14年前、義理の姉妹であるヴェロニカ・スワンソン・ベアードとビクトリア・ミーレ・ベアードは、ファッションブランド、ヴェロニカ・ベアード(Veronica Beard)を立ち上げた。「ディッキー・ジャケット」と呼ばれるレイヤードルックのブレザーを始めて、大成功を収めている。
「私たちが目指しているのは、女性用ユニフォームを作ること」。スワンソン・ベアード氏は最新のGlossy Podcastでそう語った。「始めたのはジャケットから。生地を扱うムード・ファブリックス(Mood Fabrics)の残り生地を利用して、急いでサンプルを仕上げた。私たちは自分たちが何を知らないのか知らなかったけれど、それが功を奏した」。
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ブランド立ち上げの前年に起きた株価大暴落の影響を受け、スワンソン・ベアードとミーレ・ベアードの両氏は、時流に合ったプライスポイントに絞りつつも、デザイナーブランドらしい生地と質感は失わないように意識したとミーレ氏は話す。
現在、同社は従業員が30人で、収益も上々、2023年は売上2億5000万ドル(約338億円)を見込んでいる。間違いなく成長モードにある企業だ。
フットウェアをローンチしたばかりのスワンソン・ベアード氏とミーレ・ベアード氏は、アクセサリーやメンズウェア、キッズウェアなどのカテゴリーも視野に入れていると話す。さらに、海外にも販路を拡大しようと考えている。ヴェロニカ・ベアード氏は最近カナダに出店したところで、昨年2022年はロンドンにも店舗を開いている。
「成功は手にしたいが、それは正しい形でなければ」とスワンソン・ベアード氏は声をあげる。
それでは、ポッドキャストのハイライトを紹介しよう。なお、読みやすさのために内容は若干編集を加えている。
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ブレザーを購入した人を長くつきあう常連客に変える
ミーレ・ベアード:ブレザーとジャケットはいまでも売り上げの40%を占める。このアイテムは入り口みたいなもの。だから、「ジャケットを購入された、あのお客様にまたお越しいただくためにはどうすればいいのだろう?」と私たちは考える。購入した商品のフィット感に納得できなければ、お客様は二度と戻ってこない。私たちがフィット感にこだわるのはそのためだ。ジャケットは、デザイナージャケットのようなフィット感でなければならない。私たちは「ワンダーウーマン・ケープ」と呼んでいる。腕を通せば、何でもできるような気分になれるから。でも冗談ではない。体にしっかりフィットしていれば、本当に何でもできるようになる。用意しているサイズは00から24まで幅広い。ジャケットがフィットすれば、おそらくジーンズやブラウス、ワンピースも試してくれる。ジーンズは、尻ポケットの位置で試行錯誤した。当時世の中には、ポケットがぴったりな位置にあるジーンズがなかったから。それに、ディテールにもこだわった。たとえば、「なぜシャーリングするのか?」と問いかける。それは、女性らしい体のラインをいちいち表に出さなくても、体にピッタリしたドレスがあるからだ。そのほかにも「これは誰が着るのか?」「どのくらいの人数の女性がこれを着て、自信を持ち、最高の気分になれるのか?」「オフィスワークにも適しているのか?」「ビーチでも着られるのか?」これまでのデザイナーなら考えもしなかったようなこともいろいろ考えてきた。
店舗の価値
スワンソン・ベアード:現時点の店舗は24店。これから半年で、あと数店舗を開店する予定だ。実店舗にはしっかり投資してきた。というのも、ブランドが本領を発揮できるのは実店舗だからだ。それに、私たちがデザインしたこのライフスタイルのアイテムの魅力をすべてお客様に理解してもらうには、お店に来てもらうのが一番。どの店舗もそれぞれ個性がある。インテリアも備品もすべてわざわざ揃えたもので、何もかも店舗所在地の市場と顧客層にあわせて用意している。だから、私たちにとってもお客様にとっても、店舗はワクワクするような楽しい場所だ。私たちのお客様は全米をまわっているし、世界各都市も知っている。だから、ニューヨークにあるマディソン街の店舗に姿を見せることもあれば、ロサンゼルス近郊のパシフィック・パリセーズにも、ヒューストンにも姿を見せることがある。どの店舗も「ヴェロニカ・ベアード」だけれど、それぞれ違う。それに、店頭は最高のラボ。商品を試すことができるし、ブランドのファンが集まるのも店頭だ。VBGB(Veronica Beard Gives Back)のお客様感謝イベントも、エシカルなイベントもいつも実店舗で開催する。私たちの実店舗はどのショップもヴェロニカ・ベアードのコミュニティセンターと化し、深く愛されていることがよくわかる。
お客様を知ること:それが「成功の秘訣」
スワンソン・ベアード:私たちが何よりも幸運なのは、提供しているのが、こうした女性用ライフスタイルユニフォームなので、目的にかなっていれば何であれ柔軟に対応できることだ。たとえばコロナ禍では、リスクはあるものの、オフデューティー路線の強化へと急に舵を切った。とてもカジュアルなスタイルで、スウェットも作ってみた。実際販売はしなかったけれど。そもそもうちのお客様はヴェロニカ・ベアードからスウェットを買おうとは思わない。いつも必ずきちんとしているので、たとえ自宅であっても、格好いいジーンズやカーゴパンツで過ごそうと考える人たちばかりだ。だから、私たちがデザインするのはそうしたアイテムであり、私たちなら、そんなお客様のニーズを満たしていける。それに、ジーンズやTシャツなどカジュアルなボトムスやドレスといったデニムのラインもあったので、その路線に本格的に取りかかることが可能だった。それで、突然世の中が大きく動きはじめたときには、準備が整っていた。私たちはお客様を把握している。お客様がこれから必要とするものも、そのタイミングもよくわかる。なぜって、それはほかでもない私たちのお客様なのだから。私たちの成功の秘訣はそこにある。つまり、お客様が望むことを熟知しているということ。
ミーレ・ベアード:それに、私たちはある程度リスクをとることができる。たとえば「いつかはお客様も出社することになる」とか「いつかはお客様もまたパーティーに出席することになる」とか。お客様が慌てて来店されると、あぁ、ついにそのときが来たんだとすぐにわかるーーなにせ私たちは、うずうずして待っていたのだから。
[原文:Veronica Beard’s founders: ‘Our stores are our greatest labs’]
(翻訳:SI Japan、編集:山岸祐加子)