イタリアで、新型コロナウイルスのワクチンを受けないまま接種証明だけ手に入れようとした男性が、シリコンで作った偽の「腕」を使って接種をごまかそうとしたが、失敗した。2日付のイタリア紙ラ・レプッブリカが伝えた。
報道によると、北西部ビエッラの50代男性は自分の腕で型をとったシリコン製の腕カバーで腕を覆い、接種会場へ向かった。しかし看護師が異変に気づいた。
看護師は地元メディアに、袖をたくしあげた際、腕の皮膚が「ゴムのようで冷たかった」のに加え、色が「薄すぎた」と話した。
ラ・レプッブリカによると、男性は看護師に見逃してくれるよう求め説得を試みたが、看護師は警察に通報した。地元警察が現在、捜査を進めている。
ピエドモント州の行政トップ、アルベルト・チリオ氏は、「これは影響がとてつもなく深刻でなければ、実にくだらないばかげた話と言いたいところだ」と批判。「このパンデミックの最中に、人の命や社会経済的な喪失という意味でコミュニティ全体がどれだけの犠牲を払ったかを思えば」男性の策略は「受け入れがたい」ものだと、フェイスブックに書いた。
報道によると、男性はワクチン未接種のため職務停止になった医療従事者だという。イタリアでは、すべての医療従事者に接種を義務付けている。
ラ・レプッブリカは、この男性によるものとされるツイッターへの投稿を取り上げ、こうして接種をごまかそうとするのはこの男性に限られたことではないと示唆している。
投稿は、腕や首のある男性上半身のシリコン製ボディスーツがアマゾンで488ユーロ(約6万2000円)で売られているという内容で、「これをつけて行ったら、気づかれるかな。シリコンの下に追加で服を着れば、注射針が本当の腕に届かないかもしれない」と書かれていたという。
イタリアでは週明けから、ワクチン未接種者への行動制限がさらに強化される。今年8月からすでに、駅や映画館、レストランやジムなどの利用には、ワクチン接種証明か陰性証明、あるいは回復証明の提示が必要だった。
それが6日からは、ワクチン接種を終えている人、あるいはCOVID-19から最近回復した人しか持てない「スーパーグリーンパス」がなければ、駅やレストランなどが使えなくなる。
こうしたワクチン・ルール強化に対してイタリアの一部都市では、抗議行動が相次いでいる。
イタリアの接種率は人口の約73%。フランスやイギリスよりは高いが、スペインやポルトガルよりは低い。