパレルの在庫を第4四半期の成長軌道に乗せる方法を見いだしてきた。今四半期におけるアパレル小売業者の戦略をより的確に理解するため、米モダンリテールは、アパレル小売業者各社による最近の決算発表でのコメントをまとめた。
季節ごとの在庫が最重要
在庫切れと配送遅延が頻繁に起きるなか、適切な在庫を適切な時期に確保するだけで、この四半期に成功を収めた小売企業もいる。
2021年の第3四半期、ほかのアパレル小売企業が2年ぶりの成長を報告するなか、ノードストロームは、オフプライス事業であるノードストロームラック(Nordstrom Rack)の売上が2年間で8%減少したと報告し、株価が急落した。ラックの第4四半期業績は、第3四半期より320ベーシスポイント改善したものの、売上額は依然として2019年を下回った。
小売コンサルティング企業のエー・ライン・パートナーズ(A Line Partners)の創設者であるガブリエラ・サンタニエロ氏は次のように述べている。「ノードストロームの前回のレポート(今回のひとつ前のレポート)はひどいもので、誰もが予測を再調整しただろうと私は考えている。しかしその後、ノードストロームは多少の利ざやの拡大を実現し、店舗を閉鎖し、その周りではより多くの楽観的な意見が見られる」。
CEOを務めるエリック・ノードストローム氏は決算説明会で、オフプライス小売であるラックの「在庫フロー」の最適化が、今四半期の売上を向上するための鍵だと説明した。
「第4四半期には、在庫の流れを良くし、店舗への配送頻度を高め、ブランドと提携してラックの配送を優先し、シューズやアパレルなど消費者にもっとも重要なコアカテゴリーに調達のための労力を集中させることで、ラックの在庫状況を改善した」と、ノードストローム氏は述べる。
さらに、「パック・アンド・ホールド(pack and hold)」と呼ばれる在庫戦略も展開し、入荷予定のほかの在庫が遅延したときや、突然の需要増に備え、必要以上に商品を購入し、在庫を確保するといったことも実施した。
一方、アバクロンビー(Abercrombie)は在庫の遅延のため、成長が鈍る結果になった。2021年の第3四半期に、同社の売上高は前年比で10%、2年間ベースで5%増加した。しかし第4四半期の売上高は前年比でわずか4%しか増加せず、2年間合計では2%減少した。
アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)のCEOを務めるフラン・ホロウィッツ氏は、「11月後半から12月にかけて、予期しない大幅な在庫入荷の遅れがあったため、ホリデーシーズンのピーク時の需要を満たせなかった」と、投資家やアナリストに語った。ホロウィッツ氏は、特にサブブランドのホリスター(Hollister)とギリーヒックス(Gilly Hicks)が商品の遅延の影響を受けたと付け加えている。
今後さらに問題が続くことを避けるため、ホロウィッツ氏は、同ブランドが「商品カレンダーをアップデートし、港湾や輸送業者、生産国を多様化する」ことに重点を置くと告知した。
デニムは引き続き有望
デニムのブームは第4四半期まで続き、ターゲット(Target)や、チコズ、アメリカンイーグル(American Eagle)、メイシーズ、ノードストローム、コールズ、アバクロンビー&フィッチの経営陣たちはすべて、このカテゴリーでの成功を声高に強調している。
ノードストローム氏は次のように述べている。「当社の分析により、デニムを一番商品群のカテゴリーとしてさらに拡大する機会があることが明らかになった。もっとも人気の高いジーンズの在庫を増やし、顧客向けに確実に在庫を確保した。また、豊富な品揃えを強調し、購入しやすくするために、店舗専用のウィメンズデニム(Women’s Denim)ストアを試験的に開設した」。
「ジーンズは依然として大流行中だ」と、アメリカンイーグルのプレジデントとエグゼクティブクリエイティブディレクターを務めるジェニファー・フォイル氏は、決算説明会で述べた。
サンタニエロ氏は、消費者がこの1年で多様なワイドレッグのシルエットを好んできたことを指摘して、ジーンズのバブルがすぐに弾けるとは考えていないと付け加えた。
サンタニエロ氏は次のように述べている。「スキニーデニムはスキニーデニムであり、シルエットに違いはない。ワイドレッグにはブートレッグ、フレア、バルーン、ストレートレッグなど多くの種類がある。人々がデニムのトレンドに乗っており、多くの商品を買い込んでいるのは、今人気のスタイルがたくさん存在するからだ」。
実店舗への回帰
店舗への訪問者数は、パンデミックが続いていることから依然として変動が激しかった。たとえばプレイサーエーアイ(Placer.Ai.)によると、ターゲットとウォルマート(Walmart)の来店者数は前年に比べて増えているが、百貨店への来店者数は2年連続で減少している。
しかし、アパレルやマルチカテゴリーの小売業者は依然として、長期的には顧客が店舗に戻ってくると予測している。そのため、これらの小売業者は多額の投資を発表した。
コールズは2022年に、店舗体験に8億5000万ドル(約986億円)を投資し、400のセフォラ(Sephora)店舗内ストアの設置と店舗の改装を行う。さらに5店舗を新規オープンし、4店舗を移転する計画だ。一方でターゲットは、おもに店舗内の改装のため、年内に50億ドル(約5800億円)の出資を計画している。
ノードストロームのCFOを務めるアン・ブラマン氏は、同社の第4四半期の決算発表会議で、おもに「店舗とフルフィルメントセンターの両方における要員確保のために意図的に投資した」の結果として、販売費および一般管理費が増加していると報告した。
これに対してアメリカンイーグルは、自社ブランドのエアリー(Aerie)と、新しいアクティブウェアのサブブランドであるエアリーオフライン(Aerie Offline)の両方の新店舗への投資に注力している。第4四半期だけでも、アメリカンイーグルはエアリーの単独店舗を31店舗開設した。アメリカンイーグルは2020年後半にふたつの店舗でオフラインの試験的な営業を行い、2021年の春にはオフラインの新店舗を8店舗開設した。これまでのところ、エグゼクティブバイスプレジデントとCFOを務めるマイク・マチアス氏は、同社の最近の決算発表において、新しいオフラインの形式が「標準的、またはそれより良好な」業績を挙げていると報告した。
ただし、アパレル小売業者は実店舗を捨てようとはしていないものの、実店舗を利用してオンラインでの取り組みを支援し、またはその逆としてオンラインを利用し続けるという計画を描いている。
たとえばコールズ、ノードストローム、メイシーズ、ターゲットの経営陣たちはすべて、オンライン注文のフルフィルメントハブとして実店舗を使用する計画を描いた。これに対してアメリカンイーグルは、カーブサイドでの受け取りをより的確に統合するため、モバイルのPOSシステムをテストした。
アバクロンビーのホロウィッツ氏は、「結局のところ、実店舗とデジタルは補完的なブランド体験であり、実店舗の拠点を増やしながら、デジタルの売上もさらに増やす機会があると、我々は考えている」と、述べている。
[原文:Inflation and inventory delays weighed on apparel retailers’ fourth-quarter earnings]
Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image by Jack Koto X Nordstrom