新たな現実に立ち向かう ブランドアクティビズム 。LGBTQ +、中絶問題などへどう対応する?【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

ブランドアクティビズムには新たな現実が浮上しているが、ブランドはそれに直面する準備ができていない。

ブランドが直面するLGTBQ+支援に対する保守派からの反発

ここ数カ月、米国の文化に対していろいろなことが浮き彫りになっている。LGBTQ+のグループと彼らを支援する「目覚めた」企業に対する右翼保守派やMAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)支持者の痛烈な憎悪と攻撃的な戦術が一般大衆に目撃されている。バドライト(Bud Light)は4月、トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルヴェイニー氏のショート動画のスポンサーになり、話題を集めた。マルヴェイニー氏は、ビールを飲みながら自分の顔のイラストが描かれた特別版バドワイザー缶を披露し、バドライトのマーチ・マッドネス(March Madness)ソーシャルチャレンジに参加するように呼びかけた。これが右派の評論家や消費者を激怒させ、その結果、カリフォルニアのバドワイザー工場への爆破予告が起こり、消費者のボイコットにより全国的な売上が減少したとされる。その後、ターゲット(Target)に対するLGTBQ+関連の反発が起きた。ターゲットは、過去10年間、プライド月間のためにさまざまな商品を提供してきた小売業者だが、その5月24日の声明によると、同社の従業員は「職場における自分の安全とウェルビーイングに影響を及ぼす脅迫を経験している」という。その結果、ターゲットはもっとも怒りを買ったと思われる製品を取り除いた。また、ディズニー(Disney)は、小学校で性的指向や性自認について話し合うことを禁止するフロリダ州の「ゲイと言ってはいけない(Don’t Say Gay)」法案をめぐって、ロブ・デサンティス州知事との政治的闘いの真っ最中である。

6月はプライド月間だが、LGBTQ+を公に支持し続けることではなく、プライド支持に対する反発の話が中心になっている。

ブランドアクティビズムには新たな現実が浮上しているが、ブランドはそれに直面する準備ができていない。

ブランドが直面するLGTBQ+支援に対する保守派からの反発

ここ数カ月、米国の文化に対していろいろなことが浮き彫りになっている。LGBTQ+のグループと彼らを支援する「目覚めた」企業に対する右翼保守派やMAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)支持者の痛烈な憎悪と攻撃的な戦術が一般大衆に目撃されている。バドライト(Bud Light)は4月、トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルヴェイニー氏のショート動画のスポンサーになり、話題を集めた。マルヴェイニー氏は、ビールを飲みながら自分の顔のイラストが描かれた特別版バドワイザー缶を披露し、バドライトのマーチ・マッドネス(March Madness)ソーシャルチャレンジに参加するように呼びかけた。これが右派の評論家や消費者を激怒させ、その結果、カリフォルニアのバドワイザー工場への爆破予告が起こり、消費者のボイコットにより全国的な売上が減少したとされる。その後、ターゲット(Target)に対するLGTBQ+関連の反発が起きた。ターゲットは、過去10年間、プライド月間のためにさまざまな商品を提供してきた小売業者だが、その5月24日の声明によると、同社の従業員は「職場における自分の安全とウェルビーイングに影響を及ぼす脅迫を経験している」という。その結果、ターゲットはもっとも怒りを買ったと思われる製品を取り除いた。また、ディズニー(Disney)は、小学校で性的指向や性自認について話し合うことを禁止するフロリダ州の「ゲイと言ってはいけない(Don’t Say Gay)」法案をめぐって、ロブ・デサンティス州知事との政治的闘いの真っ最中である。

6月はプライド月間だが、LGBTQ+を公に支持し続けることではなく、プライド支持に対する反発の話が中心になっている。

政治的社会的分断が進む状況でのブランドの立ち位置

世界中で、政治的、社会的な分断がかつてないほど断片化している。米国では、(2024年の)大統領選挙が迫っているため、ほとんどの共和党候補者の綱領には反LGBTQ+のレトリックがある程度含まれている。ターゲット、ディズニー、バドライトなどのイベントを取り巻く状況と見出しの両方が消えることはなさそうだ。

