Google 、メタ、アリババが広告費獲得シェアを落とす。2023年、最新の世界広告予測

DIGIDAY

2023年の世界の広告市場は、リテールメディアとソーシャルメディアの回復に後押しされて成長を続けると、IPGの広告市場調査部門であるマグナ(MAGNA)が予想している。

マグナが6月に発表した最新の世界広告予測によれば、メディアオーナーの広告収入は2023年に8420億ドル(約120兆5100億円)に達し、2022年の8050億ドル(約115兆2160億円)から4.6%増加する見込みだ。

「不確実性」は下半期にはなくなる?

第1四半期は経済の不透明感や景気循環要因の欠如から広告支出が減速したものの、eコマースやリテールメディアがマーケティング支出の拡大に寄与している。また、小売、自動車、旅行の分野が成長に拍車をかけているという。

一方、伝統的なメディアフォーマットは今年も苦戦し、放送作家のストライキといった不確実な要素が業界に影響を与え続けるだろうと、マグナでグローバルマーケットリサーチの担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるビンセント・レタン氏は指摘した。

「メディア業界と経済に影を落としている不確実性の一部は、下半期にはなくなるだろう。たとえば、債務上限交渉や3月頃に起こった小規模な金融パニックなどだ」と、レタン氏は述べる。「簡単にいえば、力強い景気回復が起こらなくても、広告市場の成長率は下半期にいくらか持ち直すと私たちは見ている。デジタルフォーマットが回復することは間違いない」。

さらに、2024年には経済が安定し、米大統領選挙やパリ五輪、ユーロサッカー選手権が開催されるため、「広告費の伸びが再び加速する」はずだと、このリポートでは指摘している。

メディアフォーマット別の状況

今年は、エディトリアル中心の伝統的なメディア企業やブランディングフォーマット、加えてテレビ広告の収入が減少する一方、特定のメディアやプラットフォームに特化したデジタル広告の販売やリテールメディアネットワークは成長することが予想される。

デジタル広告の売上は前年比8.5%増となる5770億ドル(約82兆5800億円)に達し、広告売上全体の69%を占める見込みだ。この成長は、オーガニックな成長要因、eコマースへの徹底的な取り組み、およびリテールメディアやほかのメディア消費の変化によってもたらされる。検索とコマースは依然として最大の広告フォーマットで、前年比9.1%増の2960億ドル(約42兆3650億円)に達するという。

ソーシャルメディアフォーマットは2022年に最悪の年を迎えたが、今年は前年比で9.4%増となる1720億ドル(約24兆6180億円)に達し、「再び勢いを増す」とマグナは述べている。また、メタ(Meta)をはじめとするソーシャルメディアベンダーも、Appleが2021年後半に行ったOSの改変による痛手から回復している模様だ。

リテールメディアネットワークは、今年の広告売上が前年比12%増の1210億ドル(約17兆3180億円)に達すると見られるが、その多くを商品検索とeコマースのスポンサーシップがけん引している。コマースとリテールのプレーヤーについては、Amazonとアリババ(Alibaba )が最も成長しており、このセグメントで83%のシェアを占めていた。ただし、ウォルマート(Walmart)やカルフール(Carrefour)などの伝統的な小売チェーンも、CPG(消費財)ブランドを引きつけるためにファーストパーティの消費者データを提供して、競争力を保っている。

業界別の状況

旅行と自動車の分野は、パンデミックとサプライチェーンの問題に見舞われたこの数年間を経て、復活しつつある。この2つの業界は、今年に入ってほとんどの市場でマーケティング支出を10%以上伸ばしていた。一方で、テクノロジー、通信、金融、不動産、レストランなどの業界は売上が伸び悩み、支出も停滞している。

特筆すべきは、CPGやFMCG(日用消費財)の一部ブランドが、インフレの問題を理由に支出をシフトさせていることだ。多くのブランドが検索やリテールメディアネットワークを通じたパフォーマンス支出を増やす一方、食品、飲料、パーソナルケア、家庭用品の分野ではeコマースの売上が加速度的に伸びている。

「CPGブランドは(中略)おそらく全体として広告予算を増やしているが、リニアメディアやテレビへの予算については、当面のあいだの優先度を下げているケースが多い。とはいえ、CPGブランドは市場によってさまざまな戦略を展開しており、インフレが減速している一部の市場では、食品や飲料の分野で実際に増加が見られる」と、リポートは指摘している。

メディアオーナー別の状況

マグナはまた、1~2年前と比べて市場の競争が激化している実態も明らかにした。2022年の3大メディアオーナーはGoogle、メタ、アリババで、この3社があらゆるメディアと市場を通じて、世界全体の広告費の47%を獲得していた。

だが、この割合は2021年の49%から減少している。欧米市場ではAmazonとApple、中国ではバイトダンス、TikTok、ピンドゥオドゥオ(Pinduoduo)が彼らに追いついたためだ。2023年第1四半期は、3大ベンダーより規模の小さい彼らが市場で利益を増やして、3大ベンダーの成長が鈍化するなどの状況が続く可能性を示している。

「2022年は、トップ3が久々にシェアを落とした年となった」と、マグナでマーケットプレイス戦略のグローバルマーケットインテリジェンス担当シニアバイスプレジデントを務めるルーク・スティルマン氏は、この調査結果の公開にあたって述べている。

[原文:Magna forecasts global ad market to continue growth as retail and social media accelerate

Antoinette Siu(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:島田涼平)

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