ゲーマーが喜ぶのはこれ。サムスンの最新テレビを観てきたよ

2024年のテレビはAIと再現性が2大テーマ。

Samsung(サムスン)が発表したテレビの新モデル、4K8K Neo QLEDS95D OLEDも全部独自のAIチップが実装されています。

4Kは解像度をいくら高めても、けっきょく勝負を決めるのはHDR性能とカラークオリティだと思うのですが、そのへんはどうなのか。サムスン極秘のショールームにお邪魔して見てきました。

Samsung QN90D Neo QLED 4K TV:期待を裏切らないTV

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Photo: Artem Golub / Gizmodo US

4K対応QLEDは一番安い55インチでQN85Dが1,399ドル(約21万2000円)QN90Dが1,499ドル(約22万7000円)。拝見したのは、それより高い65インチモデルです。OLEDに何千ドルも散財したくない人には比較的手ごろな価格帯と言えるでしょう。

昨年のQN90Cと同じく、今年も「OLEDは欲しくない、でもコントラストにはこだわりたい。そんな層が選ぶベストチョイス」を目指してサムスンは万全を尽くしています。画質は鮮明でコントラストは申し分なし。HDRのピーク輝度を計測したら、基本設定のスタンダードモード&全画面で521ニトでした。ムービーモードだともっと明るいだろうし、SDRで300ニトくらいいきそうですね。

色域も明暗も問題ないし、サムスンの最新4K TVラインには文句のつけどころがないと言っても過言ではありません。ディスプレイは明るくて美しく、フレームは極薄、ベゼルも最小限に抑えられています。たいていの人は基本設定のまま使うだろうけど、映像の出方を細かくいじりたい人向けのコントロールもひと通り揃っていますしね。

さらに充実しているのがAI機能です。

まず、世のTVメーカーがアルゴリズム自動補正テクノロジーをプッシュするなか、サムスンがPRしているのは自社のReal Depth Enhancer Pro。これはシーンごとに前面のシャープさを高める機能とのことです。試しに4Kで映画『オッペンハイマー』 や『バービー』を観てみたら、確かに背景がぼやけたりはしていませんでした。AIによる最適化かどうかは肉眼ではわかりませんが、少なくともAIによる補正が視聴の妨げになることはありません

サムスンの2024年の4K QLEDは、シーンに応じて映像が最適化される「AIカスタマイゼーションモード」もポイントです。こちらも肉眼で見分けるのは一苦労。ほかのTVと比べてわかる唯一の違いは黒がシャープなことぐらい。でも想定したピュアブラックとは異なるものの、明暗のグラデーションは忠実に表現されます。

一番騒がれているAI機能は昨年に引き続き今年も「AIアップスケーリングエンジン」(古い映像を高画質化するもの)です。荒い映像で試してみたら、なるほど、大画面の視聴に耐えられるレベルにはなりますね。フル4Kってほどじゃないにしても、全体的に視聴体験は確実に向上しているので、そこは期待して大丈夫です。

4K QLEDはサウンドシステムも入ってます。外付けのサラウンドサウンドシステムやサウンドバーほど上質サウンドではないにしても、声がブーストされるので聞き取りやすく、またDolby Atmos規格のサウンドにも対応しているのでリスニング環境は割と良好。こんなに薄いボディのどこからこんなサウンドが出てくるのだ、と思いました。TVの出費が1,500ドルちょっとに抑えられるなら、スピーカーは外付けのもっといいの買えるって話もありますけどね。

Samsung QN900D Neo QLED 8K:言うことなし(8K映像がもっとあれば)

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Photo: Artem Golub / Gizmodo US

「TVの未来は超ハイレゾにあり」。そう信じてやまないサムスン。

その見通しは当たっているかもしれないけど、今は高画質と先端技術の粋を極めた超ハイエンドな8K TVを見ても正直、「こんだけスーパースケーリングされたコンテンツを有効利用できる人が本当にいるんだろうか…」という気分。Neo QLED 8K QN900Dを視聴しているときも感動が半分、戸惑いが半分でした。

価格は一番安い65インチでQN990Dが3,999ドル(約60万5000円)、QN800Dは3,500ドル(約53万円)。サムスン最高値のTVだけあって、プロセッサには同社でもっともパワフルなNQ8 AI Gen3を搭載しています。そのNPU(ニューラルプロセシングユニット)は遥かに進化しており、AIによる8Kアップスケーリングやモーション最適化の処理にも充分対応できるレベルとのこと。

