米国の広告支出、コロナ以前のレベルに「完全復帰」:デジタル広告が牽引役に

DIGIDAY

アメリカのメディアの一部は2021年前半にパンデミック前のエネルギーを取り戻し、2019年の同時期を上回る広告費の伸び率に戻ったようだ。

エージェンシーおよびメディア企業全体の広告支出と広告費の数字を追跡している株式非公開企業のスタンダード・メディア・インデックス(Standard Media Index:SMI)が8月第4週に発表したレポートでは、アメリカの主要メディアにおける国内広告主の今年前半の広告支出に関するデータが示されている。このデータは、ほぼすべての主要メディアエージェンシー(しかしすべてではない。実際のドル金額が示されていないのは、それが理由となっている)から直接提供されているため、SMI自身はこのデータを国勢調査レベルの質だと考えている。

2019年と比べても3%増

パンデミックによるロックダウンが、大多数のメディアの広告売上に大きな打撃を与えた2020年上半期と比べて、2021年前半は大きな成長となったことは驚きではない。だが、同時期の2019年の数字に比べても、アメリカのメディア広告支出は3%増だったことは、驚くべき数字といえるだろう。

SMIのデータによると、当然ながらデジタルは全メディアのなかで最大のシェアを獲得しており、総広告費に占めるデジタルの割合は2019年の40%から2021年には51%に増加している。テレビはこの2年間で51%から43%に縮小した。SMI側で「その他のメディア」としてまとめられた部分のシェアは、2019年上半期の9%から2021年には6%に低下した。

SMIのデータによると、この2年間でデジタル分野でもっとも利益を上げたのは、ソーシャルメディア、動画、音声だという。SMIは2020年上半期と比較しての増加率のみを計上し、正確な数字は公表しなかった。デジタル広告の分野でもっとも伸びたのは、2年間で70%以上成長したCPG(消費財)の広告主、製薬そしてテクノロジー分野だった。

「デジタルビジネスが要因」

SMIの調査結果は、グループエム(GroupM)のビジネスインテリジェンス担当グローバル・プレジデントで長年アナリストを務めているブライアン・ウィーザー氏を含め、業界におけるほかのプロフェッショナルたちの見立てとおおむね一致している。ウィーザー氏自身の見解は、テレビ分野におけるSMIの報告を全体的に支持する内容であり、彼の調査によると、米国では長期的なコミットメントの一部がキャンセルされた結果、テレビ広告費が減少している。

「(業界の動きを)注視してきた私たちにとって、これは驚くべきことではない。私たちはちょうど今の時期までには(回復するだろうと)予期していた」とウィーザー氏。「デジタル分野では、成長率が上昇している。これは、安価な資本にアクセスでき、マーケティングと広告に多額の投資を行っているデジタルビジネスが要因であると考えられる」。

[原文:Digital fuels ad spend rebound as it secures a bigger market share than previous year

MICHAEL BÜRGI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)

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