河野氏 大学教授ツイートに反論 – 河野太郎

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先日こういう一連のツイートを見かけました。

「この一連の政治過程は、河野太郎という政治家のネオリベ的特質が出たとみるべきだろう。....」

??

「4月25日ごろには1370万回分しか入ってこないことが分かっていたのに、4000万回分あるかのように振る舞い、ワクチン接種現場の競争を煽った。」

モデルナのワクチンのことのようですが、ゴールデンウィーク前にはモデルナのワクチンは承認されておらず、ワクチンの接種現場にはようやくファイザーのワクチンが市区町村に一箱ずつ届き始めていた頃です。

届いたワクチンが少ないという声は聞きましたが、煽られるような「現場の競争」とはどんなものだったのでしょうか。

ツイートは続きます。

「4月25日は4都道府県で3回目の緊急事態宣言が発令された日だ。特に大阪の状況が深刻さを増し、医療崩壊が叫ばれていた。この日のNHKニュースを振り返っておきたい。」

「政府は十分なワクチン供給量を確保したと喧伝し、国民の関心は早期のワクチン接種へと向かった。しかし、この時、すでにモデルナのワクチンが、発表している量の半分も入ってこないことがわかっていた。政府はこのことを公表せず、隠蔽したままエンジンをふかせた。」

(なぜ4月25日にこだわっているかはわかりませんが)
今年の4月末の状況を覚えていますか。

ファイザーのワクチンを使った本格的な高齢者接種に備えて、各都道府県に、そして次には各市区町村にワクチンを一箱ずつ配送して、システムのテストや予診や接種にかかる時間などの確認が始まっていました。

ファイザーのワクチンが空港に着くたびに、それがニュースで流れていました。

当時、私は、毎晩、ファイザー社のワクチンの責任者と、1箱でも多く、1便でも早く、日本向けのワクチンの供給をしてくれと交渉していました。

そしてワクチンを確保できると、今度は外務省と一緒に、EUに対して輸出の承認を出してくれと交渉していました。

「政府」がなにか「喧伝」していたとしたら、ファイザーのワクチンの供給見込みとEUの輸出承認が必要なことでしょうか。

ちょうどその頃、モデルナ社から、世界中の需要の高まりもあって、第2四半期での予定通りのワクチン供給の見込みが難しくなった旨の連絡がありました。

当時、モデルナのワクチンは、まだ、日本での承認時期のめどもたっていませんでした。

ちょうどファイザーのワクチン用のマイナス70度の超低温冷凍庫を手配し、必死に各自治体に供給していた頃です。

(そのうちヨーロッパから船便で輸送されていた冷凍庫はスエズ運河での事故渋滞に引っかかりました。)

私の選択は、ファイザーのワクチンの接種の「エンジンをふかせる」ために、モデルナ社からの提案を受け入れて第2四半期のワクチン供給を後ろ倒しにすることでした。

たとえ予定通りに供給しろと迫ってみても、モデルナ社からワクチンが供給できる見込みはありませんでした。

それどころか、もし日本での承認の日程も決まっていない、つまり、当分使用される見込みのないモデルナのワクチンの日本への輸出が予定通りに始まっていたら、EUの透明化メカニズムに引っかかっていた可能性は少なくないと思います。

承認もされていないモデルナのワクチンの供給の後ろ倒しを受け入れることで、EUに対してファイザーのワクチンの確実な供給を迫る事ができたと思っています。

ファイザー社もモデルナ社もワクチンの供給に関する情報の公表には非常に敏感です。

EUをはじめ世界各国からの需要が高まる中で、各国は必死にワクチンを確保しようと交渉し、ときにはワクチンメーカーにさまざまな圧力をかけてきます。

日本向けの供給が削減されたことが公になれば、それを狙って各国は、ワクチンメーカーにいろいろな動きをしてくるでしょう。

ですからファイザー社もモデルナ社も、日本政府がワクチンに関する情報を公表する時は、必ず事前に合意の上で行うことという条件をつけています。

ある意味、当然のことだと思います。

「情報を公表する時には必ず相手の同意を得た上で行う」ことを「隠蔽」と呼ぶならば、世界中の国が外交や安全保障に関して交換した情報を「隠蔽」していますし、世界中の企業が取引先の企業秘密を「隠蔽」していることになります。

