商業宇宙旅行の実現にまた一歩近づく。新しい「宇宙往還機」の起動実験が成功

GIZMODO

初飛行に向けて一歩前進です。

シエラ・スペース(Sierra Space)社は先週、小型シャトル「ドリーム・チェイサー」(Dream Chaser)の電源を入れることに成功したと発表しました。

このドリーム・チェイサーはいわゆる宇宙往還機(地球と宇宙の間を何度も往復できる宇宙船)。今宇宙に行くにはロケットに乗りますが、ロケットは一度宇宙に達したあと、一部または全部が廃棄になります。これに対して宇宙往還機は「再利用」が可能、1回あたりの飛行コストを下げられます。

そう、宇宙へより安く行けるようになる第一歩、ということです。

「商用宇宙旅行を再定義する準備は整った」

コロラド州に拠点を持つ同社は、組み立て施設の中でドリームチェイサーの初起動を実施。機体に給電してシステムなどを作動させるテストを行ないました。宇宙空間に出たら電力はソーラーアレイによる発電で賄われることになります。

「これは未来を指し示すマイルストーンで、ドリーム・チェイサーの長い旅路における大事な瞬間です」

同社のCEOであるトム・ヴァイス氏はプレスリリースでそうコメント。

「この重大な成果でもって、弊社のドリーム・チェイサーは商用宇宙旅行を再定義する準備ができました。宇宙空間での科学研究、技術進歩、経済的機会への新たな可能性を開きます」

このように続けています。

初フライトは2023年末を予定

ドリーム・チェイサーは地球低軌道へ飛行するよう設計されていて、国際宇宙ステーション(ISS)のような軌道上の拠点に乗員と貨物を運びます。どことなくスペースシャトルを彷彿とさせる見た目の機体は、最大で約5443kgの貨物を運べる設計です。

ULA社の大型ロケット「ヴァルカン・ケンタウルス」(Vulcan Centaur)に積載されて、軌道へと投入されます。NASAのスペースシャトルのように、ドリーム・チェイサーは大気圏再突入に耐えて滑走路に着陸できる作りになっています。

同社は2023年末をドリーム・チェイサー初フライトの目標としており、フロリダ州のケネディ宇宙センターから発射するつもりです。このフライトはISSに物資を届けるという、NASAとの補給ミッション契約下で行なわれるもの。同社はまた、ジェフ・ベゾスのブルー・オリジン(Blue Origin)との共同プロジェクトである新宇宙ステーション「オービタル・リーフ(Orbital Reef)」に向かう有人のドリーム・チェイサー・ミッションも行ないたいようです。

SpaceNewsによると、同社はオハイオ州にあるNASAのニール・アームストロング試験施設に「テナシティ(Tenacity)」と名称づけられたドリーム・チェイサーを輸送する準備を進めているところなんだとか。しかしながら打ち上げの日程はまだ発表されていません。ULAのCentaurの2度目のミッションに搭載される予定ですが、同ロケットの初打ち上げは延期を繰り返しているといった状況です。

Source: Sierra Space, SpaceNews,

タイトルとURLをコピーしました