鳴物入りでついに登場したApple Vision Pro。
VR市場を大きく変革させるポテンシャルを秘めたアイテムですが、日本円で約50万円という高額さと、そもそも日本ではまだ販売が先ってことで、様子見している方も多いかと思われます。
しかし、今のところVision Proにそんなに興味なくても、楽器や音楽制作に興味あるのなら、ちょっと無視できないかもしれません。
新たな演奏スタイルを確立
MOOG MUSICはVision Pro用のソフトシンセ「Animoog Galaxy」をリリースしました。MOOGといえば1970年にシンセの始祖であるMini Moogをリリースした楽器ブランドで、ロバート・モーグ博士の威光を受け継ぐシンセの名門です。
Animoog Galaxyは空間シンセサイザーと銘打たれており、Anisotropic Synth Engine(ASE)という波形の自由度が高いウェーブテーブルタイプのシンセエンジンを採用しています。
一般的なウェーブテーブルシンセがX/Yの2軸でパラメーターをいじっていくのに対して、Animoog GalaxyはX/Y/Zの3軸構成になっており、それだけ複雑な音作りが可能です。
モジュレーション、ピッチシフト、6ステージEG(通常のADSRをDAHDSRに拡張)、ステップシーケンサーなど豊富な機能を搭載。操作はVision Proに映し出されたキーボードを、ジェスチャーでつまんだりドラッグしたりして行なえます。映像を見てみるとこの演奏スタイルがまたユニークで楽しげ。
機能のパワフルさや独特の操作インターフェースは、シンセの概念を大きく進化させる画期的なソフトだと感じさせます。近未来感あるし、映像との連携でライブパフォーマンスでも活躍しそうです。新ハードウェアの発売とほぼ同時に、これだけのソフトをぶっこんでくるApple(アップル)とMOOGは流石だと感嘆せずにはいられません。
何ができるのか今ひとつぼんやりしていた感があったVRヘッドセットですが、こうしてわかりやすく音楽制作の現場に寄り添ったツールが出てくると、今後の展開にも期待大です。ダウンロード価格は29.99ドル(約4,400円!安い!)です。
Source: MOOG MUSIC