HTC Vive Pro 2レビュー:今買えるベストなVR体験

GIZMODO

何事もベストを手に入れようと思ったら、それなりにしますよって話。

VRヘッドセット!!!!!と一時期やたら言われていましたが、先行熱もとっくに冷めた今も、製品は着々と進化を続けています。で、今買えるベストなVRヘッドセットは何なのかという話。米GizmodoによるHTC Vive Pro 2レビューです。ちなみにギズモード・ジャパンのレビューでは、映像ガチリアルで一個人でもめちゃくちゃ欲しい!とかなり前のめりで好印象でした。


2016年に初代ViveとOculus Riftがリリースされてから早5年。HTCとFacebook (Oculus)はVRヘッドセットという同分野の中で、それぞれ異なる方向へと進んでいます。Oculus Quest 2はセットアップも使い方も非常にシンプルで、手の届くスタンドアローン型のVRヘッドセットへ。一方でHTCはパソコンをベースにしたハイエンドのVR体験へ。Vive Pro 2はヘッドセットのみで800ドルから(日本国内価格:10万3400円)で、Quest 2のほぼ倍額。倍なだけあって、Vive Pro 2は今手に入るベストなVR体験を提供してくれます。となると、そのVR体験とコストは見合っているのかどうか? 大枚叩いて体験したくなるほどなのか?という話になりますね。

HTC Vive Pro 2

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Image: Sam Rutherford – Gizmodo US

これは何?:HTCの最新ハイエンドコンシューマ向けVRヘッドセット。

価格:800ドル(ヘッドセットのみ:日本国内価格10万3400円)。

好きなところ:高画質、空間オーディオ、Valve Indexコントローラー対応、重さのバランス良し、IPD調整良し。

残念なところ:高い、コントローラーが変わってない、パススルーカメラがいまいち、ワイヤレス非対応。

外観はほぼ同じでも大型アップデート

見た目でいうと初代Vive Proとほぼほぼ同じ。でも、2代目として、もちろんあちこち細かいアップデートはされています。まず、ヘッドバンド(ストラップ)の装着感がアップ。これはヘッドセットのバランスをイーブンにしたところが大きく、特に長時間つけるとその差は歴然です。

最大のアップデートはやっぱり映像。解像度が片側2448×2448ピクセルで5K対応リフレッシュレートも最大120Hzに。その上、視野角が120度とよりワイドになっています。この3大アップデートによって、ヘッドセットを通して見る映像が今までとは段違い。今、家で見えるVR世界では最も没入感の高い映像だと思います(Varjo VR-3など3,000ドルクラスの企業向けヘッドセットには及ばないけれど)

映像でちょっと触れておくと、ヘッドセットの中にはValve Indexのように縦長の視野のものもありますが、Indexは片側1440×1600ピクセルなので、2448×2448ピクセルのVive Pro 2の圧勝。

5K画質のおかげで、Vive Pro 2にはスクリーンドア効果(ピクセル間の網目が見えてしまう)はありません。加えてリフレッシュレート120Hzで、動きによる映像のブレもほぼなし。正直、今まではVRの動きのブレ酔いしたこともあったのですが、映像クオリティが格段にアップしたことで今回は酔いなし。途中?で休憩を挟む必要もありませんでした。

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Image: Sam Rutherford – Gizmodo US

Vive Pro 2には、IPD(瞳孔間距離)をマニュアル調整できるノブもあります。サイドに空間オーディオスピーカーが内蔵されているので、手持ちのヘッドホンを繋ぐ必要もなし(繋ぎたい人はUSB-Cドングルで接続可能です)。耳の上にスピーカー内蔵されている方が、オーディオ面でもより没入感が高まるのでいいですね。もちろんそこそこ静かな場所でプレイする前提ではありますが。

セットアップがお高い

昨今のコロナ禍で最新GPUが手に入っていない!という人、大丈夫ですよ。Vive Pro 2に必要な環境は、CPUがIntel Core i5-4950またはAMD Ryzen 1500。GPUがNvidia RTX 20シリーズまたはAMD Radeon 5000以上です。メモリは8GB。ポートは、USB3.0とDisplayPort 1.2(フル画質ならDP 1.4)。Vive Pro 2の美映像から考えると悪くない条件だと思います。

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Image: Sam Rutherford – Gizmodo US