何やらスゴそうなのはわかるのですが、8K機材で撮影したピュア8Kのコンテンツで「絶対観る価値あり」だと思えるサンプルが本当に少なくて…。サムスンのストックにもなくて、あるのは短いデモ用の映像だけでした。髪の毛先のミクロから、雄大な山脈のマクロまで再現できるのはデモ用の映像でよくわかるし、申し分ないのですが、気になるのは4Kの再現性です。AIの処理力で、もっと低画質の映像をもっとよく再現できるのかどうか。

映画『オッペンハイマー』を4Kと8Kで見比べてみたんですが、違いはあんまりわかりませんでした。確かに8Kのほうがエッジが緻密なのはわかるのですが、サムスンの人に「8Kじゃなくて5Kです」と言われても信じちゃうレベル。てか、そう言われたほうが納得感は上というくらいの差なんですよね…。

QN900Dは画面を高速移動する小さな物体のモーション再現も得意分野なので、それを考えると、「超HDでスポーツ観戦」などがメインの活用になりそうではあります。実際クレイコートに着地するテニスボールも子細に見ることができましたが、4K TVでだって似たような映像が見れるじゃん、と言われれば否定もできないのが苦しいところです。

もちろん画質が悪いと言ってるわけではありませんよ。それどころか同社のQLEDは8Kも最高です。計測してみたら標準モードで輝度は715ニトでした。4Kモデル以上とは言わないまでも、それに並ぶカラークオリティ。これもスケーリング技術の進化の賜物ですね。

Samsung S95D OLED:サムスンHDR10+テックの最高峰

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Photo: Angel Fajardo / Gizmodo US

ほかのサムスン新型テレビと同じく、最新OLEDテレビも2モデル展開です。価格は一番安い55インチでS90Dが1999ドル(約30万2000円)S95Dは2599ドル(約39万3000円)

OLEDは反射防止技術の成果が活きていて、画面の明るさと優れたコントラストが損なわれることがありません。明るい室内でいろんな角度から光を当てても、まったく照り返しナシ、です。窓から差し込む日の光に反射するかどうかはわかりませんが、蛍光灯と照明が灯る室内で見る限り、目につく問題はなかったです。OLEDは見る角度によって画像がゆがまないので、反射防止はサムスン最新ディスプレイのいいセールスポイントになりそう。

画質にもあまり影響がなくて、カラー深度もコントラストも上々です。黒は正真正銘のブラックで、カラーグラデーションのきれいな明るい画面によく映えます。明るさは標準モード・フル画面で521ニトでしたが、ムービーモードで測ればもうちょっと上がるんじゃないかな。

最近のサムスンテレビはゲーム対応で頭ひとつ抜けている

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Photo: Artem Golub / Gizmodo

サムスンは近年、ゲーマーの呼び込みにかなり力を入れています。

たとえば、 2022年以降のスマートテレビには全部「Samsung Gaming Hub」というのが入っていて、XBoxとかの主要クラウドサービスからテレビに好きなゲームをストリーミングして楽しめるようになっています。メジャーどころはもちろん、今まで聞いたこともないようなサービスもあって守備範囲は広め。Samsung Gaming Hub専用コントローラもあって結構造りはシッカリしています(自分はあまり使わないけど)。

X BOXやPS5など手持ちのコントローラをBluetoothでつなぐと、テレビが自動的に認識して、Neo QLEDならNeo QLEDのほうで設定を変えてくれるのでラクちんこの上なし。テレビのリフレッシュレートは標準で120Hz、可変で144Hz。PS5もXboxシリーズXも4Kで最大120Hzなので充分対応できます。

サムスン独自のTizen OSにはその他のゲームモードもあって、そちらからGame Barを開けばフレームレートや解像度などの詳細設定も可能です。

さらにテレビで展開しているAI機能としては、まずGame Bar 4.0というのがあります。これはAIエンジンで音や明るさを自動調整して画面の特定領域(RPGのミニマップや射撃手の足音など)を強調できる機能。違いがわかったかと聞かれると、あんまりわからなかったと答えるしかないんですけどね、意識して探しても。まーしかし、あまり違いがわかり過ぎても気が散るので、サブリミナルな修正でOKかと。

総じてサムスンのテレビは、ゲームファンに一番手の届きやすい製品群に入るのではないでしょうか。対応サービスの範囲も広がったことだし、「TVにあまりお金をかけたくないけど、今あるゲーム機を最大限使い倒したい」人たちが4K QLEDやOLEDを有力候補に加えることは想像に難くありません。

巷の噂では「PS5 ProはGPU大進化で8K対応」とのこと。噂が本当なら、8Kコンテンツの受け皿に3,500ドル投じる理由もやっと生まれそう。すべてはソニーが自社コンテンツを無茶苦茶アップスケールできるかどうかにかかっています。

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