飛行機の表面をサメ肌にすると、CO2排出を削減できるんです

空飛ぶサメ。シャークネードじゃないよ。飛行機だよ。

気候変動対策が遅れていると批判の的になっている航空業界は、二酸化炭素排出量が世界全体の2.8%を占めています。持続可能な燃料や太陽光飛行機などの開発も行なわれていますが、一朝一夕にできるものじゃなさそう。

ところが、あるんです。今すぐできて、すぐに効果を実感できるテクノロジーが。現在、航空業界では「サメ肌フィルム」の導入が急ピッチで進んでいるようですよ。

ヒントはサメ

AeroSHARK Skin
Image: Lufthansa Technik

Lufthansa Technikが開発した、水の抵抗を減らして高速で海を泳ぐサメの肌の機能を空に応用したAeroSHARK(エアロシャーク)と呼ばれるサメ肌フィルム(上の画像参照)を航空機の機体に貼ることで、ルフトハンザドイツ航空をはじめとする航空会社が、ジェット燃料の消費量と二酸化炭素排出量を削減しています。

サメ肌フィルムの効果

Infographic
Image: Lufthansa Technik

現段階で、スイス航空のボーイング777-300ER12機、ルフトハンザドイツ航空5機(同747-400旅客機1機と777F貨物機4機)の合計17機がLufthansa Technikのエアロシャークを導入。さらに、ルフトハンザドイツ航空のボーイング777F貨物機7機と、オーストリア航空4機(同777-200ER)の合計11機にも導入予定とのこと。

サメ肌フィルムを貼った航空機の飛行時間は、これまでに10万時間を超えているそうです。その過程で、ジェット燃料の消費量を6,000トン以上二酸化炭素排出量を1万9000トン以上削減できたといいます。20機に満たない航空機にサメ肌フィルムを貼っただけで、1日あたり最大48トンの排出量削減につながっているそうですよ。

その効果をちょっと細かく見ていくと、ダウンタイムがなく、メンテも定期的な補修コストも必要ないサメ肌フィルムは耐久性が高く、4年以上の継続使用が可能です。

高さが50マイクロメートルしかないうろこ状の突起(リブレットと呼ばれています)が並べられたサメ肌フィルムを、機体の下半分に約800平方メートル貼るだけで、空気の摩擦抵抗が抑えられ、燃料消費量と二酸化炭素排出量を0.8%削減できます。理論上の燃料消費量削減は最大3%だそう。

また、フィルム1平方メートルあたり180gと超軽量なので、約800平方メートル分貼ったとしても、その総重量は144kgにしかなりません。

サメ肌、万能過ぎて特許をあげたい。

日本でもサメ肌ジェット続々

日本でもサメ肌フィルムの導入は進んでいます。2022年には全日本空輸(ANA)がニコンのサメ肌フィルムを試験導入。2023年には日本航空(JAL)が宇宙航空研究開発機構(JAXA)、ニコン、オーウエルと共同で機体にサメ肌のリブレット加工を施して試験飛行を開始しました。

さらに今年9月2日には、ANAがルフトハンザドイツ航空と同じエアロシャークを貨物専用機と旅客機(共にボーイング777)に導入すると発表しています。同日の定期便から貨物機が就航、来春には旅客機を国際線で運航する予定とのことです。

サメ肌フィルム、飛行機以外に車や風力タービンなどにも応用できそうですよね。なんなら意味なくスマホやノートパソコンの背面に貼りたい。

Source: Lufthansa Technik

Reference: Context, 日本経済新聞 , 日経クロステック , 全日本空輸 (ANA)

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