あーやっぱりなー。ゴミ拾いのとき、なんとなく環境に悪そうだと思ってたー。
今は脱プラスチックでどのお店も紙コップですが、全部が紙ってわけじゃなくて、表面には水を弾く薄~い膜が施されています。これ、案外いきものに害になることが、ヨーテボリ大学の最新論文で明らかになりました。
いきものに発育障害
膜の正体は主にポリ乳酸(PLA)。いちおう「分解性プラスチック」なので、土中の微生物に分解されて土に還ります。
なので、みんな安心して使っているわけですが、実験でプラスチック製コップと紙コップ、それぞれを4週間浸した水と泥を水槽に用意して水生ユスリカの幼虫を放って観測したら、どっちもどっちで、あまりスクスクとは育たなかったのです。
「実験した全素材において、汚染された泥の中の幼虫には著しい成長阻害が観測された」
「汚染された泥と水の両方においても、発育の遅れが全素材で観測された」(論文より)
「分解性」=「安全」とは限らない
もちろん、悪影響の度合いは沁み出る期間が長くなればなるほどひどくなりますが、カップからしみ出る期間がたったの1週間でも、成長阻害と発育の遅れは確認されたというから驚きです。
「分解性プラスチックのほうが安全」と思ったら大間違いで、PLAのほうが石油のプラスチtiックより確かに分解は早い、でもだからって安全とは違う、それとこれとは別問題ってことですね。
論文をまとめたBethanie Carney Almroth同大教授はプレスリリースでこう述べています。
「分解性プラスチックは野外や水中ではあまり効率よく分解されない」
「ほかのプラスチックとまったく同様に、自然界に残留してマイクロプラスチックとなって人間や動物の体内に入るリスクもあるだろう。分解性プラスチックに含まれる化学物資は少なくとも通常のプラスチック並みに多い」
紙コップでも飲み物にマイクロプラスチックは入る
こうした分解性プラスチックのコーティングからマイクロプラスチックがドリンクに混入することを示した論文はほかにもいろいろあります。
どれくら沁み出るかを検証したのは、2019年、インドの研究班。紙コップにお湯を注いで15分後にマイクロプラスチックを数えてみたら、なんと100mlのカップに2万5000個も混ざりこんでいました。
最近は海も山もマイクロプラスチックだらけで、南極の雪にも人間の血中にも混入しちゃってますから、今さら驚くようなことでもないですけど、お湯・15分・100ml・2万5000個って数字のインパクトがデカすぎる…。
いっぽう米ロードアイランド大学研究班が先週発表した論文では、マイクロプラスチックに触れたマウスに行動変容や認知障害の兆候が確認されてもいます。
じゃあどうすれば?
水に変なものが溶け出さないのは金属や陶器。ただ製造工程で資源がかかるし汚染も出るので、そういう意味では紙コップ何杯分とイコールなのかはわかりませんが、少なくとも、紙コップほどには口からマイクロプラスチックは入りません。とにかく、1回で使い捨てのものは使わないのが一番です。
先のAlmroth教授もこう述べていますよ。
「戦後に使い捨ての製品が登場したときには、捨てることを教える大掛かりなキャンペーンが行なわれたのだが、当時は捨てることをとても不自然に感じたものだ」
「あの時代に戻って、使い捨てのライフスタイルを改める必要があるだろう」