新型コロナウイルス対策の切り札といわれるワクチン接種。船橋市内でも64歳以下の人のスケジュールが明らかになってきました。私も含めて55~64歳は7月7日(水)から、12~54歳は7月14日(水)から接種券の送付が始まります。
ところが、「1日100万回接種」などと威勢よくハッパをかけていた政府からのワクチン供給が滞り、自治体や企業の接種スケジュールが遅れ始めました。供給見通しや在庫管理も不十分なまま急発進したと思いきや、今度は慌ててブレーキを踏み始めました。船橋市に悪影響が出ないことを祈ります。
ワクチン接種が円滑に進まないこともあり、東京都は4度めの緊急事態宣言が発令されることになりました。千葉も含む首都3県は重点措置が継続されます。それは、しっかりとした司令塔が不在のため、一貫した戦略の下で政府全体を総合調整し、効果的な対策を実現することができないでいるからでしょう。
ワクチンを含め感染症対策や薬事行政の本体を担うのは田村憲久・厚生労働大臣です。しかし、年金・医療・介護・少子化対策・雇用など極めて重要な分野を数多く所掌しており、閣僚の中で最も激務です。パンデミックに専念する余力がありません。田村大臣は千葉大出身なので親近感はありますが、オーバーワークで疲労困憊でしょう。
現場を担う地方自治体との連絡調整は、武田良太・総務大臣。大学や研究所等の所管は萩生田光一・文部科学大臣。といったように、コロナ対策の様々な事業は、幅広い役所にまたがります。各省間の調整はとても重要です。
安倍政権の時にその役割を期待されたのが、新型コロナウイルス対策の根拠法となるインフルエンザ特措法の改正を担当した西村康稔・経済財政担当大臣です。菅政権になっても全体を統括しているかのような存在ですが、西村大臣こそ感染拡大防止と経済回復の二兎を追い一兎も得られていない元凶だと思います。政策通で器用な政治家ですが、右四つでも左四つでも相撲のとれる「なまくら四つ」の力士は大成しません。
菅総理はその上に、ワクチン接種担当に河野太郎・規制改革担当大臣を任命しました。突破力に期待したのでしょうが、元々組織のマネジメントを得意とするタイプではありません。ましてや、複数の省庁や自治体とのチームワークを気にする政治家でもありません。むしろ、混迷に拍車をかけているように見えます。
閣内の総合調整役である加藤勝信・官房長官の影が薄すぎですが、改めて官房長官を司令塔として位置づけ、各省からの精鋭幹部による強力チームで支えるのが基本だと思います。私が総理の時は、最も重要な課題であった「社会保障と税の一体改革」については、岡田克也・副総理に担当して頂きました。
政治家からも役人からも一目置かれる人の総合力に期待したからでした。菅政権の副総理は麻生太郎・財務大臣ですから、色々な意味で活用できません。