岸田首相の所信表明演説に唖然 – 階猛

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6日、臨時国会が開会し、岸田首相の所信表明演説が行われました。日本へのオミクロン株の流入が懸念される中、本会議への参加者は半数程度に絞られています。今回、私は本会議場で直接演説を聴きました。岸田首相の所信表明演説は2回目ですが、安倍首相や菅首相の時とは違い、野党からヤジが飛ぶ場面が少なくなりました。単に出席者が少ないからだけでなく、野党を敵視したり、事実を歪曲したりする表現がなくなったせいかもしれません。

ただし、コロナの感染状況が落ち着いているうちに、多額の財政資金を投入して次の感染拡大に備えるとしたくだりで、「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る」というケネディ大統領の格言に従ったかのように述べたのには、唖然としました。

「屋根の修理」がもっと早ければ、これほどコロナの感染は広がらず経済も落ち込まなかったはずです。むしろ土砂降りになっても修理せず放置してきたために、建物の中が水浸しになり、暮らすにも仕事をするにも困っている状況ではないでしょうか。次の感染拡大に備えることも大事ですが、まずは政府のコロナ対策の遅れによって国民に甚大な被害や損害が生じたことを反省し、これをどのようにして補うかを述べるべきです。

今回の政府の補正予算案に盛り込まれた「事業復活支援金」も、遅すぎた「屋根の修理」の一例です。この支援金は、地域や業種を問わず、今年11月から来年3月までの間のどれか1か月の売上高が、前年か前々年の同じ月の売上高と比べて3割以上落ち込んだ事業者(中堅企業以下の法人または個人事業主に限る。)について、売上高の減少率と事業規模に応じて最大250万円を支給するというものです。

しかし、秋以降のコロナ感染者の急速な減少に伴い、売上高が回復してきた事業者が多くなりました。来年3月までに第6波が来ない限り、3割以上の売上減という条件を満たさず支給を受けられない事業者が多くなりそうです。そして、仮に支給対象となったとしても、11月より前の経済が悪化していた時期の売上減による赤字はカバーされません。

支援金の支給対象とならない事業者や、支給されても損失を十分補うことができない事業者の中には、昨年来、赤字による資金不足を埋めるために官民の金融機関から借金を重ねてきたところも数多くあります。そうした事業者が借金の返済に窮することのないよう、過剰になった借入金債務を減免する措置と、それを実行するための予算が必要です。「屋根」だけではなく、「人が暮らし、仕事をする場所」の修理も急がなくてはなりません。

15日(水)の予算委員会(ネットで中継)で、岸田首相に問い質す予定です。

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