フリーランサーや副業ワーカーには、うんざりする季節がやってきた。そう、確定申告だ。
なにしろ、この納税作業には控除や還付金などのメリットがあるものの、記帳をはじめ、領収書の整理、計算や仕訳といった、本業とは異なるやっかいな作業が伴う。会社員なら担当部署がまとめて処理してくれるものを、フリーランサーや副業ワーカーは全部自分の手で対処しなくてはいけないのだ。
「はじめての確定申告で、書類一式が郵送されてきたときには、そのあまりの分厚さに愕然としちゃって……」と、主にPR業務で副業している山口氏(仮名:TOP画像中央)は語る。また、フリーランスのライターを営んでいる松本氏(仮名:TOP画像右)は、「毎年税務署へ行くたびに、その帰りには『来年こそは青色でやろう』と思うけど、結局めんどくさくて毎年白色申告になっちゃうんですよね」という。
その一方、主にマーケティング業務で副業している加藤氏(仮名:TOP画像左)は、「確定申告は毎年、数時間で終わる」と豪語する。「というのも、業務用のクレジットカードをクラウド会計ソフトに連携して、自動で判別できる分だけを経費にしているから。現金での支払いについては、経費にするのを基本あきらめている」。
匿名を条件に本音を語ってもらう「告白」シリーズ。今回は、このフリーランサー・副業ワーカーである3人に、確定申告に纏わる悲喜こもごもを語ってもらった。
なお、読みやすさを考慮して、内容は編集してある。
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――そろそろ、確定申告の季節ですね。みなさん、どのような手段で申告しているのですか?
松本(仮名:フリーランスのライター):紙ですね。紙というか、国税庁のサイトで確定申告のフォーマットに入力して、それを印刷して税務署に持っていってます。e-Taxとかあるのも知ってるし、帳票を作るのに便利な会計ソフトがあるのは知っているけど……。確定申告、本当に面倒くさいですよね?
加藤(仮名:マーケティング業務の副業ワーカー):面倒くさいですね(笑)。でも、Webサービスや会計ソフトでやろうと思ったことはないんですか? 紙の手作業よりは、ずっと楽だと思うのですが。
松本:収支くらいは会計ソフトを使おうと思ったことはあったんです。でも、なぜかやらずに、月末になるとレシート見てエクセルに打ち込んだりしてました。ですが、それも面倒になり、いつも締め切り間際にまとめてって感じになっています。相当いいかげんですね(笑)。なので、実はいまだに処理が楽な、白色申告なんです。
加藤:え、そうなんですか! それは、もったいない……。処理は多少複雑とはいえ、青色申告で所得控除される、65万円は大きいですよ。
松本:ですよね。なので、毎年税務署に行くたびに、その帰りには来年こそは青色でやろうと思うんです。でも、帰るとその熱意がなくなっちゃうんですよね。それよりも目先の原稿に追われてしまって……。それがずっと続いて、いつの間にか年を越して、また白色申告をしているという感じです。
山口(仮名:PR業務の副業ワーカー):その気持ち、わかります。私も、一番最初に書類一式が郵送されてきたときには、そのあまりの分厚さに愕然としちゃって……。最初は紙でやろうとしたんですけれど、すぐにクラウドサービスを導入しました。やはり、自動的に計算してくれたりとか、便利ですよね。
――なるほど。では、確定申告の面倒くささは、具体的にどこにあると思いますか?
