MetaがリリースするTwitter対抗アプリで何が起きるか

アゴラ 言論プラットフォーム

Derick Hudson/iStock

噂によると今月末にはリリースされる?

6/4にもおそらくaiの暴走かと思われる大量の意味不明の垢BANがあったTwitterですが、実は現在のアクティブユーザーの大半は日本人とアメリカ人のみであり、しかもアメリカ人はだいぶんいなくなっている模様です。広告も6割減。イーロン・マスクによってTwitterの価値は半分になったと報道されています。

こうなってくると他社がこのマーケットに手を出すのは当たり前。MastodonというTwitter互換のサービスがありましたが、使い方がけっこうめんどい。営利化する気がないのはいいけどこうなると継続できるかもわからない。アンダーグラウンドな趣味利用ならいいけど、仕事で使うとなるとうーーん、になるわけです。

で、3月くらいからメタがやるという噂がありましたが、ついに具体的な概要が出てきました。
UCLAでSNSインフルエンサーマーケティング(日本の大学なら考えられない!)を教えているLia Haberman教授が入手経路はモゴモゴですがついに出してきました。

2つの画面を拡大します。

6/9のは社員に向けて公開されたもので、「健全に運営されるプラットフォームに興味を持っているクリエイターや著名人から、配信を信頼して頼ることができると信じているという声を聞いている」と述べ、イーロン・マスクが独善的に仕様を変えたり、気に入らない記者を凍結したり、大規模なリストラをしていることの対抗を臭わせていますね。

テレビの司会者のオプラ・ウィンフリーやダライ・ラマがすでに使うことを許諾しているそうな。

どんな仕様なのか?

InstagramやFacebookのログインをそのまま引き継げるとしているが、以下の点が大きい。

  • Instagramのフォロワーを引き継ぐ
  • フィード(スクロールできるコンテンツ)が表示され、(英語で)500字までのテキスト投稿ができ、リンクや写真、動画も添付できる。
  • リークされた画像を見るかぎり、InstagramとTwitterを混ぜ合わせたようなデザイン
  • モデレーション(投稿の規制)機能を備えており、「誰があなたに返信できるか、メンションできるかをコントロールする設定を備えている
  • Instagramでブロックしたアカウントは、すべて引き継がれる
  • Mastodonのような特定の他のアプリと互換性を持つ

とまあ、こんんかんじ。機能についてはこれからもいろいろリークが出てきたり、そう言ってる間に公開されるのでわたしとしてはこれが何が起きるのかを考えてみました。

明確に会話がグローバル化する

こちらの動画でも説明しましたが、

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Twitterのユーザーは世界では日本と米国だけといってもよく、しかもアメリカではメインで使われているSNSではありません。

Facebook30億人、インスタ20億人にたいしてtwitterはたったの5.5億人。しかもイーロン・マスクがいみじくも買収の際に述べたように偽アカウントやbotが20%を超えるということが明らかになっている。ブリトニー・スピアーズは、5580万人のフォロワーのうち48%が偽物だ。そうしてみるとTwitterの実数はかなり目減りする。

世界同時にこのアプリが公開されると、おそらく日本人のフィードは日本語と英語のアカウントが入り乱れることになる。Instagramと同じアルゴリズムだと英語のほうがずっと多くなるはずだ。もちろん翻訳機能がついているので、いままでは日本人同士だった会話が海外とのやりとりが多くなってくる。

いままで日本人同士でしか通用しない話題で盛り上がるのが普通のTwitterから、グローバルな話題になるわけだ。これについてこられない人たちは脱落する。

セキュリティが高く捨てハンや匿名垢は激減

InstagramもFacebookもほとんどが実名で、Instagramと同じアカウントになるわけなのでInstagramの写真が紐付く。つまりどこの誰かすぐに分かってしまうわけだから、従来のTwitterのように捨てハンでたくさん作って罵声を浴びせたりしつこくむ絡む等と言うことは非常にしづらくなる。これは想像だが、Instagramにアカウントが無く、投稿もないようなアカウントはリプしたりコメントしたりできなくなる可能性が高いと思う。

このあたりはInstagramはTwitterと比較にならない対応をするので、スパムアカウントは通報するとたいてい素早く垢BANされる。

初期は女性インフルエンサー比率が高くなる

Twitterでは女性で万単位のフォロワーを持つインフルエンサーは少ないが、Instagramでは掃いて捨てるほどいる。Twitterでは芸能人を除くとインフルエンサーは経済人やマスコミが多く、男性比率が高かった。しかし彼らはInstagramのフォロワーは少ない。ホリエモンでさえ16.3万だ。

文章の内容が面白かったり着眼点がよかったり、いろんな知見を与えてくれるのがTwitterのインフルエンサーだったわけだが、Instagramではテキストを読ませるわけではなかったのでTwitterのおっさんインフルンサーはみんないちから仕切り直しだ。楽しい。わたしもInstagramは7000人しかおらず、ここ3年間まったく増えなくなってました。

Twitterはどうなるのか

ざっくり、いまの2ちゃんみたいな吹きだまりになるかもしれないが、イーロン・マスクの性格を考えると、かなり酷いやり方でクローズする可能性も高いと思う。広告はさらに取れなくなるだろうから、先日就任したばかりの新CEOを解任し、Twitterは来月で終了します的なとんでもないやり方だ。

自分がTwitterにトンデモ凍結をされて一番困ったのが、いままでTwitterでしかやりとりしていなかった知人との連絡手段がなくなったこと。互いにフォローしていないとメッセージも送れないし、誰をフォローしていたのかもわからないのだ。これが実名のFacebookと大きく違う点だと思われる。

いずれにせよ、メタがこのサービスをはじめたら、Twitterは相当大きな打撃を受けることは確実で、存続も危ういと思う。

SNSは早期のユーザーほどフォロワーを獲得しやすいから、いまからほったらかしだったInstagramを整理して準備して待つのがいいと思います。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2023年6月9日の記事より転載させていただきました。

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