猫は四角の中に座るのが好き。それがたとえ目の錯覚でも

GIZMODO

2021年5月16日の記事を編集して再掲載しています。

猫も人間のように目の錯覚を起こすんです。

ある女性の飼い猫を使った実験で、猫は箱じゃなくても視覚的に作られた2Dの四角の中にちゃんと座ることがわかりました。この実験で猫の認知能力への理解が少し深まるかも?

トラのような大きな猫科の動物から飼い猫まで、猫ってどうして箱に入るのが好きなのか不思議ですよね。立体の四角い箱でなくても、とにかくただの四角であれば猫はそこに座るのかという実験が数年前SNSで流行りました。床に四角くテープを貼るとペットの猫がスッとやってきてそこにちょこんと座るんですよね。筆者も飼い猫で当時やってみましたが、当然のごとくそこに座ってましたね。四角は猫ホイホイです。

ニューヨーク在住で動物の認知力についてリサーチしているGabriella Smithさんが、ある実験を行ないました。犬の目の錯覚の感受についての講義を受けた後、家に帰ってふとルームメイトの猫を見た時に「猫は箱に入るのがすきだけど、もし床にテープで四角をつくったら目の錯覚を起こしてその四角に入ろうとするのかな?」と思ったことがきっかけだったそう。

この思いつきからしばらくは修士論文で忙しくしていたSmithさん。2020年の5月にやっと論文も終わり、この猫の実験を実行。猫を飼っている科学者たちをこのプロジェクトのために集め、しっかりと研究して論文を書き、動物の学術誌に発表したのです。

この実験ではまず、猫の飼い主たちが紙やハサミ、テープを準備して色々な「形」を作ります。普通の四角からパックマンのような形を4つ並べてカニッツァの錯視図形を使った四角の空間、そして錯視図形を使うけれど目の錯覚が起こらない形など、さまざまです。

それぞれの形を床に置いたら実験開始です。猫がひとつの形を選んでそこに最低3秒座っていたらそれは成功とみなします。猫の行動を飼い主は動画で記録します。飼い主さんたちは猫の気を逸らしたり誘導したりしないように、猫に声をかけたりせず、アイコンタクトも避けるためにサングラスをします。

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Photo: Smith, et al./Applied Animal Behavior Science

総勢30名の飼い主さんが6日間この実験をおこない、最低1回はちゃんと形を選び実験成功と呼べる猫ちゃんはそのうち9匹。その9匹がちゃんと選んだ16回の形は、四角4回、四角っぽく見える形が7回、そして錯視図形の四角が1回でした。

「大きな気づきは猫たちが人間と同じように目の錯覚を起こすことがわかったことです。ほとんどの猫が輪郭で四角をつくってあるほうに引き寄せられているのです。そして、猫はもっとアマチュア科学者の科学研究の対象になるべきだということもわかりました!」とSmithさんは話しています。

同時にSmithさんは「この実験ではサンプル数が少なく、猫が目の錯覚を絶対に起こしていると言い切れるものではないけれど、1988年に研究所で行なわれた猫は目の錯覚を起こすかという実験を強化するものだった」と論文に記しています。

猫は外的要因で行動を変えやすく、研究室に連れてこられた場合いつも通りの行動をしないことが考えられます。なのでSmithさんのは「それぞれの家で飼い主が実験すると猫はいつもの行動を示すことができますし、このコロナ禍に家でできるすばらしい実験でした。今回参加してくれた飼い主さんたちは、家族や子供と簡単な道具で一緒に実験できたことはいい学びでもあったと思います。6日間は長いので、途中でやめてしまった参加者を責めるわけにはいかないですね!」と話しています。

猫が人間と同じように目の錯覚を起こしている可能性が高いのはわかったんですが、謎なのはどうしてそんなに四角が好きなのかということです。現在唱えられている説としては、猫の本能で敵から狙われないように小さく狭いところに入りたがるということですが、だったらテープや切り抜いた形の四角の中でも座るというのは筋が通らないですよね。

アマチュア科学者のSmithさんのこの実験、実は最後に素敵な結末が。Smithさんは実験後に保護猫を飼い始めたんだそうです。キジトラちゃんで名前は「パンチェッタ」だそうです!

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