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フットウェアブランドのクロックス(Crocs)は、3年連続で記録的な収益を達成したことを祝い、特に海外やデジタルのチャネルを通じて、同社の靴に対する「並外れた」需要が見られると述べている。
クロックスは2月16日木曜日、2022年の収益が36億ドル(約4830億円)と、2021年から54%急増したと発表した。第4四半期の売上高は9億4520万ドル(約1200億ドル)で、前年同期比61.1%増となった。2023年に向けて、クロックスは「今年も堅調な収益成長」と「過去最高の製品導入数」を見込んでいると、アンドリュー・リースCEOは決算説明会で述べた。
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クロックスは2002年に設立されたが、快適でカジュアルなフットウェアに投資する人が増えたため、ここ2、3年で驚異的な成長を遂げた。その売上は2020年に記録的な水準に膨らみ、2021年にも再び記録的な水準に達した。2021年後半、クロックスはヘイデュードシューズ(Hey Dude Shoes)を25億ドル(約3350億円)で買収し、その商品と顧客基盤を大幅に拡大した。この買収と、クロックスの遊び心あふれる多くのコラボレーションにより、同社は、フォーマルなフットウェアが再び脚光を浴びるようになっても、買い物客の間で揺るぎない地位を保っている。
ヘイデュードの買収も追い風に
ヘイデュードは過去1年間、「素晴らしい初期業績」を達成したとリース氏は述べた。カジュアルシューズ、サンダル、スリッポンを販売する同ブランドは、2022年にプロフォーマベース(予想ベース)で70%の成長を遂げたが、そのほとんどは卸売によるものだった。ヘイデュードとの取引により、クロックスの在庫水準は12月31日時点で約1億6900万ドル(約226億円)拡大したが、クロックスはこれを削減する方向で前進している。また、ラスベガスに新センターを建設するなど、ヘイデュードの販売網も拡大している。
クロックスがヘイデュードの強化に取り組む一方、同社の名前を冠したブランドは好調を維持している。クロックス・ブランドは第4四半期に2700万足を販売し、前年同期比で約21%増加した。売上の大部分はフォームクロッグサンダルで、四半期売上の79%を占めた。靴の穴にはめ込むカラフルなジビッツは、第4四半期中に13%成長し、総売上高の8%を占めました。
グローバルな成長
クロックスがもっとも急成長しているカテゴリーのひとつがサンダルで、第4四半期には53%増となり、ブランド全体の売上高の10%を占めている。サンダルは、ベトナム工場の操業停止により上半期は生産が低迷したが、下半期はエコースライド(Echo Slide)やクラッシュサンダル(Crush Sandal)といった新製品により回復している。クロックスは現在、「2023年のサンダルの成長、特にインドと東南アジアでの成長に大きな自信を持っている」とリース氏は述べている。
実際に、国際的な成長が、クロックスのメインブランドの鍵になっていると経営幹部は述べている。北米の四半期収益は2021年からほぼ横ばいで、D2C(ダイレクト販売)からの利益が卸売の減少で相殺された。しかし、韓国とインドでの売上高は、「四半期、通期を通して2ケタの強い伸びを示した」とCFOのアン・メールマン氏は電話会議で述べた。クロックスは、中国でのCovid関連の閉鎖による困難にもかかわらず、当四半期に38%の売上増を達成した。
デジタルチャネルの強化
クロックスとヘイデュードの両ブランドは、デジタルチャネルの強化に注力しており、これは両ブランドにとって引き続き「最優先事項」であるとメールマン氏は説明した。第4四半期には、両ブランドのデジタル事業が前年同期に比べて80%も成長した。これは「製品の新しさ、洗練されたユーザー体験、追加されたマーケティング活動」によるものだと、同氏は述べている。
クロックスはブランドとして、一連の派手なコラボレーションを通じてZ世代の顧客を獲得してきた。前の四半期には、ポケモンや、セブンイレブン、マーベルの「ブラックパンサー」などに加え、司会者のジミー・キンメル氏、アーティストのSZA、歌手のルーク・コムズ氏など有名人とのコレクションを発表した。過去には、子ども向け番組ニッケルオデオン(Nickelodeon)、ピクサー、スター・ウォーズ、ハリー・ポッターなど話題のフランチャイズと提携したこともある。全体的にクロックスは、Z世代リサーチ会社のdcdxが発表したもっとも魅力的なファッションブランドのリストで2位にランクインしている。
クロックスとヘイデュードは、スケッチャーズ(Skechers)とアグ(Ugg)に加えて、カジュアルフットウェアの分野で堅実な業績を上げていると、NPDグループのフットウェア&アクセサリー担当業界アナリストであるベス・ゴールドスタイン氏は、モダンリテールに語っている。また、2022年は、「過去数年よりもドレス部門に偏った」というが、ゴールドスタイン氏は、「こうした多くのファッションブランドは、ローファーのようなより汎用性の高いカジュアル製品にも勝っており、2023年にはより大きな推進力となる」と付け加えている。
[原文:Digital and international growth helped Crocs’s sales skyrocket]
Julia Waldow(翻訳・編集:戸田美子)
Image via Crocs