Osaka Metroら、レベル4を見据えた実証実験–万博に向けて7車種21台のモビリティを運用

CNET Japan

 Osaka Metroは2025年大阪・関西万博会場内外の輸送において、レベル4を見据えた自動運転車両を核とした、次世代の交通管制システムの提供を目指した実証実験を行っている。4月16日から26日にかけて一般利用者が参加する体験乗車会も行われ、4月6日にその内容を報道関係者に公開した。

万博会場となる舞洲に設けられた実証実験会場
万博会場となる舞洲に設けられた実証実験会場

 本実証実験では、多くの来場者が予想される万博会場内外の輸送に利用する次世代モビリティ運用の検証を目的としている。舞洲スポーツアイランドに設けられた約5000平方mの「舞洲実証実験会場」の敷地内には、1周約400mのテストコースがあり、そこで7車種21台のモビリティをスムーズで安全に運用できるかを検証する。併せて、利用者に関連するさまざまなシステムを体験、見学してもらう。

実証実験の内容
実証実験の内容

 本実証実験は、Osaka Metroをはじめ、あいおいニッセイ同和損害保険、NTTドコモ、大林組、関西電力、ダイヘン、凸版印刷、日本信号、パナソニック、BOLDLYの10社で結成された「チーム大阪」により実施される。会場内での体験内容は以下のとおり。

  • 顔認証による自動運転バス「NAVYA ARMA」(自動運転レベル4相当)の乗車
  • 低速自動走行モビリティ「iino(イーノ)」の乗車及び非接触給電の体験
  • 追従型パーソナルモビリティ「PiiMo(ピーモ)」の乗車
  • シェアサイクル(電動アシスト自転車)及び電動キックボードの乗車
  • 物流配送ロボットの見学
  • 遠隔監視室の見学
  • 緊急事態発生時のかけつけサービスの見学
  • 自然循環配慮型舗装の見学
実証実験で体験できるモビリティ
実証実験で体験できるモビリティ

 以上に加え、レベル2の自動運転車両を用いた「JPN TAXI」の体験試乗は、会場から最寄り駅(コスモスクエア駅)までの公道でも行われる。

 自動運転車両を使用したモビリティの運用は全国の自治体でもさまざまな実証実験が行われているが、今回のように複数台のモビリティを同じ敷地内で同時に運用する実証実験は珍しい。Osaka Metroは都市型MaaSの実装に向けて力を入れており、大阪市内の一部エリアでオンデマンドバスの運用を行っている。万博を会期後に大阪の街中で都市型MaaSを実装するための実証実験の機会と位置づけており、本実証実験は安全面と効率化を重点的に検証するとしている。

 具体的には、自動運転走行を一元管理する際の課題抽出、非接触充電による電動モビリティへの充電制御に関するエネルギーマネジメント、渋滞を減らすことでエネルギー効率を高める次世代都市交通システムの構築などを検証。さらに、信号システムとの連動や非接触給電設備の設置、保険の検証までトータルに行うことで、実用化に近づける。

実証実験の各社の位置づけ
実証実験の各社の位置づけ

 また、車両を運行管理する手法やシステム、それらをマネジメントする人材育成、将来の自動運転化に伴うさまざまな技術、サービスについても検証する。具体的には今回、自動運転タクシーの運転はOsaka Metroの職員が担当しており、そこで求められる技術やサービスの提供を実際に体験することで、ここでも将来に向けた課題を洗い出す。

遠隔監視室
遠隔監視室

 利用者にもいち早く次世代モビリティを体験してもらい、社会的な土壌づくりに近づけようという狙いもある。特にレベル2の自動運転車両で公道を走る体験試乗では、運転手がハンドルに手を添えた状態でタクシーが走るところを目の当たりにできる。

レベル2の自動運転車両による公道走行も行われる
レベル2の自動運転車両による公道走行も行われる

 ユニークなところでは、自動運転バスの車内ではタブレットを使用してバーチャルキャラクターによるガイドが行われ、遠隔にいるスタッフがカメラ越しにリアルタイムで対話することで、未来の運転システムを実感できるようにしている。

車内のタブレットでバーチャルキャラクターのガイドとリアルタイムでコミュニケーションできる
車内のタブレットでバーチャルキャラクターのガイドとリアルタイムでコミュニケーションできる

 会場内では自動運転車両が信号や歩行者を認識しながら自律走行し、パーソナルモビリティや搬送ロボットなどとすれちがうところを実際に体験できる。速度はそれほど速くないが、快適に移動するには十分そうに見えた。

全体的にモビリティの運用はスムーズに行われていた。
全体的にモビリティの運用はスムーズに行われていた。

 本実証実験の参加登録はOsaka Metroのオンデマンドバスの利用にも使用する「Osaka MaaS 社会実験版」アプリで受け付けている。

万博までの3年間でさまざまな実証実験を

 Osaka Metro 代表取締役社長の河井英明氏は「自動運転車両はレベル4の実用化が見えはじめており、社会実装に向けては想定外のシミュレーションなどの実験結果を積み上げていきたい。すでに手応えを感じているが、万博までの3年間でもさまざまな実証実験ができると考えており、チーム大阪で総力を挙げて技術向上に取り組みたい」と述べ、今回の成果を元に秋にもう一度大規模な実証実験を予定していると発表した。

Osaka Metro 代表取締役社長の河井英明氏
Osaka Metro 代表取締役社長の河井英明氏

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