脱ブラックボックスなるか。
MetaがFacebookやInstagramでAIをどう使ってるのか、今までになく詳細な情報を公開しました。その情報は、22の「システムカード」としてまとまっています。
Metaのサービスの仕組みがブラックボックスだという批判が今まで無数にありましたが、今回の情報公開はそんな声に応えるためなんでしょうね。
AIの仕組みを22のカードで説明
22のシステムカードは、14がFacebook関係、8がInstagram関係となっていて、各カードがたとえばFacebookの「フィード」とか「フィードの推薦」「知り合いかも」という風に、配下の細かいサービスに割り振られてます。
各システムカードは4部構成で、第1部はAIシステムの概要、第2部はAIシステムの仕組みのまとめ、第3部はユーザーが表示をカスタマイズする方法、第4部は最終的にコンテンツ配信に使われるAIシステムの詳細、となっています。
各カードを見てみると、それぞれのシステムが使う「シグナル」の例が説明されています。
ここでいう「シグナル」とは、ユーザーが「いいね」とかコメント、シェアといった操作をしたときにMetaが学習するユーザーの情報のことを指します。
また、ユーザーが今までアプリを使ったときの使い方からMetaが導き出したシグナルもそこに含まれます。各ランキングシステムがこうしたシグナルを測定し、各ポストの「関連性スコア」を計算して、そのスコアの順にポストを配置するというわけです。
システムカード内の説明のなかには、他のカードと重複するように見える部分もありますが、微妙な違いもたくさんあります。
たとえばInstagramフィードのシステムカードのなかには、「利用者が投稿の閲覧にほとんど時間を割かず、アクションを行なわない可能性」というシグナルがあり、それがコンテンツ配信方法を変える要因のひとつになっているそうです。
Facebookフィードのカードにも似たような部分があるんですが、ニュアンスがちょっと違っていて、「利用者が投稿に反応せずにスクロールして飛ばす可能性」となっています。
ユーザーの不安解消
Metaの国際問題担当プレジデント、Nick Clegg氏はプレスリリースで言っています。
生成AIのような強力な技術が急速に進歩するなか、人々が可能性についてワクワクするとともに、リスクについて心配になるのは無理もありません。
こうした問題に答える最善の方法は、オープンにすることだと我々は信じています。
今回のシステムカード公開には、仕組みをよりクリアにすることでユーザーのアルゴリズムへの不安感を解消する狙いがあるのでしょう。
Metaが米Gizmodoにシェアした文書の中で、Metaは、FacebookでもInstagramでも、ユーザーへのコンテンツの配信方法を決めるような唯一のアルゴリズムは存在しないと言っています。
そうじゃなくて、いろんなシステムが独立して動いたり、一緒に動いたりしているんだ、とのことです。
ブログポストの中でClegg氏は、システムカードは「非常に技術的な情報」を一般ユーザーでも理解できる方法で説明するためのものだと言っています。
カード作成にあたっては、さまざまな専門家グループやコミュニティの声を反映したそうです。
ただ皮肉なことに、技術的すぎる情報は逆効果になりうると考え、出しすぎないようにもしているとのこと。
研究者がMetaのデータにアクセス可能に
Metaはシステムカードの情報開示と併せて、研究者向けのコンテンツライブラリーとAPIの提供開始を発表しました。
コンテンツライブラリーにはFacebook上の公開ポストやページ、グループ、イベントと、Instagram上のクリエイターやビジネスアカウントの公開ポストやデータが含まれます。
学術研究機関が申請して承認されれば、研究者はこれらのデータを検索したりいろんな条件でフィルタリングしたりできます。
これらツールによって、FacebookとInstagram全体の公開コンテンツに関して我々が今までに作った研究ツールのなかでもっとも包括的なアクセスが提供できます。またこのことは、我々が新たなデータ共有・透明性に関する法令の遵守義務を果たすのに役立つでしょう。
Clegg氏は付け加えています。