松本:私の場合、まずは領収書をかき集めなければならないですよね。それから各科目の費用を計算して、国税庁のサイトにある指定のフォーマットに入力する。それを計算し出力して、税務署に書類を持参しなければならない。もちろん、締め切り2〜3日前に作業を開始する自分にも非があるのはわかっています。ですが、そもそもこの時期は仕事が大量に舞い込んでくるので、なかなか確定申告の作業に手が回らないんですよ。
2021年はコロナ禍の影響で、確定申告の締め切りが延長されたので助かりました。ですが、白色申告ですらこの状況です。青色申告はより多くの作業が発生すると思うので、いまいち気乗りしないですね……。
加藤:手作業でやるんだったら、白色だと単式でいいっていうメリットはありますよね。入と出だけを計算すればいい。ただ、損はします。65万円の控除を受けられないので。
山口:クラウド確定申告ソフトを使えば青色申告でも作業は大分楽になると思いますよ。とはいえ、ツールも万能ではありません。面倒な点はどうしても残ります。私の場合、プライベートと事業関連の支払いを同じカードで決済しているので、結局ツールに連携しても、すべての項目を1件ずつ確認して、手作業で仕訳する必要があります。また、自動的に仕訳された科目が不適切な場合もあり、目視チェックも必要ですね。
加えて、現金での支払いに関しては、どうしても手入力をせざるを得ません。件数が少ない場合は特に気になりませんが、何十件にもなってくると、やはり面倒。これも自動的にクラウド会計ソフトに反映できればいいのですが、それはさすがに難しいですよね……。
加藤:現金での支払いに関していえば、私は完全に諦めていますね。たとえ事業用の支払いであっても、現金決済の分を帳簿に手入力することはしません。まあ、現金で決済している事業用経費がほとんどないので、そこまでする必要もないのですが。そのわずかな金額を費用として入力・計上する手間と、控除で得られるメリットを比較すると、手間というデメリットのほうが大きいと思います。そもそも、青色申告で最大65万円の所得控除を得られるので、それで十分ではないかと。
また、私の使っているクラウドサービスに関しても、クレジットカード決済分から、プライベート分を自動的に弾くことはできません。なので私は、プライベート用のものとは別に事業用のビジネスカードを作り、連携させています。なので、毎年確定申告は、数時間で完了しますね。確定申告の簡略化は、決済のインフラ整備が肝だと思います。
山口:それは潔い! なるほど、インフラ整備、いいですね。
――フリーランサーや副業ワーカーだと、横のつながりも多いですよね。そこから、確定申告に関する、美味しい情報を得たりしないのですか?
松本:私の場合、あまりないですね。ただ、同じ委託先で出会ったライターが、白色にしていたので、自分もそれでいいのかなと思っちゃったんです。でも、普通は青色にしますよね。やっぱり仲間がいたのがまずかったかなと。最底辺の仲間が(笑)。
加藤:フリーランスの方はともかく、副業の場合は、白色でもいいかもしれませんね。ただ、白色のメリットって何もない。青色より、多少処理が楽ってくらいで。
山口:私は、今年で30になったんですけど、このくらいの歳で副業をはじめたり、フリーになったりして、確定申告をやるって人が周りに増えたんですよ。業種によって、みんなやり方が違ってて。エンジニアの方とか「面倒くさいから税務署に全部書類を持っていけば税務署が全部やってくれるよ」みたいなこと言っていたり……。
加藤:そんな都合良くはいかないと思いますよ。
山口:ですよね……(笑)。はじめてのときは何が本当なのか、一つひとつ調べるのが本当に面倒くさくて。青色申告したほうがいいのか、白色でいいのかとかいうところから一歩一歩。それで、結局本を買いました。フリーランスのための確定申告とか。ウェブは情報ありすぎてわからないので。でも、知り合いからの「クラウドがいいよ」というひと言が一番大きかったですね。
加藤:確定申告は、はじめての人にとって、わからないことが多すぎますよね。それこそ、誰も教えてくれない。そのうえ、結構複雑なのが、さらに大変。
山口:クラウドを使っていると、仕訳などもレコメンドされたり、いろいろなやり方を教えてくれるってのはありますね。
――でも、クラウドを使わずに、税理士にお願いするという選択肢もありますよね?
松本:同じフリーライターの知り合いは、税理士に頼んでいる人が多いですね。ただ、自分はお金がもったいないなと。それでクラウド入れて自分でやろうと思ったところで、結局やっていないんですが。実は私、FPの資格をもっているんですけど、この体たらく……。一番得するのは、青色にしてクラウド入れることですね。
加藤:とはいえ、そういうのって、よくありますよね。会計業務をエクセルで頑なにやる続ける経理の方とか。関数をめちゃくちゃ入れて、請求書の処理も経費も、給与計算も全部エクセルでやってたり。
山口:なんとなく、そういう心情は理解できますが、周りで見ていて大変そうに思います。松本さんは、家族からなんか言われないのですか?
松本:よく言われてたんですよね。確定申告ソフトを導入して、青色にしたらどうかと。「まあ、そのうち」と、何年か同じことを繰り返していたら、言われなくなりました。それで損失が出ていることは内緒です……(笑)。今年は、これから青色にしようと思っても、間に合わないですよね。今回は仕方ないのでこのままやって、来年は心を入れ替えて青色にしようかと。
山口:私も、これからはインフラを整備してやっていきたいと思います。
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②家計簿アプリとの連携も可能
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③申告に必要な書類を自動で作成
確定申告書B、青色申告決算書など、確定申告の必要書類が自動作成できるほか、e-Taxでの申告にも対応。
④アプリ・Macにも対応
Windows/Macはもちろん、専用アプリも提供されている。個人事業主やフリーランス、副業ワーカーの多様なワークスタイルに対応している。
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Written by DIGIDAY Brand STUDIO
Photo by 渡部幸和