ZOTAC、ファンがないのに風が出る不思議な放熱機構を採用した「ZBOX PICO」

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ZOTACが展示したZBOX PICO PI430AJ with AirJet、なおこのスケルトンカバーは展示のためで、実際の製品ではブラックの通常のカバーになる

 ZOTACは、COMPUTEX 2023に出展し、同社の最新製品を展示している。その中でも注目を集めているのは、Force Systemsという企業が製造している「AirJet Mini」という「ソリッドステートアクティブ冷却システム」を搭載したミニPCになる。

 ソリッドステートアクティブ冷却システムはファンがないのに微弱な風が発生するというユニークな放熱機構で、AirJet Miniは1つで4.25Wの消費電力に相当する熱量を放熱することができる。

 今回ZOTACが展示した「ZBOX PICO PI430AJ with AirJet」はそのAirJet Miniを2つ搭載していたIntelのCore i3-N300(Alder Lake-N、EコアだけのAlder Lake、TDP 7W)を冷却することが可能になっている。

ファンがないのに風が出るという不思議な放熱機構を採用しているZOTAC PICO

ZBOX PICO PI430AJ with AirJet、製品版ではこうした通常のカバーになる

 ZOTACがCOMPUTEX 2023の同社ブースで展示したZBOX PICO PI430AJ with AirJet(以下ZBOX PICO)は、Force Systemという企業がCESに出展した「ソリッドステートアクティブ冷却システム」と呼ばれるファンがないのに微弱な風を発生させることが可能な冷却デバイスになる。その概要に関しては以下の発表時の記事をご参照いただきたい。

AirJet Mini

 簡単に言えば,デバイスそのものが超音波の周波数で振動することで風を発生させるというもので、CPUから伝導した熱をその風により冷却することが可能になっている。このAirJetは1つで4.25Wの電力を消費している時に発生する熱量を放熱することが可能になっている。

 ZBOX PICOに搭載さているCPUはCore i3-N300(EコアのみのAlder Lake)になり、TDPは7Wとなるので、2つのAirJetを搭載して冷却している。実際に、現地で実機に触ってみたが、ファンがないのに風が排気口から出てくる様子はとても不思議な感じだった。

 展示では風が回っていることが分かるように、風車が用意されており、それがくるくる回っている様子が以下の動画で確認できる。

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排気口の先に風車が置かれ、回っていた

 なお、振動により風が発生するという仕組みのため、振動などによる騒音などを心配するむきもあると思うが、触ってみたが振動といってもほぼ感じないし、特に大きな音も発生していなかった(ただし、そもそも展示会場ではほかのノイズが大きいことは触れておく必要がある)。

 ZOTACの関係者によれば、CESでこのサーマルデバイスが出展されているのを見つけて、すぐにForce Systemsに連絡をとって採用を決定し、それから数カ月で製品として出展できる程度まで仕上げて、今回の展示に至ったという。

背面のポート

前面のポート

スペック

 PCとしてのスペックとしては前述の通りCore i3-N300(Eコア8コア、ターボ時最大3.8GHz、6MB L3キャッシュ)、8GBメモリ(LPDDR5、オンボード)、M.2(2280)が1つ、USB Type-C、Wi-Fi 6/Bluetooth 5.2などのスペックになっている。ディスプレイ出力はHDMI 2.0×1、DisplayPort 1.4×1、USB Type-Cの1つがDP Alt Modeをサポートする形になる。

 ZOTACによれば、たとえば壁掛けやモニターの後ろにつけて利用するなどのニーズを考えており、順調に開発が進めば年内にはリリースされる見通しということだった。

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