Googleの医療用AIチャットボットがすでに医療機関でテストされている

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Googleが2023年5月に発表した大規模言語モデル「PaLM 2」は、すでにさまざまなGoogleサービスに導入されているだけでなく、健康データでトレーニングされた「Med-PaLM 2」や、サイバーセキュリティ関連のデータでトレーニングされた「Sec-PaLM 2」など、異なるバージョンの開発も進められています。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、「Med-PaLM 2」はすでに一部の医療機関でテストを開始していることが明らかになっています。

In Battle With Microsoft, Google Bets on Medical AI Program to Crack Healthcare Industry – WSJ
https://www.wsj.com/articles/in-battle-with-microsoft-google-bets-on-medical-ai-program-to-crack-healthcare-industry-bb7c2db8


Google’s medical AI chatbot is already being tested in hospitals – The Verge
https://www.theverge.com/2023/7/8/23788265/google-med-palm-2-mayo-clinic-chatbot-bard-chatgpt

Googleは2023年5月に開催されたGoogle I/Oの中で、同社が開発を進める大規模言語モデル(LLM)「PaLM」の次世代バージョンとなる「PaLM 2」を発表しました。PaLM 2は推論・多言語翻訳・コーディングを含むさまざまなタスクにおいて優れたパフォーマンスを発揮可能で、発表時点でGoogle検索を含む25種類のGoogleサービスに導入されています。

Googleが大規模言語モデル「PaLM 2」を発表、すでに25のGoogleサービスに導入済み – GIGAZINE


ウォール・ストリート・ジャーナルが独自に入手したGoogle社内でやり取りされたメールによると、GoogleはMed-PaLM 2が「医師へのアクセスがより制限されている国で特に役立つ」と考えている模様。Med-PaLM 2のトレーニングデータには医療資格試験の問題と解答が利用されているため、同社のBardやChatGPTといった汎用チャットボットよりも医療関連の会話を巧みにこなすことができると考えられています。

また、GoogleはMed-PaLM 2を、2023年4月頃からメイヨー・クリニックなどの一部の医療機関でテストしていると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じました。

AIを医療業界に導入することを計画しているのはGoogleだけでなく、MicrosoftやIBMなどの大手テクノロジー企業や、小規模なスタートアップも同分野に関する研究を進めています。すでに医師の業務のひとつである文書作成の負担をAIが軽減できることが報じられています。

AIが医師にとって1日に何時間もかかる文書作成の負担を軽減して燃え尽き症候群を回避するのに役立っている – GIGAZINE


Med-PaLM 2は医学的な質問に対する回答を生成したり、大量の健康データを整理するために使用したりすることができるAIチャットボットです。

Med-PaLM 2に関する論文によると、他のLLMですでに見られているような精度関連の問題がMed-PaLM 2でも依然として残っており、例えばMed-PaLM 2が出力する回答の中には「他の医師の回答よりも不正確だったり、無関係な情報を含んでいたりするケースもある」とのこと。

それでも、Med-PaLM 2は推論の証拠を示したり、コンセンサスの取れた回答を示したり、間違った理解の兆候を示さなかったりと、ほぼすべての指標において実際の医師と同等のパフォーマンスを発揮できることが示されています。

Med-PaLM 2, our expert-level medical LLM | Research Bytes – YouTube
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ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、Med-PaLM 2のテストに参加している患者に関するデータは暗号化されており、Googleがそのデータにアクセスすることはできなくなっているそうです。また、Googleの広報担当者はMed-PaLM 2を医療現場に導入するプログラムがより広く提供される時期について、明言を避けています。

Med-PaLM 2の開発に携わったGoogleのシニアリサーチディレクターであるグレッグ・コラード氏によると、すでに医療現場でテスト使用されているMed-PaLM 2はあくまでも開発の初期段階にあり、顧客のニーズを理解するために医療機関などと協力して開発を進めている段階とのことです。

コラード氏はウォール・ストリート・ジャーナルに対して、「この種のテクノロジーは、まだ自分の家族のヘルスケアに取り入れたいと思うような段階にはありません。しかし、Med-PaLM 2はヘルスケアにおいてAIが有益となり得る領域を10倍に拡大することができると信じています」と語りました。

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