1月に「新年の抱負」を決めることは本当に役に立つのか?

GIGAZINE
2023年01月21日 18時00分
メモ



新しい年を迎えると心機一転してこれまでの悪い習慣をなくしたり、新たなスキルを身につけたりするため、「新年の抱負」を決めるという人も多いはず。1年の最初に新年の抱負を掲げることに意味があるのかどうかについて、科学系メディアのLive Scienceがまとめています。

Do New Year’s resolutions really work? | Live Science
https://www.livescience.com/do-new-years-resolutions-work

新年の抱負が有効だという主張を補強する理論の1つに、「フレッシュスタート効果」というものがあります。これを提唱した2014年の論文では、新年や誕生日、長期休暇、週や月の最初といった節目のイベントが、人々の「向上心が強い行動」の増加に関連していることが示されています。

研究チームは、これらの「時間的ランドマーク」が人々の認識を「ランドマークの前と後」に分け、過去の失敗を振り返ることを可能にすると指摘。また、ランドマークの存在が時間的な全体像を考えることを促進し、人々が即時的な満足よりも長期的な満足を追い求める可能性が高くなるとのこと。研究チームはこの研究内容から、新年などの節目が新たな目標へのコミットメントを促進する「フレッシュスタート効果」の存在を提唱しました。

しかし、フレッシュスタート効果が実験でテストされたことはないそうで、実際に新年の抱負が失敗に終わってしまった経験がある人も多いはず。イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの健康心理学名誉教授であるロバート・ウェスト氏は、新年の抱負が失敗してしまう理由について、人間の欲望が「その瞬間」にのみ存在しているからだとLive Scienceに語っています。

ウェスト氏は、「起きている時間を通じて、私たちはまさにその時点で自分が最も望んでいることを追求して行動します。1時間前や1日前、5分前に望んでいたことではありません」「だからこそ、私たちはやろうと思っていたことをやるのが難しいのです。そのタイミングが来ると、私たちは何を望んでいたのか忘れたり、別の欲求の方が強くなっていたりします」と述べました。


新年の抱負を成功させるカギは、「どのような抱負を設定するのか」という点にあるかもしれません。2020年に発表された研究結果では、「何か新しいことを始める」というアプローチ指向の抱負を設定した人は抱負を維持できる割合が高く、「何かをやめる」という回避指向の抱負を設定した人は維持率が低いことが示されました。つまり、「ダイエットのためにお菓子を食べるのをやめる」という抱負を「1日に数回果物を食べる」と言い換えると、抱負を維持できる可能性が高まるというわけです。

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また、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの健康心理学教授であるスーザン・ミッチー氏は、人間に存在する意思と行動のギャップが、新年の抱負を維持できるかどうかに影響している可能性があると指摘。ミッチー氏は、「変化したいという意欲を強く感じていても、感情だけで物事を実現することはできません。人々は自分の行動を管理するスキルと、それを実現する機会を持っている必要があります」と述べています。

2016年に学術誌のHealth Psychologyに掲載された論文では、規範意識や自分の可能性を認める自己効力感が高まると、運動やダイエットなどの健康関連の行動にある程度の好影響がもたらされることが報告されました。さらに、Journal of Clinical Psychologyに掲載された2002年の論文では、新年の抱負として目標を掲げた人は、新年の抱負として掲げなかったものの同じ目標を追求した人々と比較して、6カ月後に目標を達成する可能性が44%高いことがわかっています。

ウェスト氏は、「行動をコントロールするこつは、やろうと決めたことをやる時、あるいはやりたくないことをやらない時、その計画に従おうとする気持ちが強くなるように、前もって計画を立てておくことです。新年の抱負はそれを実現するための方法です。『禁煙する』『健康的な食生活を送る』『ジムに通う』といった計画を大々的に打ち出し、人に話して何らかのサポートをもらうかもしれません。これに成功すれば、計画を守りたいという気持ちが守りたくないという気持ちより大きくなります」と述べました。

新年の抱負を継続するためのテクニックとしては、「同じ目標を持つグループに参加する」というものや、「習慣化して生活に組み込む」というものが挙げられます。2013年に学術誌のJournal of Personality and Social Psychologyに掲載された論文では、個人的なモチベーションや意志力が低い場合でも、習慣化することで目標を順守しやすくなることが示されています。Live Scienceは、「習慣を作り、タスクを繰り返し行うことは、モチベーションの欠如を回避するための便利な方法になる可能性があります」と説明しました。

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