変わりゆく Facebook と インスタグラム 広告の意義:売上よりもブランド認知度向上へ

DIGIDAY

マーケターのなかには、メタ(Meta)傘下のFacebookやインスタグラムの広告に対する考え方を変え、売上よりもブランド認知度を高めることを目指す動きがある。

近年、マーケターらはプライバシー関連の変化、パフォーマンス上の問題、フェイクニュースやヘイトベースのコンテンツなどのさまざまな問題が生じるなか、Facebookとインスタグラムに依存しないようにソーシャルメディアの広告予算を多様化することを目指してきた。こうした多様化の動きは、多くの場合D2Cブランドからもたらされた。D2Cブランドは販売目標を達成するために、パフォーマンスマーケティングやプラットフォーム上のダイレクトレスポンス広告に過度に依存していたからだ。

マーケターたちがいまもソーシャルメディアの広告費を多様化させている一方で、Facebookとインスタグラムの広告でなにが達成できるかも再考している(同時に、Facebookとインスタグラムの親会社であるメタでは、先週COOのシェリル・サンドバーグ氏が、今年の後半に辞任予定との発表しており、その移行をしている最中だ)。売上の増加はもちろん目標ではある一方で、販売だけに焦点を当てるのではなく、プラットフォームを使ってより積極的なブランド認知度向上のための投資をしようとしているマーケターたちもいる。

ブランド認知度向上に焦点をシフト

パフォーマンスマーケティング企業であるデジショップ・ガール(Digishop Girl)の創業者、カチャ・コンスタンティン氏はメールで「Facebookやインスタグラムで、ブランド認知度向上のための広告にかなりの金額がシフトしている」と述べ、「従来のテレビやストリーミングで見られたような支出額」が動いていると付け加えた。エージェンシーの幹部たちは、製品の販売促進だけにフォーカスするのではなく、どのようなクリエイティブを作るかにもっとフォーカスし、消費者にブランド全体を伝えるよう顧客たちに助言しているという。

コンスタンティン氏はまた、「消費者がよりオンライン消費に移行したこともあり、Facebookがパフォーマンス効率の観点から(ダイレクトレスポンス)キャンペーン機能の一部を削除したいま、ブランド認知やブランド発見といった領域への投資を拡大していることは間違いない。Facebookでは(ストリーミングよりも)安価なCPMを得ることができる」と続けた。

さらに、eコマースブランドたちはGoogle広告にさらに積極的に投資しており、彼らが広告メッセージングおよび広告アプローチの再評価や再調整を行うなかでFacebookのポジションを縮小していると同氏は述べ、Facebookは「かつてほど(ダイレクトレスポンス)チャネルを持っていない」とした。

メール獲得チャネルとして活用

この変更は、顧客獲得をもっぱらFacebookとインスタグラムに頼っていたD2Cブランドや、スタートアップに大きな影響を与えている。ブランド認知の取り組みが新規顧客の獲得を目的としていないということではなく、獲得戦略が変わったということだ。Facebook広告から直接誰かにプロダクトを購入してもらうのではなく、ブランドは人々に自社のブランドを知ってもらい、人々のEメールを取得し、リターゲティングを行い、ほかの場所で顧客を獲得する可能性を高めることを狙っている。

「目標は、ブランド認知度にまつわる薄っぺらな見かけだけの指標ではない。(達成しようと思っている目標を)測定するのは難しい」と、パフォーマンス・ーケティング企業テイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創業者であるデュアン・ブラウン氏は述べた。「私たちはEメールアドレスを取得することを目標としており、そのEメールアドレスは当然、有料顧客に変換される」。

昨年、ブラウン氏の顧客の25%から40%がFacebookの使い方を変えることに前向きな姿勢を見せ、一面的なコンバージョンチャネルではなく、メール獲得チャネルとして活用することを選んだという。

Facebookやインスタグラムの広告から手を引くのではなく、マーケター、特にD2Cブランドを担当するマーケターたちは、Facebookやインスタグラムの広告が自分たちに何をもたらすことができるかを再評価しているとエージェンシーの幹部たちは述べている。

膨大なユーザーベースを抱えるメタ

Facebookとインスタグラムはまだ膨大なユーザーベースを抱えている。スプラウト・ソーシャル(Sprout Social)のレポートによると、Facebookの月間アクティブユーザー数は29億1000万人、これはインスタグラムの20億人をわずかに上回っている。一方、TikTokは10億人で、ほかのプラットフォーム群は月間アクティブユーザー数は数百万人と報告されている。

その観点からすれば、ユーザーを有料顧客に変えることよりも、ブランド認知度を高めるために、Facebookとインスタグラムでのプレゼンスを維持することは理にかなっていると、IMGNメディア(IMGN Media)のCSOを務めるノア・マーリン氏は述べた。

「Facebookがかつてのように支配的な立場になることはないと思う」と同氏は言う。しかし、「彼らは広告支出においてまだ大きなシェアを持っているので、必ずしもフレンドスター(Friendster:SNS黎明期に登場したサービスで、Facebookの登場で衰えた)レベルにまで地位が低下するということではない」と付け加えた。

[原文:Marketing Briefing: Why marketers, pivoting to brand awareness, are rethinking their advertising on Facebook and Instagram

Kristina Monllos、Kimeko McCoy(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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