「現場は十分な供給量を信じ、必死で対応した。国民は期待を高め、必死でワクチン接種の予約をとろうとした。予約をうまくとることができない人たちの不満や怒りは、主に自治体の窓口にぶつけられた。」

モデルナのワクチンは、5月21日まで承認されませんでしたから、現場が当時、「供給量」といえばファイザーのワクチンのことです。

そして、当初、予約の問題はありましたが、ファイザーのワクチンは、予定通り、5月の連休明けから毎週約1000万回分が供給されました。

「5月24日、モデルナのワクチンを使った「自衛隊大規模ワクチン接種センター」がスタートした。この頃から政府のワクチン供給量に懐疑の目が向けられるようになった。」

すみません、「その目」に気がつきませんでした。

「6月に入って、モデルナから本当に4000万回の供給があるのかを記者から問われると、河野大臣は「違います」とだけ答え、具体的な数を問われると、「モデルナとの関係で対外的に公表しないことになっております」と答えた。」

はい、その通りです。

「7月に入り、ようやく河野大臣は「実は6割減の数しかなかった」と明らかにし、ワクチン接種の体制が整ったのだからいいでしょという態度をとった。
これによって何が棄損されているのか。それは政府に対する国民の信頼である。」

第2四半期が終わり、供給量が確定したので、第2四半期の実績と第3四半期の見込みを公表したいということを申し入れ、モデルナ社の合意を得て、7月6日の閣議後の記者会見で発表しました。

もし、「ワクチン接種の体制が整ったのだからいいでしょという態度」などが見えたのならば、お酒の量を減らすことをおすすめします。

政府があらかじめの約束を破って、発表事項について相手の合意を得ず、一方的に発表していたら、日本という国に対する国際社会の信頼が毀損されたでしょう。

「「「9月末までに5000万回分」という計画全体には影響しない」という河野大臣の言葉を、誰が信用するのか。今後、ワクチン供給についての政府の言葉を、どう信用しろというのか。」

「9月末までに5000万回分」という供給スケジュールに、モデルナ社はコミットしており、その計画に変更はありません。

「自治体も、かかりつけ医も、職域接種にかかわる人たちも、政府の言葉を信じる事が出来ず、懐疑心を持ちながら事をすすめなければならない。予約を取ったにも関わらず、約束の量のワクチンが届かなければ、接種予定者から怒りをぶつけられ、謝罪しなければならないのは現場の人たちだ。」

毎日のように、知事会、市長会、町村会、医師会と、あるいは個別に数十人の首長や地域の医師会長と意見交換しながら、ワクチン接種をすすめています。

菅総理が一日100万回と目標を掲げたときにはメディアや「有識者」から本当に達成できるのかと懐疑的な目で見られたのも事実ですが、今や一日120万回を超え、140万回近い接種が行われています。

これは「政府の言葉を信じる事が出来ず、懐疑心を持ちながら」かどうかはわかりませんが、自治体や医療関係者のご協力があったからこそです。

それで最初の「この一連の政治過程は、河野太郎という政治家のネオリベ的特質が出たとみるべきだろう。」に戻ります。

「ネオリベ的特質」とはなにか、よく知りませんが、「この一連の政治過程」、つまり1億人以上の日本国民を対象として、2回のワクチン接種を行うという事業の進捗状況が、担当大臣とはいえ、1人の政治家の「何やら的特質」に帰するものだとかたづけてしまってよいのでしょうか。

「まあツイッターだから」といわれるかもしれませんが、一連のツイートの主は、最高学府のリベラルアーツの教授です。

学生達にクリティカルシンキングとはなにか、ネットリテラシーとはなにか、身をもって教えていらっしゃるのでしょうか。

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