日本郵政の社外調査チームに驚き – 山口利昭

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今朝(9月1日)の朝日新聞経済面記事を読んで、日本郵政グループの新しい内部通報制度の内容に驚きました。かんぽ生命の不適切商品販売問題への反省から、日本郵政では改正公益通報者保護法にも対応可能な内部通報制度を設置する方針についてはすでに報じられておりました。この新制度が9月1日からスタートするそうですが、目玉として「社外専門チーム」というのが発足したそうです。

約40名の外部弁護士らで構成されるチームで、通報者が希望する場合やグループ会社の役員に関連する問題案件については「社内とは情報を共有せずに独自に調査をする」とのこと。また、チームにはフォレンジックス技術の専門家や通報の聞き手には産業カウンセラーもおられるようで、これはスゴイとしか言いようがありません。

かつて伊藤忠商事さんでも30名ほどの「不正調査専門の内部監査特別部隊」が存在することに驚きましたが(2012年のこちらのエントリー「企業の内部監査は驚くほど進化している」です)、それ以来の驚きであります。通報案件の詳細については開示できないと思いますが、ぜひとも社外調査チームの運用状況についてはどこかでご紹介いただければと期待いたします。

ところで、こういった社外調査チームを抱える事業者というのは、日本では珍しいかもしれませんが、海外では(民間事業者でも政府機関でも)CFE資格を持つ専門家が役割を担っていたりします。海外本社から日本法人の調査にやってくる人たちもCFE資格者が多いですね。日本でも、こういった社外調査チームが作られるとすれば、(協会の元理事として、やや手前みそになりますが)ぜひCFE(公認不正検査士)の採用を検討していただければと思います。ちなみに私が今年関与しました第三者委員会では、ほとんどのメンバー(委員)がCFE資格保有者でした。

たとえば上記日本郵政の内部通報制度を例にとると、社内に内緒でフォレンジックス調査を行うということもあり得るわけですが、社員のプライバシーを尊重しながら真実発見に努める(デバイスにアクセスする)という厳しい状況をどうクリアするか、通報者の秘密を守りながら社内で協力者をどのように見つけ出すか、不正の疑いが濃厚となった場合に、誰にどのタイミングで調査結果を伝えるか、さらに、一連の調査のデュープロセスをどのような証拠を残すことで確保するか、といったスキルは、なんといってもCFE資格保有者としての経験に委ねるのが安心ではないかと。

ちなみに、こうやって書くと偉そうに聞こえるかもしれませんが、何度も失敗を重ねることが「経験値」だと思うのです。不正調査において、マニュアルどおりにうまくいったことは一度もありません。いつも「合格最低点」のような気がします。。。

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