PlayStation Portableではないんです。
PS5をリモートでプレイできる、PlayStation Portalリモートプレーヤー(以下PlayStation Portal)。ベッドでゴロゴロしながら、または移動中に、いつものゲームがプレイできれば楽しみが広がりそうですが、実際使い心地はどうなんでしょうか? 米GizmodoのJorge Jimenez記者がしばらく使ってレビューしてますので、どうぞ!
Steam Deck OLEDとかLenovo Legion Goとか Ayaneo SlideとかAsus ROG Allyとか、ハンドヘルドゲーミング端末が豊作な今日この頃。なのでPlayStation Portalを見て、「おっ、新生PlayStation Portable(PSP)だね!」と思われた人もいるかもしれません。
でも、PSPの遺志を継ぐ者を期待してた方には申し訳ないんですが、PlayStation Portalはリモートプレイ専用のデバイスであり、PS5なしでは何もできません。お値段も200ドル(日本価格2万9980円)ですしね。
つまり、PlayStation Portal自体には何もインストールされません。あくまで、すでにPS5を持ってる人が、PS5にあるゲームをリモートプレイできる、ということです。でもナイスなのは、自分のPS5のライブラリにあるゲーム、またはPlayStation Plusでアクセスできるゲームは、どれでもストリームできることです。
PlayStation Portal
PS5のゲームを快適にストリームできて、見映えもいいハンドヘルドゲーム端末。でも、それだけです。
これは何?:PS5のライブラリにリモートプレイでアクセスできるようになる、手持ちストリーミング端末。
価格:200ドル(日本価格2万9980円)。
好きなところ:美しいデザイン、リモートプレイがしっかりできる、バッテリーライフもまあまあ。
好きじゃないところ:Bluetooth使えない、タッチ操作しにくい、Wi-Fiが不安定だと快適にストリーミングできない。
未来感あるシュッとしたデザイン
まずPlayStation Portalは見た目も感触もいいし、スリムで手になじみます。DualSenseコントローラーを真ん中で割ったような形で、中心にはタッチパッドの代わりに8インチの液晶画面があります。未来から来たみたいな、印象的なデザインです。
たっぷり8インチの液晶タッチ画面では、1080pのゲームプレイ映像を60FPSでストリームできます。ストリーミング専用デバイスなので、普通のゲーム機のようなハードウェアは積んでおらず、だから500gちょっとと軽量。
画面の明るさは十分ですが、家のTVでプレイするときの4K・120Hz・HDRみたいな眼福はありません。でもストリーミングするだけなのでバッテリーも長持ちで、7〜10時間使えます。
仕組みとしては、PlayStation PortalはWi-FiにつながったPS5につながって動きます。PlayStation Portalには何もインストールできないし、そこでゲームは動いてません。なのでゲームするときはまずPS5にログインし、設定でリモートプレイをオンにしとく必要があります。
またPlayStation Portalでのプレイ中は、コントローラーとしてPS5を専有することにも注意です。つまり、PlayStation Portalを使ってるときは、他の人はPS5を使えません。またリモートプレイ中にNetflixやYouTubeをストリームすることもできません。
使い方は簡単ですが、PS5が電源オフになってる場合、PlayStation Portalから立ち上げられないのは結構面倒です。GeForce Nowみたいな感じでバーチャルコンソールを使ってゲームにアクセスしたりストリームしたり、有償でもいいので、そんな機能があったらいいんじゃないかと思います。
快適なゲームプレイ(Wi-Fiが安定してれば)
米GizmodoオフィスのWi-Fi環境は完ぺきとはいかないんですが、PlayStation Portalのストリーミング体験はちゃんとできました。『Ghost of Tsushima』をオフィスのいろんな位置で、そこそこ人がいる時間帯に試してみましたが、そんなに問題なくプレイできました。ただWi-Fiが不安定な場所では、フレームレートと動画クオリティが急降下するのがわかりました。
でも、数十人でWi-Fiを共有してるオフィスと、せいぜい数端末しかつながってない家では話が違い、家のWi-Fiでははるかに快適にプレイできました。『God of War』とか『The Last of the Us Part 2』はとくによく、動作に影響するような入力ラグもほぼなしで驚きました。
『Fortnite』とか『Call of Duty』も何回かプレイして、このへんは僕が一番得意なゲームじゃないんですが、だいたい大丈夫でした。
でもこういうミリ秒で生死が分かれるゲームでは、僕はPlayStation Portalをメインで使わないと思います。でも、のんびりと収集ミッションをこなすとか、アイテムの設定をいじるとか、そんな気分のときには悪くありません。
ただ、タッチ操作は非常に使いにくい。DualSenseコントローラーのタッチパッドに相当する部分が、画面左右の下の方のボックスなんですが、手の大きさによっては無理があります。僕の場合、入力を認識させるために1、2回タップし直さなきゃいけないことがよくありました。
リモートプレイは、家の外から別のWi-Fi経由でも可能なんですが、ちょっと手間があります。たとえば米GizmodoオフィスにあるPS5を、僕の家のPlayStation Portalからプレイする場合、オフィスにいる誰かにPS5を立ち上げてもらい、僕のPSNアカウントにログインしてもらわなきゃいけません。ただその場合でも、ストリーミング自体は驚くほどうまくできました。
さらにはスマホでテザリングしたり、カフェとかのWi-Fiにつなげても使えます。ただWi-Fiの速度は15Mbps以上が推奨で、それ以下では快適にプレイできません。ゲームで暗いシーンになると、画面がほぼ真っ黒かつギザギザで、何がなんだかわからなくなります。
あと奇妙なのは、Bluetoothがないことです。つまり、手持ちのワイヤレスイヤホンをつなぎたくてもつなげられません。が、3.5mmジャックはあるので、有線のイヤホンやヘッドホンなら使えます。
ワイヤレスのヘッドホンやイヤホンを使いたい場合、専用のものを別途買わなきゃいけません。PULSE EliteワイヤレスヘッドセットまたはPULSE Exploreワイヤレスイヤホン、それぞれ130ドル(日本価格1万8980円)と200ドル(同2万9980円)です。専用品が必要なのは、独自のワイヤレスプロトコル、PlayStation Linkを使ってるからです。
買うべき?
PlayStation Portalって、どういう人がターゲットなの?と思われてたかもしれません。PlayStation Portalは、PS5の延長として考えるべきです。たとえば、家族とTVを共用してるとか、別の部屋でPS5をプレイしたいとか、『God of War』をどうしても移動中にプレイしたいとか、とにかくいつでもどこでもPS5をプレイしたい人にはうってつけです。
PlayStation Portalは、「PS5にあるゲームをストリームする」というただひとつのことしかできないニッチ製品です。でも、そのたったひとつのことは、Wi-Fiの速度にもよりますが、とても上手にできています。
いつでもどこでもPS5をプレイしたい人にとって、PlayStation Portalは200ドル(日本価格2万9980円)で買える、優秀で見映えもよい、PS5用ストリーミングデバイスです。でも本当にそれだけで、他の携帯ゲーミング端末のような器用さはないんです。