2022年の広告費、50%以上が Google・メタ・Amazon へ:要点まとめ

DIGIDAY

Google、メタ(Meta、旧Facebook)、Amazonが、かつてないほど力を強めている。

3社を合わせると、2021年の世界デジタル広告費の7割を超え(74%)、全広告費に対しては47%を占める。このまま行けば、2022年も3社が広告市場全体で圧倒的なシェアに達するだろう。

パンデミックが始まった頃に比べると、3社が広告に関して持つ影響力は目覚ましく拡大している。2020年の世界広告費での「ビッグ3」のシェアは合わせて39%で、デジタルだけを見ると67%だった、とこれらの数字を割り出したイービクイティ(Ebiquity)のグループ最高製品責任者、ルーベン・シュレウス氏は話す。

Google、メタ、Amazon以外の企業のCEOにとっては、一気に目が覚めるような事実だ。しかも、広告主への販売の多くを3社が牛耳っているだけではない。シュレウス氏によれば、オンライン広告市場の残りを全部合わせた前年比の伸びは3%。インフレ率より低い。

アルファベット(Alphabet)、メタ、Amazonの2021年広告収入(対2020年比)[*Amazonは広告について個別には報告せず、決算報告書には「主に広告サービス、およびその他のサービスに関連する売り上げを含む」と記載されている]。なお、画像クリックで拡大。出展:四半期決算報告、eMarketer

では、この力の不均衡はいつ正されることになるのだろうか。歴史的に見ると、圧倒的なマーケットシェアは拡大ではなく、縮小に向かう傾向がある。なぜか。移り変わりが世の常であるからだ。競争は徐々に激化し、やがて政府からの圧力も加わって、圧倒的なシェアは縮小するのだと、コンサルティング企業レモネードプロジェクト(Lemonade Projects)のエコノミスト、トム・トリスカリ氏はいう。

トリスカリ氏は「かつてコカ・コーラ(Coca-Cola)のマーケットシェアは、ペプシ(Pepsi)が台頭するまでは90%だった」と語る。「ここで尋ねなければならないのは、ビッグ3にマーケットシェアを永久に維持できるだけの構造的な違いがあるのか、ということ。おそらくはないだろう」。

Google:好調な業績、安定した成長

Googleの決算の内訳を見ると、2021年第4四半期の広告収入などの売上高 は753億ドル(約8兆3000億円)に上り、前年の569億ドル(約6兆3000億円)から大きく増えている。このうち、サーチ広告が今も大半を占める(434億ドル[約4兆8000億円])。

同期の「検索その他」は、前年比36%増の433億ドル(約4兆8000億円)だった。

YouTubeの広告収入は前年比25%増の86億ドル(約9500億円)で、Googleネットワークの広告からは26%増の93億ドル(約1兆円)の収入があった。

決算発表で株式アナリストの質問を受けて 、アルファベットのCFO を務めるルース・ポラット氏は「2021年第3四半期と比較して成長率が鈍化しているのは、2020年第4四半期に強力な回復があったことが主な原因」と指摘している。

メタ:逆風のなかにも望み?

ソーシャルネットワークのメタの最新の決算内容は好不調が入り混じったものだった。時価総額2370億ドル(約26兆円)減という、米国株式市場の1日の減り幅としては史上最大を記録するのも納得の悲惨な内容というわけではなかったが、懸念すべき点はたしかに見られる。

そのなかのひとつが、メタの第4四半期の収益にAppleが与えた打撃だ。Appleデバイスのユーザーがアプリのトラッキングをブロックしたことでどれだけの売上損失があったかは明かされなかったものの、通年で100億ドル(約1兆1000億円)の収益減を見込んでいるとの警戒感は示された。だからといって事業の成長が止まるわけではないことは、第4四半期の売上高を見れば明らかだ。同期の売上高は337億ドル(約3兆7000億円)で、アナリストの予想を上回っている。実際、Appleのプライバシーに関する計画が影を投げかけても、広告収入の伸びが2桁の高い数字になる可能性はある。広告主、特に大手は、データがないからといってメディアオーナーから資金を引き揚げることはしないものだ。自分たちが投じたい先に資金を割り当て、そこで利用できるデータを活用して投じた資金を最適化することのほうが多い。ソーシャルネットワークに関しても同じことが起きるだろう。とはいえ、なかにはメタから資金を引き揚げる広告主もあり、彼らがほかのプラットフォームに移ることから、いくらかの減速は予想される。

2022年2月第1週の初めに行われた決算発表で、メタCOOのシェリル・サンドバーグ氏は「先に話したように、短期的には測定に取り組んでおり、AppleのSKAdNetwork API 、およびメタのAEM(合算イベント測定)とコンバージョンモデリングを使用して、企業が引き続きキャンペーン測定ができるように新しい手段を展開していく」とアナリストたちに語った。「人々が利用でき、当社の助けとなる具体的な商品はある。長期的にはプライバシーを強化するテクノロジーを開発し、当社で入手、使用する個人情報を最小限に抑える必要がある。より集合的な、より匿名化されたデータを使用しながら、意味のある広告を表示できるようにしなければならない。これには時間がかかる」。

いいかえれば、Appleのアプリ内トラッキングへの締め付けやその他のプライバシー関連の取り組みを受けて、メタは長期的な広告事業の再編の真っ只中にある。

Amazonの年間310億ドルに上る広告事業

今回Amazonは決算で初めて広告事業を内訳に示した。これまでは通常「その他」に分類されてしまっていたものだ。2021年の広告事業の売上は310億ドル(約3兆4000億円)だった。その前の2020年は190億ドル(約2兆1000億円)。つまり、広告収入という意味では、Amazonは同輩のマイクロソフト(Microsoft:100億ドル[約1兆1000億円])、スナップ(Snap:41.2億ドル[約4700億円])やピンタレスト(Pinterest:26億ドル[約3000億円])を大きく引き離している。

広告市場で占める規模の大きさをよそに、それはAmazon基準ではささいなものでしかなく、同社の決算報告によると全売上高の7%を占めるに過ぎない。にもかかわらず、Amazonのプライムビデオ(Prime Video)の月額料金をはじめとするサブスクリプション売上高の81億ドル(約9000億円)より大きい。

[原文:The Rundown: Google, Meta and Amazon are on track to absorb more than 50% of all ad money in 2022

SEB JOSEPH and RONAN SHIELDS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)

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