都の感染爆発に小池知事は呆然 – 田中龍作

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いつもの自信満々は何処へ。小池知事の声は聞き取れないほどかぼそく、表情も虚ろだった。=5日、東京都庁 撮影:田中龍作=

 悲鳴のようなサイレン音と共に救急車が走り回る。街の日常風景となってしまった。

 東京では1日当たりの新規感染者が5千人を超えた。2週間後には1日当たり1万を超えるとの試算が出た。都民1千人に1人がコロナ感染することになるのだ。(5日、東京都モニタリング会議)

 打つ手なしの感染爆発に小池知事の表情は虚ろだった。

 現場の医師は、政府や東京都の無策に怒りを禁じ得ない。

 行政は「容体が悪化したら医師が駆け付ける」などというが、訪問診療の医師はすでに手一杯の状態だ。

 「脳梗塞や末期ガンの患者を放って行けるはずがない」。
 
 かねてから指摘されていたように通常の医療が支障を来す。手術の延期要請などだ。

現場が対応できない理想論。東京都モニタリング会議は絵に描いた餅を並べた。=5日、東京都庁 撮影:田中龍作=

 「濃厚接触者の定義が甘い。ほとんどできていない」。現場の医師は嘆く。

 学童保育で先生が感染しているのに、児童たちは濃厚接触者と認定されなかった。

 学童保育は氷山の一角だ。陽性の確率が高い人にPCR検査を受けさせないケースが目立つ。

 「濃厚接触」と認定されなければ、その人たちは、何の意識もなく動き回る。ウイルス撒き散らしである。

 こんなケースがあった。

 デイサービスセンターで感染者(職員2人)が出たのに、センターに通っていた90代の女性は濃厚接触者と認定されなかった。

 その後、老女は感染していたことが分かった。彼女を介護していた68歳の次男も感染した。

 次男が倒れたら71歳の長男が看取るという。老老介護の悲劇だ。

 医師は「徹底したPCR検査と徹底した隔離を。それしかない」と強調する。「隔離施設を作って感染者を隔離する」。

 オリンピックに使うカネが3兆円もあったら、他国のように巨大病院を作ることができたのだ。

 東京では「間もなく80%が(感染力の強い)デルタ株に置き換わる」。(5日、モニタリング会議)

 感染爆発はとめどもなく広がるだろう。

    ~終わり~

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