問題はヘッドセット自体というより、その周辺のセットアップ。適したアドオンとアクセサリーがないと、Vive Pro 2の魅力を最大限味わえませんから。ヘッドセット単体で800ドルなので、すでに他のヘッドセットよりも高いのですが、そこへさらにSteam VRベースステーション2台とコントローラー2個が必要になります。ベースステーションを設置する何か(僕はカメラ用トライポッド使いました)も要りますね。つまり、ゼロから始めようと思ったら、800ドルでは済まないということ。ざっと1,300ドルほど予算を組んでおく必要があると思います。高いですねぇ。

せめてもの救い(?)は、Vive Pro 2はHTCのコントローラーにもValve Indexのコントローラーにも対応しているので、好きな方を選ぶことができるということ。スタンダードなHTC Viveコントローラーは、初代Vive以来大きなアップデートがなく、指やグリップの些細な動きを感知してくれません。てことで、美映像を生かして最高のVR体験を目指すなら、オススメはValve Indexのコントローラーですね。

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後頭部にあるノブでヘッドバンドの調整が楽にできる。前面の小さなノブはIPD調整用
Image: Sam Rutherford – Gizmodo US

アクセサリーをセットアップしたら、次はHTCのViveport suiteのインストール。Vive Pro 2は、Steam VR・Steam VRゲームにフル対応しているのですが、それでもインストールの必要性はあり。ほぼ問題ないのですが、HTCとValveのVRプラットフォームを切り替えるときにはちょっとイライラすることもあるかも。

デフォでワイヤレス対応はないものの、パソコンベースにしている他社端末=ライバル端末にもないので、まぁここはよし。350ドル追加すればワイヤレスオプションもあるので、どこまでやりたいか・やれるか次第です。ただ、最大リフレッシュレートが90Hzに下がってしまうので要注意。

これからのVR

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Image: Sam Rutherford – Gizmodo US

高コストをクリアできるなら、Vive Pro 2とValve Indeのタッグは間違いなく最高です。今体験できるベストなVRです。『Half-Life: Alyx』を最も楽しめる方法です。Vive Pro 2の高画質によってグラフィックはかつてないほどシャープに。Indexコントローラーで、手・指の詳細な動きまでトラッキング。『Half-Life: Alyx』をプレイしたとたんに、投資して良かった!と間違いなく思います。

高画質で文字もはっきり見えるのもいいですね。空間オーディオであっちの世界をよりリアルに感じるのも好き。ヘッドセット(ゴーグル)の下から現実の光がチラチラ見えるのですが、あっちの世界(VR)があまりにリアルで、それくらいでは全然邪魔された感じしません。

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Vive Pro 2に内蔵された空間サウンドスピーカー、フェイクレザーのイヤパッド
Image: Sam Rutherford – Gizmodo US

Vive Pro 2にあえて不満を言うとすれば、それは搭載されているパススルーカメラのアップデートしてなくない?ということ。ヘッドセットを取らずに現実を見ようとすると、なんか低画質なんですよね。

で、買いなの?

買いかと聞かれると即答はできず。なぜならVive Pro 2&必要な周辺機器は、やっぱり高コストなので。どこまでVRにコミットできるのか、したいのかによって、アリナシ変わってきます。ヘッドセット単体でのスペックだけ見れば、例えばHP Reverb G2なら片側2160x×160ピクセルで、Vive Pro 2にそこそこ近づいた上で、200ドルのコストダウンになります。ただ、Indexコントローラーのネイティブサポートはないので、そこに目を瞑れるかどうか。

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Image: Sam Rutherford – Gizmodo US

Valve Indexのヘッドセットは解像度こそ片側1440×1600ピクセルで劣るものの、リフレッシュレートは最大144Hz。Valve Index VRキットなら、最初に必要なもの全部入りで1,000ドルなのでお得感あります。そもそももっとお手軽で使いやすく、パソコンに繋がなくていい製品が良ければ、Ovulus Quest 2がありますし。となると、Vive Pro 2が適しているのは、まずVRに高額コミットできる人で、高画質にこだわった上でベストなコントローラー(Index)を使いたいという、現在で最高のVR体験を欲する人ということになります。Vive Pro 2は高い。高いけれど、間違いなくそのコストに見合う使用感はあります。

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