2000年代半ばにソーシャルメディアが成熟段階に入った時点で、ブランドマーケティングと顧客とのコミュニケーションの軌跡、またはインフルエンサーエコノミーやブランドアドボカシーをもたらしたエコシステムは誰にも簡単には予測できなかったものだ。例外は、マーク・ザッカーバーグ氏だったかもしれない。同氏は、2012年にFacebook(当時)にインスタグラムを10億ドル(約1437億円)で抜け目なく買収させた。インサイダー・インテリジェンス(Insider Intelligence)によると、インスタグラムは2022年の収益でMetaに430億ドル(約6.2兆円)以上をもたらしている。2023年には、ソーシャルメディアはブランドと顧客のあいだの主要なコミュニケーション形式となっており、ブランドのアドボカシーはそのコミュニケーション戦略の大きな部分を占めている。また、美容やファッションなどの特定のライフスタイルブランドカテゴリーは、進歩的な社会理念をサポートすることを顧客から期待されるようになり、ブランドはほとんどの場合それに対応してきている。

マーケティングの准教授で、パラソーシャルブランドマーケティングを研究しているローレン・ラブレック博士は次のように語っている。「ブランドマネージャーの多くは、ある時点で『我々は一体どうすればいいのだろうか?』と疑問を感じたことがあると思う。なぜなら、いまでは大衆にアピールすることはもはや無理だからだ。ワントゥワン・マーケティングでは、かつてないほどブランドとつながっていると感じられる超パーソナライゼーションが実現している。なので、(大衆へのアピールは)非常に難しくなっている」。

中絶問題

問題のなかには、これまで一般的に受け入れられていたと思われていたが、そうではなかったのかもしれないものがあり、それはいまでは右派のレトリックの台頭により変えられてしまっている。2015年、最高裁判所は連邦レベルで同性婚を合法化し、社会的に受け入れられている行動やライフスタイルを明文化した。2022年、最高裁判所が(中絶の権利を保障した)ロー対ウェイドの判決を覆したとき、それは、アメリカンライフの定義を推進した中絶への現代の受容に対する侮辱であると考えられた。ピュー研究所(Pew Research)によると、米国では中絶は大勢の人々から合法であるべきだと考えられている。Glossyの記事によると、このニュースを受けて少なくとも62社の美容・健康関連企業が中絶を公に支持したという。また、中絶へのアクセスを必要とする従業員をさらに支援するために会社のポリシーを変更したところもある。

アファーマティブ・アクション

文化的な議論の対象になっているのは、前述したものだけではない。美容業界が最近公に支持しているものと関連しているテーマはまだ多く存在する。現在、最高裁判所で審議されているもっとも重要な論点のひとつにアファーマティブ・アクション(訳注:マイノリティや女性に対する差別是正のための特別措置の総称)がある。これは、大学入学において人種が限定的な役割を果たしてもよいとする2003年の訴訟、グルッター対ボリンジャー事件(Grutter v.Bollinger)で覆されると予想されている。そのような決定は、米国の大学、特にエリート教育機関におけるアファーマティブ・アクションを危うくするものであり、黒人やラテン系の学生数が減り、白人やアジア系の学生数が増えることになるだろう。また、ピュー研究所の最近のデータによると、ブラック・ライブズ・マターに対する国民の支持は最高潮に達した2020年に比べて下がっているという。3年前、ジョージ・フロイド氏の殺害後、アメリカ人の3分の2がBLM運動への支持を表明したが、2023年にはその数値は51%に下がっている。(毎年2月の)黒人歴史月間を支持するブランドによる無害と思われるソーシャルメディアへの投稿が反発を受けるようになるのは、時間の問題だ。

ブランドは反発への対応策を練るべき

この問題に対処するための答えは個人や企業を超えたものだ。ラブレック博士は、どんな姿勢に対してももっとも反発が起こるのは、その姿勢が、企業のその時点でのブランディングや支持している理念の軌跡に対してオーセンティックではない場合だと述べている。博士によると、顧客は、自分が信じていないことを企業がサポートしていると、企業に裏切られたと感じるのだという。しかし、これは、ブランドが顧客を遠ざけるリスクを冒して自社の姿勢を段階的に進化させ重点分野に注力することしかできないということが前提になっている。だが、市民の権利という文化的立場を明確にする問題への支持は、ブランドが徐々に受け入れていけるというようなものではないだろう。

反発や議論、敵意に満ちた行為がなくなることはないとわかったいま、ブランドは、反発に巻き込まれるかもしれないと考えるのではなく、巻き込まれたときにどうすべきかというアクションプランを立てるべきである。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Brand activism confronts a hostile landscape

EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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