「スポーツファンの生活に付加価値を与える方法を考えている」: ザ・アスレチック 最高コマーシャル責任者 セバスチャン・トミッチ 氏

DIGIDAY

昨年9月、ザ・アスレチック(The Athletic)はサブスクリプション中心の同社のビジネスモデルに広告を導入した。これは2016年の創刊以来続いている同社のポッドキャストやニュースレターにおける広告を除くと、初めてのことだった。これにより、彼らのサブスクリプション事業に欠けていた、収益の多様化への扉が開かれた。

黒字化への道は当初2023年に設定されていたが、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)が同社を買収した後、2025年に延期された。この利益目標を達成するために、最高コマーシャル責任者であるセバスチャン・トミッチ氏がフォーカスしているのは、広告主候補への直接の広告販売だけではない。プログラマティック広告、チケット販売、スポーツベッティング・パートナーシップ、ドキュメンタリーやフィクション番組における制作目的でのストリーマーへのライセンス供与など、すべてが2023年の優先事項であると、彼はDIGIDAYポッドキャストの最新エピソードで述べた。

以下はポッドキャストでの会話のハイライトとなっている。読みやすさのために若干の編集が加えられている。

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最初のミーティングが一番簡単

初めて広告に参入する企業をリードする、という私の立場にはメリットがある。そのメリットのひとつは、常に(特定のクライアントとの)ミーティングに第1回目から参加できることだ。ミーティングは2回目と3回目から非常に難易度が高くなるものだが、私にはまず、1000社のクライアントがあり、彼らと1回目のミーティングを行い、我が社の業績を誇らしく紹介することができる。そして、このミーティングには価値があるのだと、私のチームは信じなければならない。もちろん私は信じている。

ミーティングを持つという点では、いかなる種類の困難さも今は起きていない。もちろん、縮小しつつある市場で広告主の支出を獲得すべく契約を取ることは、成長している市場でのそれよりも常に困難である。しかし、新規参入者であることは非常に役に立つ。また、一から何かを作ることができるのは大きなメリットがある。私たちは、昔からある古いシステムや、広告主との古い連携方法を解体することに時間を費やす必要がない。新たなスタートを切ることができる。

プログラマティック広告は今のところ実装

プログラマティック広告は収益のひとつであり、それを活用するかどうかはスイッチを入れたり切ったりできる。そして、私は優れたデザインを好むという個人的な傾向を持っており、プログラマティック広告はそれを侵害する可能性があると考えている。とくに、ユーザーが直接お金を払っているプロダクトである場合、私は常にかなり慎重だ。したがって、プログラマティック広告が社にとって中心的な取り組みとなることは決してないだろう。プログラマティックは、あくまで収益を生み出す方法のひとつだ。とはいえ、繰り返しになるが、それをオフにすることはいつでもできる。現状ではオンになっており、必要がある限りではオンのままだろう。

私がチームにいいたいのは、広告を直接販売すればするほど、プログラマティックの販売は少なくなる。だからもっと広告を(直接)売ってくれ、ということだ。そして品質の観点から見ると、全体的にはプログラマティック広告に問題はないと観測しつつある。もちろん(プログラマティック経由で)表示される広告のなかには、個人的に好まないものもあるが、それらは数少なく独立したケースでありがちだ。そして、プログラマティック広告を導入しつつも、同時に人々が私たちに直接サブスクリプション料金を支払うことに納得してもらえるようなプレミアムな体験を維持することで、健全なバランスを保つことができている。

スポーツ業界における自然な展開

スポーツファンの生活に付加価値を与える方法として、チケット販売、マーチャンダイズ、スポーツベッティングを考えている。そして、それらは結果的に、我々が収益を得られる方法でもある。人々が実際にベッティングをしているかどうか、という点を例に取ると、我々のオーディエンスのかなりの部分はスポーツ・ベッティングをしている。そのため、何らかの種類のプロダクト・オファーをすることは理にかなっている。

この場合、ベットMGM(BetMGM)に素晴らしいパートナーがいる。彼らと独占的な関係があり、我々はベッティング・コンテンツを持っていて、オッズを提供してきた。彼らのためのアフィリエイト・マーケティングはしていないため、人々に賭けるインセンティブを与えているわけではない。しかし、ベッティングに興味のある人のための玄関口となってきた。アフィリエイト・マーケティングの分野は、現時点では追求しないことを選択したが、何事も「決してしない」とはいえないことをこれまでに学んでいる(のでアフィリエイト・マーケティングも決してしない、とは断言しない)。

チケット販売の場合も同様だ。試合を見ようとしないスポーツファンはいない。繰り返しになるが、これは我々にとっては収益機会であり、また読者に価値を提供する機会でもある。今のところパートナーはいないが、その可能性を追求することに非常に興味を持っている。

[原文:The Athletic’s Sebastian Tomich is looking beyond ads and subscriptions to reach profitability

Kayleigh Barber(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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