存在感が強すぎるGalaxy Watch Ultra。とりあえず2週間使ってみた

回転ベゼルがあればなお良しだった。

Samsung(サムスン)の最もハイエンドなスマートウォッチGalaxy Watch Ultraが海外で発売になり、日本でも予約受付しています。Apple Watch Ultraと同様に大きくて頑丈で、「なんか一番すごいスマートウォッチ」という位置づけですが、実際そのすごさを感じられるんでしょうか? 米GizmodoのKyle Barr記者が2週間ほど使ってみての結論は…。


Samsung Galaxy Watch Ultraはたしかにすごいスマートウォッチで、最初は「自分には大げさすぎるかな」と思いました。僕はときどきサイクリングやハイキングをしてるので、Galaxy Watch Ultraは便利ですが、使ってみるとちょっと存在感がありすぎる気もします。

でも、Galaxy Watch Ultraは、日々運動の目標を達成することが生きがいで、常に時計を意識させられることもいとわない人にはぴったりのスマウォです。僕の場合、自分がそういう種類の人間かどうかは、まだ判断しかねてます。

Samsung Galaxy Watch Ultra

◾️これは何?:Samsungで一番高価なスマートウォッチ

◾️価格:650ドル(日本価格:12万6940円)

◾️好きなところ:運動しても2日持つバッテリー、細かくカスタマイズ可能な文字盤、着け心地が良く長く使える

◾️好きじゃないところ:とにかく大きい、これ限定の機能は少ない、Galaxy Watch Classicの回るベゼルがあれば便利なのに…

Galaxy Watch Ultraは650ドル(日本価格12万6940円)で、300ドル(同5万7200円)のGalaxy Watch 7からいろんな意味でステップアップしてはいます。バッテリー持ちは長く、筐体や画面の耐久性、防水性能もはるかに高くなり、水深100mまで潜れます。さらにSamsungのWearOS 5アプリによって、サイクリングやランニングについてのより詳細なデータが見られます。

Galaxy Watch Ultraはネーミング的にも当然、Apple Watch Ultra 2と比較されます。ただ価格は、Galaxy Watch Ultraが650ドル、Apple Watch Ultra 2が800ドル(日本価格:12万8800円)ですが、Galaxyには血中酸素濃度測定や睡眠時無呼吸症候群検知といった機能があり、Appleにはありません。それはAppleがこうした機能で他社の特許を侵害してるとされ、現在係争中だからです。

Apple Watch Ultra 2と同じく、Galaxy Watch Ultraにもスキューバダイビング用とか、アスリート向けのすごくニッチな機能があります。この記事ではそこまで深い機能を全部は試せていませんが、日々の着け心地はお伝えできます。それはまるで腕に山を載せてるみたいです。シリコンのバンドも、写真の「Marine」とかは頑張りすぎな気もしますが、「Trail」とか「Peakform」なら大丈夫かもしれません。

またGalaxy Watch Ultraでは、いろんな健康系データが取れるのは便利なのかもしれませんが、睡眠時無呼吸症候群検知とか、AGEs(終末糖化産物)測定とか、なんだかおなかいっぱいにもなってきます。

Galaxy Watch Ultraには限定の文字盤があり、データがたくさん見られて、見え方もカスタマイズできます。ですが、なんらかのアナログな操作機構が欲しかったなと惜しくなります。47mmの画面はスマウォにしては大きいですが、僕の指には小さめで、Galaxy Watch Classicみたいな回転ベゼルがあれば良かったのに…! カスタマイズできる「クイックボタン」はあるんですが、Apple Watchのデジタルクラウンに相当するものはありません

それでもGalaxy Watch Ultraはスポーツウォッチとして優秀です。バッテリーは丸1日以上使えるし、その間に複数のワークアウトも可能です。運動用に使うなら、Galaxy Watch Ultraより良い製品はなかなかないはずです。

とにかくでかい

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Galaxy Watch Ultraのデザインは、丸いディスプレイを四角いボディが囲む「クッションケース」と呼ばれています。着け心地がクッションみたい、という意味じゃないみたいですが、比較的快適ではあります。着けてることを完全に忘れることはありませんが、寝るときに寝付きが悪くなるほどでもないです。

でも、とにかく大きいです。画面が47mmだし、筐体も含めるとさらに大きく感じます。僕の手首の太さは平均的ですが、その幅のほとんどをGalaxy Watch Ultraの筐体が占めています。厚さも12.1mmあり、ドアや棚やタオルやらにガンガン引っかかります。幸い本体は頑丈だし、本体とバンドをつなぐダイナミックラグシステムもしっかりしています。

見た目にはプレミアム感があり、「Ultra」らしいです。オレンジとチタングレーの配色も良いし、文字盤デザインはいろいろ変えられます。僕は標準のUltra Analogのデザインで、色を赤・黒に変えました。文字盤上の8つのコンプリケーションもそれぞれカスタマイズでき、無数の組み合わせが可能です。普通の文字盤は嫌いだけど、情報はパッと見えるようにしたいという場合は、Ultra Info Boardって文字盤もすごくまとまってて良いです。

Ultra限定機能の、周りが暗いときにオンになるナイトモードも、深いネオンレッドがきれいです。周りの明るさは自動で検知され、直射日光下も暗めの部屋もしっかり見分けていました。

Ultra限定の健康系機能(あんまり使わないけど)

