脱炭素目指す様々な施策の危うさ – 船田元

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 今年11月に国連の気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が英国グラスゴーで開催されたが、会議では今世紀末に産業革命前の平均気温より2℃、出来れば1.5℃上昇に抑えることが確認された。またそのため日本含め多くの国が、2050年までに実質排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を達成すると宣言した。日本はその中間目標として、2030年には2013年に比して、48%削減することも宣言した。

 各国はこの困難な目標を達成するため、再生可能エネルギーの飛躍的な増加や、水素エネルギーの導入など、あらゆる手立てを模索していかなければならない。最近はメガソーラー基地があちこちに出来始めている。平地の休耕田などは既に建設ラッシュとなっているが、今後は傾斜地にも広がる気配だ。ただし管理が行き届かないと、土砂崩れなど災害発生の危険がある。景勝地の周辺にも建設の波が押し寄せている。急を要する事業とはいえ、秩序ある開発を心がけなければならない。

 一方、最近耳にするようになった「排出権取引」やその市場が活発になりつつある。他国や他の企業に対してCO2排出を削減する投資をした場合、その分を自国や当該企業のCO2削減と見做す仕組みである。例えば森林保護にお金を出したり植林をした場合も、それによりCO2の吸収量が増えれば、排出削減したと見做される。

 この仕組みを使ってインドネシアは「カーボン・クレジット」を国として発行している。このクレジットを売った資金で森林保護を実行して、CO2の吸収量を高めるというのだが、その資金が実際に森林保護に使われているのか、資金に見合った保護活動が行われているのか、明確ではないと言われている。

 もしこのクレジットが過大評価されているとしたら、CO2は実際には減ったことにならない。本物のカーボン・ニュートラルには至らない。次のCOP会議においては、是非とも「排出権取引」のしっかりしたルールを作り、ハリボテにならないように厳しく監視する組織を作ってもらわなければならない。

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