OOH によるノーションのグローバルキャンペーンの全貌:「これほどの規模で、このような広告を出したことはいままでない」

DIGIDAY

生産性向上プラットフォームのノーション(Notion)は、米国外でのブランド認知度を高めるために世界中での、OOH広告を配置している。8月には、サンフランシスコ、ニューヨーク、トロント、ロンドン、ダブリン、パリ、東京、ソウルの8都市で広告看板による初のグローバルブランドキャンペーンを展開した。

ノーションのグローバルキャンペーン責任者であるキラ・クラース氏は、ブランドの最近のグロースとブランド認知への取り組みについて、「米国での認知度を高めるために、米国での投資を増やすともできるし、すでにある程度の牽引力と(ノーションの)採用が見られる市場にも投資できる」と述べている。

ノーションは2017年に設立された、米国を拠点とするプロジェクト管理およびメモ作成アプリである。事業が成長するにつれ、アジアやヨーロッパなど米国外の市場でも勢いを増し始めた、とクラース氏は言う。「ビジネスの大部分が国際的なものである」ことに対応して、ノーションは国外における関心を活用するために、グローバルなOOHキャンペーンを通じてブランド認知の取り組みを強化している、とのことだ。

増加するOOHへの投資

現在、ノーションのメディアミックスの約半分はブランド認知に向けられており、そこにはOOHやストリーミング動画などが含まれている。クラースによると、残りの半分はよりターゲットを絞ったミックスで構成されており、その中にはソーシャルも含まれているという。詳細は明らかにしなかった。

カンター(Kantar)によると、ノーションは今年700万ドル(約10億円)以上をマーケティングに費やしており、これは昨年の380万ドル(約5億7000万円)のほぼ倍である。カンターはソーシャルの数字を追跡していないため、これらの数字にはソーシャルは含まれていない。パスマティックス(Pathmatics)によると、ノーションはデジタル投資を倍増し、マーケティング支出は昨年の260万ドル(約4億円)から今年は620万ドル(約9億円)と増加している。

OOH広告に賭けているのはノーションだけではない。スタートアップのベビーケア・ブランド、コテリー(Coterie)サンデイ・スケアリーズCBD(Sunday Scaries CBD)ベリーウェリー・スナックス(BellieWelli snacks)も今年OOHキャンペーンを開始した。全米屋外広告協会の最近のレポートによると、今年第2四半期のOOHの広告収入は26億2000万ドル(約4000億円)に達し、パンデミック前2019年の最高記録に並んだ。景気低迷に関する話題が過熱する中でも、マーケティング担当者はOOHへの投資を継続すると述べている。

直近のキャンペーン以前は、OOHマーケティングはノーションのメディアミックスには含まれていなかった、とクラース氏は語る。「これほどの規模で、このようなタイプのチャンネルに対して、このような広告を出したことはいままでにない」と述べた。「ノーションはコミュニティやソーシャルで本当に信じられないほどのオーガニックな牽引力を得てきたため、これまでブランドマーケティングや広告に投資してこなかった」。

オフラインへの投資が増加した理由

ノーションがブランド認知度を高めるためにマーケティング戦略を刷新するなかで、同社はディスプレイ広告やディスカバリー広告などへの投資を減らし、より「製品が何であるかを説明する時間とスペース」があるYouTube広告に力を入れるようになったとクラース氏は述べる。このキャンペーンでは、OOH、ストリーミングビデオ、ポッドキャストなどのチャンネルがノーションのメディアミックスの大きな部分を占めている。同氏はそれ以上の詳細を明らかにしなかった。

広告代理店サムシング・ディファレント(Something Different)の共同創業者兼マネージングパートナーであるパティ・マコーネル氏は、「第4四半期の予算は、旅行、経費、支出に制限がある状態で厳しくなるかもしれない」とメールで述べた。「しかし、コンセプトがしっかりとインパクトを持っていれば、時代を超越し、ブランドに長い寿命を与え、ブランドを最高の状態で披露し、真の意味で統合することができる」。

広告代理店BBH USAのグループコミュニケーション戦略ディレクターのジョー・バーンズ氏によると、ノーションをはじめとするデジタルネイティブのブランドが成長を続けるなか、ブランドの認知度を高め、買い物客の注目を集め、主要なレガシーブランドの競合相手としての地位を高めるための手段として、OOHは話題やメディアミックスの中で大きな位置を占めるようになっているという。

「D2Cブランド、デジタルブランド、そしてオンラインで大きく成長したブランドが、屋外広告を使用することが増えていると感じる」とバーンズ氏は述べた。「(これまでオンラインで費やしていた)広告費を、オフラインの世界に移そうとしている」。

ノーションのクラース氏によると、今後は今年ほどはOOHの広告費は大きな割合を占めないかもしれないという。「ブランド認知の向上に注いだ投資を回収するために、ここからはもう少しダイレクトレスポンス側の広告に支出を回すかもしれない」と彼女は述べた。同社は既にホリデーシーズンを中心に戦略を練っており、成功したチャンネルを倍増させ、新しいチャンネルを試していく計画だという。

[原文:Productivity app Notion goes global with OOH efforts

Kimeko McCoy(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)

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