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Galaxy Watch Ultraのソフトウェアは、Galaxy Watch7とだいたい同じですが、ワークアウトや健康系トラッキングで若干プラスがあります。またGalaxy Watch Ultraには、任意の機能を割り当てられるクイックボタンがあり、僕はワークアウト開始用に割り当ててました。ダブルピンチのジェスチャーより、このクイックボタンのほうが使い勝手が良かったです。

もう1つのGalaxy Watch Ultra限定機能として、サイクリングでの「機能的体力しきい値(FTP)」、つまりユーザーが1時間キープできる運動強度の上限の測定が可能です。限界を把握することで、個人に合った目標設定をするための機能なんですが、この機能を使うには自転車のペダルに付けるパワーメーターという器具と、Galaxyスマホが必要です。ということは、さらに数万〜数十万円かかります。Galaxy Watch7でもサイクリングの速度や勾配といったデータは見られるので、気が向いたときに自転車に乗る程度の僕にはあまり役に立ちません。

Galaxy Watch Ultra限定でできるのは、あとはマルチスポーツの設定くらいです。これは、ランニング、自転車、水泳を細かく連続してトレーニングするときに使えるんですが…それくらいですね。ほかはみんなGalaxy Watch7でも可能です。つまり、再構成された健康系センサー群でAGEsも見られるし(Samsung Healthのベータ機能ですが)、より正確なGPSトラッキングも、睡眠時無呼吸症候群検知のための血中酸素濃度測定も、Galaxy Watch7でできます。

Samsungは、これらの機能は医療機関でのちゃんとした検診に代わるものではないと明記しています。Galaxy Watch Ultraで睡眠時無呼吸症候群を検知するには、装着した状態で2晩寝る必要があり、血中酸素濃度の異常を検知すると、医師にかかるように言われます。心拍数やECGモニタリングでも同様です。

GPS精度はイマイチ?

Galaxy Watch Ultraを使っていて、若干おかしいと思うことが何回かありました。

例えば、朝6時に目が覚めてスマホをチェックしていたのに、「朝7時10分起床」ってことにされるとかです。そのせいで睡眠スコアが実際以上に良く測定されたのかどうかはわかりませんが、Samsung Healthでは僕のスコアはたいてい「まあまあ」から「良い」でした。僕自身「まあまあ」とか「良い」と思える日はほとんどないんですが、気分最高!となるには、スコア100くらいにならないといけないのかもしれません。

GPSはデュアルバンドGPSで精度が上がったはずなんですが、街中だとやっぱり完全じゃないです。ブルックリンのメインの道沿いのサイクリングコースでは良かったんですが、マンハッタンではビルの中をワープしてるように見えたりしてました。

WatchOS 5による恩恵もいくつかあります。WatchOS 5は動作が高速になったとされ、Galaxy Watch Ultraも爆速というほどじゃないにしろ、ラグや問題は感じませんでした。タイルのインターフェースはまだ完成されてなく、タイルの配置変更が素早くできないし、ウィジェットは15個までしか扱えません。タイル選択は指で画面を動かしてできますが、この操作を物理的なベゼルでできればもっと簡単だったと思います。

大きい分だけバッテリーは安心

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Galaxy Watch Ultraには、決め手になるほどの限定機能は正直少ないかもしれませんが、バッテリーライフには心が動くかもしれません。バッテリー容量は590mAhと、従来のGalaxy Watchシリーズの300mAhとか425mAhに比べてかなり増量しています。実際使ってみても、たしかに大きい分だけ持ちも良いんだと感じました。

数日使ってバッテリーを完全にキャリブレートできると、46時間連続で使い、そのうち1日で2回ワークアウトをしても、寝る前まで残ってました。しかも省電力モード・運動時省電力モードを使わずに、それくらい使えるんです。

夜間に睡眠時無呼吸症候群の検知をしていても、バッテリーは10%程度減っただけでした。それでも旅行などでしばらく外泊するときは、充電パッドを持っていったほうがいいと思います。

今までのGalaxyスマートウォッチでは、Samsungのスマホにくっつけて充電できるものもありましたが、Galaxy Watch Ultraではできません。Samsungいわく、背面のセンサーのデザインを変えたので、内部の充電コイルとスマホの距離が離れてしまったため、リバース充電はできなくなったそうです。

この時節柄ちょっと安心したのは、猛暑の中でGalaxy Watch Ultraを着けていても、周りの温度より熱くはならなかったことです。Galaxy Watch Ultraの動作温度は-20℃〜55℃なので、たいていの極寒や酷暑にも耐えられそうです。

買いなの?

Image: Kyle Barr – Gizmodo US

Galaxy Watch Ultraは今まで使ったどんな腕時計より、運動中も街歩き中も四六時中プラグインされてる感覚で、着けてることを意識させられます。机に向かっていると定期的に立ち上がるように言われるし、服を着るときはひっかかるし、明るい画面をチラッと見ただけで子犬の満面の笑顔のように輝きます。

Apple Watch Ultraより若干安いのはいいのですが、それでも「安い」スマウォではなく、Galaxy Watch7の倍のお値段です。ですが、その分決定的にプラスの機能があるとも思いません。

でも、個人的には、Galaxy Watch7よりGalaxy Watch Ultraの方が好きです。ハイキングの途中、森の中でバッテリーが切れる心配がないし、文字盤のコンプリケーションもたくさんあります。これでもし回転ベゼルが付いてたら、買える人にはぜひ!とオススメできるようになります。

Galaxy Watch Ultraは、手首の上のスペースだけじゃなく、なんなら生活全体を支配するスマウォです。それを求める人にとっては、Galaxy Watch Ultraとその巨大な文字盤は、価格に見合う買いものとなることでしょう。