火星に行った宇宙飛行士は地球に連絡しなくなる? 模擬火星植民地での実験結果が明らかに

2021年12月15日の記事を編集して再掲載しています。

むしろ、心配レベルで終わっていることがすごい。

今、人類は火星を目指しているみたいですが、火星って遠いときには地球から3億km以上も離れていますし、地球とは異なる過酷な環境らしいじゃないですか。月に行くだけでも大変なのに、火星に行って人間はどんな行動をとるようになるのでしょうか?

宇宙飛行士を目指す人たちは屈強なメンタルを持っていることは知られています。(それを確かめるようにJAXAも圧迫面接をして宇宙飛行士の素質を見抜いているらしい)。でも、人類が経験したことのないレベルでの長期的な閉鎖環境では、どんな行動を取るのか想像もつきません。

そこで、ロシアの研究者たちが模擬火星植民地にグループを参加させてシミュレーションしたとIFLSが伝えました。

外部から隔離されると、宇宙飛行士は自律して行動するように

Frontiers in Physiologyに掲載されたProject SIRIUS (Scientific International Research In Unique terrestrial Station)と呼ばれる実験は、2017〜2019年の間に17日と120日の2回、チームを地球外の環境に置くというものでした。気になる結果ですが、距離が原因でコミュニケーションが遅れただけでなく、長期間にわたって地球と離れていたためにミッション・コントロールセンターから切り離されて、ほぼ自律して行動するようになったそうです。

IFLSによると、過去のシミュレーションにおいて、宇宙飛行士が地球外に出るとミッションコントロールセンター(MCC)への報告回数が減る可能性が高いと予想されていました。

2010年6月から520日にわたり外部から隔離した擬似宇宙船の中で過ごす有人火星飛行シミュレーション「MARS500」でも、世界各国から集まった男女6人を閉鎖的な空間で共同生活させ、長期ミッションにおける問題発生を想定したいくつもの実験が行なわれました。その時の結果を踏まえ、今回は実験に参加したクルーがどのようにMCCとコミュニケーションをとるのか、そしてどのようにコロニーで協力し合うのかをテストしたそうです。

一方で、地上からのサポート能力が低下するリスクも

IFLSによると、クルーが自律的に行動できるようになった一方で、MCCとの繋がりが途切れてしまったことは心配の種となったそうです。

CNETの取材に対して、研究の共同執筆者であるロシア化学アカデミーのモスクワ航空研究所のドミトリー・シュベド氏は「MCCがクルーのニーズや問題を理解できなくなり、サポート能力が低下した」と語っています。

また、注目すべき点として、男女のクルーでMCCとのコミュニケーションの差があげられたようです。これまでの実験と同じく、女性はMCCに問題を報告する頻度が高く感情的だった一方で、男性はMCCへの報告回数が少なかったとのこと。ただ、シミュレーションの終盤には、男女ともに同じような感情と規則的なコミュニケーションになっていったそう。

最終的にMCCとのコミュニケーションが戻ったので、終わりよければすべてよしと捉えるべきなのでしょうか…?

11月4日より8カ月のProject SIRIUS実験が始まりました。実験の志願者が次々と現れるほど、火星有人探査は人々を魅了するミッション。筆者としては、宇宙飛行士の忍耐力を養うコツを学びたいところです。可能であれば、真っ白なジグソーパズルを解く以外の方法で…。

Source: IFLS

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