「『プレミアム 動画 』の定義は従来より拡大している」:グループエム 投資担当エグゼクティブディレクター バラド・ラメシュ氏

DIGIDAY

今年のテレビ広告アップフロントで大きく注目されていたのは、テレビ広告のバイヤーとセラーがアップフロント契約の「共通通貨」であるニールセン(Nielsen)の測定指標から大挙して撤退するかどうかだった。実際には、こうした撤退は起こらなかった。しかし、だからといって測定指標を再考する動きが沈静化したわけではないと、グループエム(GroupM)の調査および投資担当エグゼクティブディレクターを務めるバラド・ラメシュ氏は、最新のDIGIDAYポッドキャストで語った。

「状況が沈静化したかどうかはわからない。表面上は静かになったように見えるが、我々は内部事情を知っている。エージェンシーの同業者と話してみると、内部ではさまざまな動きがあることがわかる。様々なテストの準備、そして「影の」通貨の利用や、アップフロントでの代替通貨の試験導入といったアイディアが検討され、ネットワークとの交渉で話題に上っている」と、ラメシュ氏は言う。

現在、測定指標をめぐる業界の動きは、主に複数のプロバイダーの指標を検証し、それぞれの利点と欠点を洗い出すことが中心となっている。たとえば、グループエムは10以上の主要クライアントと協働し、測定指標プロバイダーを評価するテストを実施している。テストの対象となっているのは、iSpot.tvやコムスコア(Comscore)などで、リニューアルされたニールセンの測定システムであるNielsen Oneも含まれる。この検証に基づき、WPPの広告購入部門であるグループエムとそのクライアントは、2023年の第1四半期には来年のアップフロント市場でどの指標を利用するかを決定する見込みだ。

「要するに、我々は今年の第2四半期と第3四半期にわたって展開するキャンペーンについて、可能なかぎり複数のプロバイダーを通じてその効果を把握したいと考えている」と、ラメシュ氏は言う。ただし、同氏は次のようにも語っている。「目的は比較対照というよりも、それぞれの指標の利便性を理解することにある」。

ポッドキャストのハイライトを以下に紹介する。発言には分量と読みやすさを考慮して適宜編集を加えた。

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決定の時期

我々の目標は、来年の第1四半期の段階で、クライアントと我々の担当チームが代替指標を熟知していることだ。したがって、決定の時期は、以前から決まっていた通り、また昨年11月から公言していた通り、次回2023/2024年度のアップフロントだ。我々はすべての測定指標プロバイダーを評価し、クライアントと担当チームが状況を自分の目で確かめて、何が有効で何がそうでないかを理解できているようにしたい。そうすることで、来年の早いうちに、我々は十分な情報に基づいた決定を下せるだろう。

測定指標の集計と換算

契約に用いられる指標は1つか2つになるだろう。キャンペーン単位で判断することはない。このキャンペーンではiSpot、このキャンペーンではニールセン、このキャンペーンではビデオアンプ(VideoAmp)というように指標がバラバラでは、皆が混乱してしまう。我々はまた、グループエムのソリューションとして、測定指標を何らかの形で換算したものを提供したいと考えている。

全面的サポートを妨げるもの

今回のアップフロントで単一の代替指標を利用できないのは、すべてのメディアプロバイダーに適用することが不可能だからだ。これが単一のクライアントの話なら、そのクライアントについてエコシステム全体で同じ指標を使うことができる。今回のアップフロントで代替指標を利用しないのは、どのネットワークにもそれぞれの選択があり、すべてのクライアントに共通のものとして運用できないからだ。

テレビ以外への適用

我々の動画パートナーのトップ10には、Amazon、Roku(ロク)、YouTubeが含まれる。今後はそこに、さらに1つか2つのソーシャルプラットフォームが加わるかもしれない。ドットダッシュ・メレディス(Dotdash Meredish)のプレミアム動画広告や、コンデナスト(Condé Nast)の動画広告が考えられる。効果測定システムがリニアとオンラインを統合し、その中間にあたるコネクテッドTVも網羅するものになると考えれば、我々のテレビ広告購入におけるプレミアム動画パートナーの選択肢は、従来のネットワークだけでなく、AmazonやRoku、コンデナストやメレディスにまで広がる。

加えて、どこかの段階でTikTok(ティックトック)やTwitterとも腰を据えて話す必要があるだろう。要するに、プレミアム動画の定義が従来のネットワークパートナーから拡大するなかで、共通測定指標はこれらすべてをカバーできるものでなくてはならない。

[原文:GroupM’s Bharad Ramesh explains why TV advertising’s measurement shift is only getting started

Tim Peterson(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:分島翔平)

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