サステナビリティ 、再びデジタルメディアの注目の的になる:「広告が環境に与える影響を考えるときがきた」

DIGIDAY

2022年6月第1週の週末、政府機関、学術機関、民間企業の関係者がある環境関連会議に集まり、「デジタル環境持続可能性のための連合(CODES)」を結成し、「緑の革命」を起こすと発表した。

映画「ロード・オブ・ザ・リング / 二つの塔」に登場したオークのセリフを借りるなら、「お前たち、サステナビリティがメニューに戻ったぞ!」だ。

今回の会議で行われた「緑の会話」では、過剰にエネルギーを消費したり、排出量を過剰に増やしたりするデジタルプロセスが焦点となったようだ。デジタル環境全体が監視下に置かれることになるわけだが、この記事の執筆にあたり取材した企業幹部たちは、エネルギーを大量に消費する企業に、マーケターたちはまだ罰を与えるには至っていないと認めている。

「クライアントからの圧力はまだない」

メディアハブ(Mediahub)のP3ユニットでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるエド・マッケルベイン氏は「いまのところ、クライアントからキャンペーンの排出量を減らせという圧力を受けていない」という。P3ユニットは、データドリブンおよびデジタルプラットフォームのバイイングを扱っている。「そういう類のものがあればいい(中略)彼らと協力して、それを目標として確立できるものにしたいと思っている」。

サステナブルな業務にフォーカスしたアドテク企業、スコープ3(Scope3)の創設者でCEOを務めるブライアン・オケリー氏は、世界の他のメディア市場、特にオーストラリアや西ヨーロッパは、米国より熱心にサステナビリティを重視していると指摘する。

これを支援するために、スコープ3とアドエクスチェンジのシェアスルー(Sharethrough)が、グリーンPMP(グリーン・プライベート・マーケットプレイス)の立ち上げに向けての提携を6月6日に発表した。グリーンPMPにより、ある企業が広告インプレッションで生み出すカーボンインパクト(二酸化炭素排出量)の95%に相当する量を、ブランドは相殺することができる。また、ひとつの広告購入を処理するのに、うなりを上げる数十台のサーバーを必要とし、最悪の排出源のひとつと考えられているプログラマティック広告のサプライチェーンの脱炭素化にも貢献することになる。

「ほとんどの会社がまだ真剣に取り組んでいない」

シェアスルーのCOO、リュック・マルソレは、次のように語る。「ブランドによるサステナブルなマーケティングへの取り組みとして始まったものが、広告サプライチェーンが環境に与える影響についての幅広い理解へと発展している。特に、カーボンニュートラルにコミットするブランドやエージェンシーがますます増えていることを考慮すると、こうしたコミットメントは、アドテク業界が広告配信に必要なエネルギーから発生する二酸化炭素を相殺するソリューションを構築しないことには不可能だ」。

「プログラマティックな環境では、我々は可能な限り直接的なサプライパスを確保したいと常に考えている」とマッケルベイン氏はいう。「これは排出量に関係なく、費用対効果にも優れている。ファーストパーティデータやプライベート・マーケットプレイスへの移行が進むにつれ、我々は自然とより直接的な関与や、プログラマティックなサプライチェーンとのつながりを減らす方向に引き寄せられるようになると、私は考えている。そうすることで、排出量を減らすこともできる」。

オケリー氏は、すべてのエージェンシーグループがこの問題に真剣に取り組んでいると評価し、特にWPPとグループエム(GroupM)が昨年、2030年までに自社のネットワークだけでなく、取引先のサプライチェーン全体でゼロエミッションを達成するために動いたことを挙げた。

「彼らが市場の標準を設定し、それが市場全体に激的な変化を与えている」 とオケリー氏はいう。「つまり、すべてのパブリッシャー、すべてのメディアオーナーは、ネットゼロ戦略を持たなければならない。だが、現実には、ほとんどの会社がまだ真剣に取り組み始めていない」。

質の高いメディア購入が環境へも寄与

アテンション指標企業のアデレード(Adelaide)は先週、広告キャンペーンをより効果的で無駄の少ないものに最適化するためのAU指標のプロモーションを行った。

同社は、スコープ3と協力して、プランニングに適用されるアテンションが、ビューアビリティを指標として使用するより排出量を14%も減らせることを示した。「より質の高いメディアを購入することは、パブリッシャー、消費者、広告主に利益をもたらし、さらに環境にも恩恵をもたらす」と、アデレードのCEO、マーク・ガルディマン氏は述べている。

[原文:Media Buying Briefing: Sustainability once again takes center stage across digital media

Michael Bürgi(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:分島翔平)

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